「特に問題はないですよ。普段の行いがいいんですね。やはり僧侶の方は徳が高い」「もう、帰っていいですか?」「うーん、頭打ってるでしょ?あとからってのがあるので一日入院です」やってしまった……。飛鳥に戻るって約束したのにな。俺だって今晩楽しみにしてたのに、残念だ……。飛鳥はうまくできてるかなぁ? 病室でのこと 飛鳥がその日のうちに見舞いに来た。「タケルさん!大丈夫?」「飛鳥‼悪い!戻るって約束したのにこのザマだ」「無事でよかった。1泊入院したら戻れることになってる。2階はうまくいったか?大丈夫よ。タケルさんにケガをさせたってのもあるみたいで大きな動きも小さな動きもなかったわ」「お前は男に口説かれなかったのか?」「それはホラ、私にはコレがあるでしょ?」と飛鳥は得意げに左手薬指の指輪を見せた。「おぉ、兄ちゃん。若いのにこんなきれいな嫁さんがいるのかい?うちのと交換してもらいたいなぁ」「こいつは俺のです。お断りします。交換しませんよ」「おい、きっぱり断った。いいねぇ。若いねぇ」「タケルさん、私はもう帰るね。帰って明日の大学の用意もしなきゃ」足早に飛鳥は帰っていった。遠くで飛鳥が転倒するような音が聞こえて、ちょっと笑えた。それにしても…。入院が続くとここ(同じ病室)のオヤジ達に俺と飛鳥の事をいじられっぱなしだ。やれやれ。「おかえりなさい、タケルさん。見て、一日でお風呂場の施工が終わったの。ちゃんと見てたわよ。なんにも妙なことはしてなかった。鏡もほら、新しいものになったでしょ?」俺はなんだか忌々しい感じがした。「鏡は飛鳥が選んだのか?」「え?工務店任せ。ダメだった?」「そんなことはないが……なんだかなケガのせいか」「おかえり、タケル」と、親父。「ああ。今度は盗聴器とか盗撮器とかつけるなよ?そして覗くな!」「そう邪険にするな」「犯罪だからな。今度やったら親だろうと警察沙汰だからな」はぁ、やっとこさゆっくりと飛鳥と過ごせる。ん?飛鳥は?「飛鳥はどこに行った?」「今日は朝早くに出かけていったけど?」確か昨日大学の用意とか言ってたから、大学か?電話をかけてみるか?いやいや、邪魔をしてしまってはイカン。そう思いながらも飛鳥に電話していた。「飛鳥?今どこだ?」「え?大学…」「帰ってきて飛鳥に会いたかったのにいなか
Last Updated : 2025-10-08 Read more