私たちが付き合ってみることにしたと聞いて、両親はとても喜んだ。雅紀からの電話やメッセージは絶え間なく、私は番号を変えるしかなかった。しかし、まさか実家まで探しに来るとは思わなかった。その日、彰人が映画に誘ってくれて、私が彼と手をつないで家を出た途端、正面から雅紀と出くわした。「お前だったのか。十年も経つのに、まだ諦めていなかったとはな」雅紀は彰人を見て言った。私は何のことか分からなかった。尋ねようとした時、彰人が口を開いた。「当時、お前が僕の詩帆への気持ちに気づいて、無理やりディベート部から辞めさせなければ、僕たちは十年も遠回りすることはなかったかもしれない。詩帆があれほどお前を愛しているのだから、彼女を大切にしてくれると思っていた。だが、まさかこんな仕打ちをするとは。こんなことになるなら、あの時、簡単にあきらめるべきじゃなかった」ようやく意味が分かった。どうしてあの時、雅紀が私にディベート部を辞めろとあれほどこだわったのか、その理由が。雅紀は眉をひそめ、反論しようとしても言葉が出ず、ただ私を見つめるだけだった。「詩帆、君……君、この男と……」そう言って、雅紀が私に近づこうとする。その動きを見て、彰人はさっと私の肩を抱き寄せた。「僕の彼女から離れろ」雅紀は眉をひそめ、信じられないという目で私を見ていた。「詩帆、君の口から聞きたい。俺に怒っているだけなんだろう。俺たちには十年の付き合いがある。君が俺から離れるはずがない、そうだろう」私は笑い、彰人の手を強く握った。「長谷川雅紀、あなたはどんな立場で私があなたから離れないと思っているの?忘れないで。あなたはもう結婚しているのよ。奥さんは妊娠してあなたを待っているの」彰人も笑った。「へえ……結婚したんだ。おめでとう。僕と詩帆が結婚する時には家族みんなで来てくれよな」雅紀は一瞬で激昂した。「詩帆、あの子が俺の子じゃないって、君も知ってるだろ。俺が莉奈と結婚したのは、ただ……」「知ってるわ。ただ彼女の名誉を守って、あの子に戸籍上の父親を与えてやるためでしょう。雅紀、その言葉はあなたが言ったし、私も聞いた。あなたが黙って彼女と入籍したのは、どうせ私があなたから離れないと高を括っていたからでしょう。でも雅紀、あなたは間違っていた。私はあなた
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