LOGIN『僧侶たるもの、女人との接触を避け、生涯独身であるべし』をモットーに生きてきた好野健(未剃髪)が自分の家の寺、萩野寺の経営難で突然元同級生の美少女(タケルは女に疎くて美女かどうかの区別がつかない)と婚約することになる。同棲する事になっても当初は『欲情しない』と言い切っていた。二人の距離は縮まるが、当然二人の間に壁も‼どうなっていくの、二人の生活はうまくいくの?
View More「「「「「「「「あけましておめでとうございます!」」」」」」」」 うちに一堂に会した。 マサル家族・カケル家族・コウタ家族・娘達家族。 これは……お年玉がいくらあっても足りないぞ。ポチ袋も足りない。 なんだか最近は神社でも寺でもいいから初詣をするようで、元日は賽銭箱の見張りとかお守りを売ったりと忙しかった。賽銭箱のお金、有難く孫たちのお年玉に変わります。 本来であればこのまま我が家の収入になるはずなのに、孫が多いばかりに……。 クッ、ただ絶倫系で子沢山なだけだと思ってたのに、こんなはずでは……。お年玉の事を考えていれば家族計画のこともみっちりと頭に叩き込んだというのに、お年玉のことが頭に浮かばなかったばかりにこんなことに。 足りないポチ袋は飛鳥が折り紙で袋を作っている。健気だ。 有難く受け取ってほしい。 神が現れた!渡辺のお義父さん!お久しぶりです!「お義父さん、お久しぶりです。まだまだお元気そうでなによりです」「はっはっはっ。今日ここに来れば、孫とひ孫たちに会えると思ってなぁ。孫達はすっかりと大人になって、それぞれに家庭を持っているようだな。そしてひ孫!たくさんいるなぁ」 そうなんです。うちは寺だけど、今日はさながら託児所とかそういう系みたいに賑やかなんです。 お義父さんに「お年玉が……」と、嘆いた。 俺の思いを見越していたようで、俺にそっと千円札を数十枚渡してくれた。……神!「どうぞ、うちは神社じゃないのでお神酒はありませんが、正月と言えば酒でしょう!わりといい酒を檀家さんから頂いていますので、そちらを飲みましょう!」 お義父さんは、そっと日本酒も持参でやってきた。「じーちゃん最高!コレ、幻って言われてる日本酒だよ。父さん?父さんが頂いたのと飲み比べましょう!」 息子よ、酒を飲める年齢になってから、飲み過ぎじゃないか?「いやぁ、孫と酒を飲み交わすとはまたけっこうけっこう!」 お義父さんが上機嫌だからいっかぁ。「「「「「「お料理も私達が昨日から頑張ったんですからね!」」」」」」 そんなふうに好野家の正月は大人数で賑やかだった。
そういうわけで、俺は半分引退しているような生活をしている。 曜日によっては社交ダンス。 大量の孫(名前を覚えられず)。たまに性別すら間違えて飛鳥に伝説の拳を炸裂される。その度に「こんなに強い子に育ってはいけません。ある程度の強さは必要かもしれない。精神的な強さは必要だし。物理的な強さは護身術くらいでいいかな?と思う」と説く。 すると、孫達からは「爺ちゃんの話は難しくてよくわからない」とか言われる。 その孫たちと遊ぶ。息子夫婦はイチャコラしてるかもなぁ? 孫からなんか夏休みの宿題ということで聞かれた。「お爺ちゃんの仕事って何?」「住職だけど?」「それって何をするの?」「うーん、具体的にか?」「具体的に」「お寺の管理・運営とか仏教の儀式を執り行うんだな。普段は写経、お経を書き写したりしてる。俺は半分引退したみたいなもんだから、ほぼコウタがこの寺の住職をやってるよ」「……お爺ちゃん、それってさぁ‘無職’って言わない?」「でも、たまーに住職の仕事するからなぁ。世の中のお爺さんの仕事はほぼ無職だろう。生涯現役!って方が珍しいんじゃないか?無職で宿題を提出してもなんら恥ずかしいとかないと思うぞ」 無職じゃない生涯現役って、医者とか弁護士とかか?自分で引き際を決めれるヤツだよなぁ。「お父さんの仕事じゃなくて、お爺ちゃんの仕事?」