『はい、では……昨晩はスタートの配信をご覧くださりありがとうございます。アーカイブもかなりの人が見てくださって……ありがとうございます!』 寧人はキャンピングカー内で一護が用意した朝食を前に今日一番の配信を始めた。 朝からこんなにテンション上げて話すことは本当に社会復帰するまでは考えられなかった彼。しかしこうして立ち振る舞わなければ社会の藻屑に飲み込まれる、それをひしひしと体感し、それ以来よく無理をしてでもと言うが仕事に全力を尽くすようになった。 それができたのも一護の献身的なケアと秘書の古田、従業員たちのおかげであることも心の片隅に置いている。 基本1日に最低一回生配信。多い時は走行中もだが録画したものを配信したり事前に収録した協賛企業のCMを流すなど慌ただしいものである。 でも、これも仕事だ。ギブアンドテイク――もう分かっている。 「あ、ハートたくさん……あああ、おひねりもありがとうございます! あっ、そちらからも……!」 その瞬間、スマホカメラの死角で一護がカンペを出した。 『いちいちリアクションに狼狽えない』 そうだそうだ、と寧人は小さく頷く。配信前に練習として何度か回してはいた。いたのだが――。 『その初々しさがいいのよね』 『反応がいちいち良い。社長、好感度高い!』 コメントを読もうとして目を細めた、その仕草にまで反応がつく。 『目細めるのかわいい』 『老眼?』 やれやれ。一護は声を出さずに笑っていた。 「今日の朝ごはんは、針谷牧場さんからご提供いただいたソーセージと牛乳。サラダは地元高校生が栽培したもので、トレ丸市場――道の駅で販売されています。ほら、これ。ジューシーでしょ? 見た目からして……まるで……」 フォークで刺したソーセージを見つめたまま、言葉が止まる。 脂で艶のある表面。張りのいい曲線。 なぜ今、それが目に入ったのか。 喉が鳴り、心臓が一拍、余計に跳ねた。 『なにやってる、寧人!』 一護のカンペで、はっと我に返る。 「まるで――国宝級ウインナー! まさしく、そう言えるでしょう!」 勢いのまま、がぶりと食べた。 『いい食べっぷり!』 『お腹すいた』 『それ、うちも今日の朝ごはん!』 コメントは何事もなかったかのように流れ、商品説明
最終更新日 : 2026-01-23 続きを読む