All Chapters of 愛よりもお金をとるのならどうぞご自由に、さようなら: Chapter 61 - Chapter 70

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61.音信不通

颯side璃子は、何を言われて何を騙されていたのか?そして電話の主は誰なのか。ぐるぐると疑問が頭の中を渦巻いていた。俺は、璃子と玲央がお互いを想い合っていて、その上で家系の事情で俺との結婚を言い渡されているのなら、俺から婚約破棄を伝えてもいいと思っていた。もし会社にいられなくなったら、その時はその時だ。自分の気持ちに誠実に生きることで、璃子や玲央も報われる。そして、佐奈の人生にもう一度入り込みたいと思っていた。しかし、璃子が知った「騙されていた事実」というのが、結婚に関わることなら話が変わってくる。俺が婚約破棄しても、誰も報われない可能性だって出てくるのだ。この璃子との結婚は、いつの間にか複雑な闇を抱えてしまっていた。頭の中で考えるだけでなく、今回こそはちゃんと璃子に寄り添って話を聞こうと決めて、リビングのソファで待っていたが、璃子は帰ってこない。時計は二十三時半を回っていて、いつもならとっくに帰ってきている時間だった。二時間前に送ったメールも既読にすらなっていなかった。「璃子は一体どこで誰と会っているんだ?まさか俺や玲央のほかにも他の男性がいて、そいつが本命だったとでも言うのか?」スマホで時間を潰しているが、嫌な予感ばかりが頭の中に浮かんでは消えていく。他の男の存在を疑う不安や、気持ちが分からずに悶々とした苛立ち。佐奈と付き合っていた頃には、決して感じたこと
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62.朝帰り

颯side朝になってベッドサイドに置いているスマホのアラームが鳴り響き、止めると新着メッセージの通知があった。身体を起こして、通知を開くと朝五時二十分に璃子からメールが入っていた。璃子:連絡くれたのにごめんなさい。時間が遅くなったので実家に泊まりました。朝、着替えるために今から帰ります。「実家に泊まった?友人と会って、そのあと実家に行っていたと言うのか?都内で会っていたなら実家よりここの方が近いだろう?」璃子の言うこと全てがどこか嘘っぽくて信用できない。第一、実家に泊まるなら分かった時点で連絡をすればいい。こんな朝起きてから送ってくるなんて確信犯としか思えなかった。(璃子は誰かと一夜を過ごしたとでも言うのか?それで着替えがないから、家に戻ってくる?散々、俺に自分は婚約者とか言っておきながら朝帰りって何なんだよ、ふざけるな)俺の怒りは頂点に達していたが、冷静さを保つ努力をした。璃子を問い詰めるためには、感情的になってはいけない。自分の支度をしながらも、璃子が帰ってきたらしっかり話を聞こうと静かに待っていた。時刻は六時四十分になっても璃子は帰宅せず、メッセージを送った時間に出たとするならばいくらなんでも遅すぎる。(メッセージから一時間二十分も経っているんだぞ?俺に会いたく
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64.主導権

颯side「会話を聞いていた?盗み聞きしていたの?」「そうじゃない。璃子の声が大きいだけだ。」璃子は、俺の言葉に激しく息を吐いた。全てがバレたことへの怒りよりも秘密が露呈した焦りの方が勝っているようだった。「はあ……聞かれていたのか。昨日、電話していたのは母親よ。私の実の母。友人に会ったというのも嘘。本当か確かめたくて仕事が終わって実家に行ったの」投げやりな口調だが、今まで一緒にいた中で一番璃子が本当のことを話しているという実感を持てた瞬間だった。俺の目の前には、甘ったるい声で媚びを売るような以前の璃子の姿はなく、髪を無造作にかき分けて苛立った表情の一人の女性が座っていた。「母親って、嘘とか騙されたって穏やかな会話じゃないけれど、何があったんだ?」そう尋ねたが、璃子は口を閉ざし、それ以上語ろうとしない。そのうち、唇を尖らせてムスッとした表情をすると静かに涙が頬を伝った。その涙は、計算されたものではない、純粋な混乱と苦悩の涙だと感じさせる。「私もまだ分からない。お母さんが本当のことを言っているのか、それとも言わされているのか分からないの」「だから、それは何についてなんだ?そこを話してもらえないと俺は何も分からない」
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