「気にしないで~!」 気になる……。 その日の夜に飛鳥に相談した。「そうねぇ、夏休みの宿題っていうのは多分ウソだと思うわ。すでにお爺さんが亡くなっている子だっているわけだし。お父さんの仕事とかにすると、今度は母子家庭の子が困るでしょ?多分、『私のお爺さんは凄いんだから!』ってのを子供達の中でひけらかしたいのよ。まぁ、子供ながらに醜いマウント合戦ね」 今の子供はなかなかなんとも言えない世界を生きているんだなぁ。「俺が子供の時はもっとこうアホアホしていた気がする」「あらタケルさんは中学の時から素敵でしたけど?」 そう言う事を平気で言うから困る。本当に子供を作ってしまいそうになる。「飛鳥は小学生の時どんなだった?」「私はホラ、妾の子って言われてたから。学校でも言われて、本当に嫌になる。妾の意味もよく分かってないのに親が言ってるから子供も言うんでしょうねぇ」 うちの子達はちゃんと育ったよな?余所の御宅の
好野家には僧侶の妻コミュニティが発達している。 スマホのlineでもグループチャットが発達している。 誰の妻が妊娠しただの、誰の子供がどうしただのとけっこうな盛り上がりをみせる。 その頂点にいるのがもちろん、飛鳥だ。 年齢的なこともあるが、みんなのお義母さんにあたる。『今度グループに入るアヤメちゃんよ。コウタの奥さん。よろしくね』『好野アヤメと申します。皆様に迷惑をかけないように参加させていただきたいと思います。よろしくお願いします!』『やだ、カワイイ!私は長男のマサルさんの妻よ。よろしくね!』『アヤメちゃんは実物も可愛いのよ、実家に来れば会えるわよ?』『あら残念。なかなかマサルさんが離してくれないのよ。独占欲ってやつかしら?』『それはそれで、嬉しいものでしょう?』『そうなんですけど(*ノωノ)』『私は次男のカケルさんの妻。現在妊娠中で~す!』『え~!初めて知ったわよ?』『お義母さんにも行ってなくてごめんなさい。確定してなくて…。さっき病院から帰ってきて確定したばかりなんです』『アラ、ほやほやのニュースなのね?』「飛鳥~、社交ダンスに行く時間だぞ!」 俺が声をかけると慌ててスマホを操作する。『ごめんなさいm(__)m。主人から呼ばれちゃった。中座するわね。後はみんなで楽しんで頂戴!』 怪しい。 俺が声をかけていきなり慌ててスマホを操作……。「なぁ、スマホで何をしてたんだ?」「他愛もない世間話よ。あ、そうそう。カケルのところ、また妊娠したみたいよ?」「あいつは何人子供を作る気なんだ?」「孫は可愛いじゃない?」「そうだけど、ものには限度というものがあるだろう?家族計画なしだな。6人目くらいか?」「正解!」「孫の名前覚えられないじゃないか!こっちは檀家さんの名前も覚えなきゃなんないってのに」「カケルは自分の子供の名前は覚えてるでしょうね」 社交ダンスで踊りながら、妖艶な飛鳥を見ながら半ば脅しのように飛鳥に聞いた。「スマホで一体何をしているんだ?答え次第では、今夜また子供を作るぞ?」「はぁ。どういう脅しなのよ!」 言われながら、俺は飛鳥にその社交ダンス用のピンヒールで足を踏まれた。超痛い。「あれはねえ。‘好野家の妻’ってlineのグループチャットをしてたのよ。今日はアヤメちゃんが初lineに参加だったの。
子供たちが全員結婚して、万々歳。 スッキリした気分で悠々自適な生活を送っているつもりが……。「父さん!渡辺家の遠縁の方がお亡くなりになり、当寺での葬儀をご希望です。まだ自分は未熟で……」 と、コウタに泣きつかれた。 正直なところ、俺も泣きたい。 俺は葬式を扱ったことがない。親父が現役の時から檀家さんの親族は皆様健康で誰一人亡くならずに、親父が葬式を扱っているところを見たことがない。つまり、葬式の仕方を知らない!「コウタ…。聞いて驚け。俺も葬式を扱ったことはない。俺の親父。