則行は悠依と一緒に花をおばあちゃんの家まで運び、おばあちゃんは笑顔で二人を迎え入れた。おばあちゃんの子どもたちは最近みな他の町にいて、一人でここに住むことが多く、時折悠依に来てもらって話し相手になってほしいと思っていた。悠依もこの優しいお年寄りが好きで、喜んで訪ねてはゆっくり話し込むのを楽しんでいた。ところが今日は、おばあちゃんの子どもたちや孫娘の話をしているうちに、気づけば日が暮れる頃になっていた。おばあちゃんは少し照れながら言った。「今日も私がずっと喋り続けちゃったね。ごめんね若いカップルを邪魔しちゃって、二人とも、ここで夕飯を食べて行きなさいよ」悠依は驚き、慌てて首を振った。「おばあちゃん、私たちはカップルじゃなくて、ただの友達です」おばあちゃんはご飯をよそう手を止め、濁った目で二人を見回したが、やがて目を細めて笑った。「あらま、おばあちゃんの目が節穴だったわね。さあ、美味しい鶏のお粥を作るからね。お店のものなんか比べ物にならないわ」悠依は顔を赤らめ、手伝おうと立ち上がろうとしたが、隣の則行がさっと袖をまくって立ち上がった。「おばあちゃん、俺が野菜の準備を手伝います。悠依は果物を切ってて」一言で悠依の役割を決め、彼女は素直に座り直した。おばあちゃんは背が低く、家具も特別に低めに作ったもの。悠依は腰に古傷があるため、則行は彼女に無理をさせまいと気を遣った。しかし、悠依は身長188センチもある則行が、花柄のエプロンを着けて腰をかがめて料理する姿を見て、思わず笑みがこぼれた。則行はその笑い声を聞き、振り向いて彼女を見つめ、口元に楽しげな微笑を浮かべた。……食事は和やかに進み、おばあちゃんは笑顔で目が細くなるほど嬉しそうだ。時間が遅くなったので、おばあちゃんが少し疲れた様子を見せ、悠依は則行と一緒に帰ろうとした。帰り道は遠くなく、夏の夕風に子どもたちの澄んだ笑い声が混ざり、心地よい気分を運んでいた。悠依は隣にいる長身の彼の温もりを感じながら、おばあちゃんの言葉や視線を思い出し、顔が真っ赤になった。「今日はありがとう。それに、ごめんね。初めておばあちゃんの家に一緒に行ったのに、こんなに時間を取らせて」彼女は小声で言った。「おばあちゃんの言うこと、気にしないで。私……」「悠依、もし俺が
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