颯side「佐奈は、俺が別れを告げただけでなく璃子に頼んで会社まで追い出したと思っているのか。それなのに佐奈の実家を知って色々言って……何だよ、俺、最低な奴じゃん」俺の乾いた笑い声に、玲央は同情の目で見ている。璃子の策略で、佐奈の中の俺は卑劣な裏切り者という印象を植え付けられていた。「璃子、璃子は自分がやったことを分かっている?嘘を塗り固めて、松田さんを薄情な人に仕立て上げたんだよ?」「それは、颯が……。私を選んでおきながら、将来を考えないからじゃない。あの人が良ければ、会社を辞めてでも守ればよかったでしょ?私が、手を施さなくても振られた婚約者の仕事のサポートをしなくちゃいけないなら、時期は違っても辞めていたわよ」璃子の言葉は、責任を俺に転嫁しつつも、佐奈への嫉妬と敵意が動機であったことを隠さない。その歪んだ主張に、俺の怒りは再び沸騰した。「璃子、璃子は今、松田さんが隣にいてくれて幸せ?松田さんに振り向いてほしいのに、どうして僕には、結婚をほのめかすようなことを言うの?松田さんとは、無理矢理決められた結婚だとか嘘をつくの?璃子が隣にいて欲しいのは、本当に思っているのは誰?」怒りが収まらない俺を見て、玲央は璃子の方を向いて静かに問いただした。それまで悪魔のように嘲笑っていた璃子だったが、玲央の言葉に一瞬で笑みが消え、感情を持たない人形になったかのように真顔に変わった。
Última atualização : 2025-11-27 Ler mais