お前の爺さんが住職だった頃、檀家さんの親族が健康で誰一人亡くならなかった。俺は、親父が葬式を扱っているところを見たことがないんだよ!今回の葬式、なんとか二人で乗り切ろう‼」 などとコウタにとっては非常に心細い言葉をかけた。 全く何をしていいのかわからない。 マサルとカケルならできるかもしれないな。と思い連絡をしてみたが、向こうは向こうでてんてこ舞いらしい。 困った。 俺は、親父の書斎である部屋で書物を漁り『サルでもわかる葬儀の方法』みたいなものはないかと探し回った。 幸い、葬儀の際に読むべき経を示す書物はあったので、それをたよりになんだかよくわからないが、坊さんが経を詠みながら、木魚を叩けばいいだろうという結論になった。(おかしいとは思わないだろう。普通は) コウタと相談し、そのように乗り切る事とした。 葬式の後、マサルとカケルに連絡をし、葬式の仕方についてレクチャーしてもらった。「俺だって、親父に教えてもらってないからそんな感じ。詳しく知ってる人はいないだろうと踏んでる」 詳しく知っている方にレクチャーしていただきたいものだ。「俺もそんな感じ」 うちの寺で葬式をするべからず、だな。
もっとこう、『娘はやらん』的なものを想定していたのに淡泊過ぎて気が抜ける。『娘はやらん』感じなら婚約者なんぞつけないだろうが。俺の髪とかピアスにも触れなかったな。あー、なんか面倒になってきた。式ナシで写真のみ。白無垢バージョンとドレスバージョンでよくね?で入籍後は初夜でよくねーか?「こんにちはー」今日も元気だな、よしよし。面倒ごとは避けたい。特に、今‼また‘両親の喧嘩’とか悩み相談はまっぴらだ。で、物は相談なんだけど…「式ナシで写真のみ。白無垢バージョンとドレスバージョンでよくねー?で入籍後は初夜でどう?」「味気なーい。ドレスでブーケトスしたいの!招待客とか考えるより
予想通り俺と渡辺飛鳥は同じ部屋で一夜を共にすることとなった。「姉妹多いのね」夕食の時の女性率の高さからの発言だろう。「女ばっかりな、俺は肩身が狭くてな」「ここのお風呂は温泉?」「そうだが?」「うちでも温泉湧くかなぁ?」豪邸の庭でダウジング?ちょっと面白そうだ。「お気に召したようで何より」「じゃあ、おやすみなさい!」クソ。計画的犯行でうちに泊まり簡単に寝付きやがって、俺は眠れねー‼目を閉じるとこの女の色んな仕草が映写機のように俺の瞼の裏に映り出す。もー!タケルさんてば本当に私に欲情しないのね。ふて寝しよー。そうだ!「タケルさん!抱き枕になってくれませんか?」「断る。俺
さて、どうしたもんか。欲情しないんじゃなぁ。朝勃ちする以上EDじゃないだろう。婚約者だから、『うおー、こいつをずっと幸せにしたい。俺が』とか独占欲みたいのがわけばOKか?難しいぞ。現段階で渡辺飛鳥は金持ちで美人で幸せそうだもんな。俺が与えられる幸せなどあるのだろうか?「こんにちはー」(今日も元気だな)「いらっしゃい。渡辺飛鳥」「珍しい。今日はタケルさんが出迎えてくれるのね」「親父は法要中。どうぞ、上がってください」「すごい考えた。はげるかと思った」「はげてもいいんじゃない?」と、渡辺飛鳥はクスクス笑っている。「お前は笑うと可愛いんだな」渡辺飛鳥は赤面した。「それ
渡辺家…この辺の土地をぜーんぶ取り仕切っている財閥?みたいな。超金持。うちのお得意さん。一番大きい檀家。とはいえ、渡辺飛鳥は同級生だしなぁ。あ、元か。中学時代ねぇ、俺はモットーの元にろくに女と会話してなかったからな。名前覚えてたのは名前にインパクトがあったからだな。丁度‘飛鳥時代’とか歴史でやってた。なついなー。親父との話も終わったようで、衝撃の言葉が親父から発表された。「あー、そこの愚息。タケル。お前だ。ここの飛鳥さんと婚約するように」はぁ?寝ぼけてる。いや、ボケたのか?「おい、渡辺飛鳥。お前はそれでいいのか?」「家の達示よ」と、軽く言う。「いきなり、10は年上のおっさん