その後、寧人はようやく眠りについた。 ぐったりと力尽きたような寝顔で、呼吸は深く、時折小さく喉を鳴らしている。 それから数分後。 玄関の鍵が静かに回り、一護が帰ってきた。 「……ただいま」 返事はない。 予想通りだと、苦笑しながら靴を脱ぐ。 台所へ向かうと、脱ぎっぱなしのスーツが椅子に引っかかり、食べ終えた皿やコップがそのまま食卓に残されている。 テレビの前には、お菓子の袋と食べかす。 「寧人ったら……」 一つひとつ拾い上げ、洗い物を済ませ、散らかったものを元の場所へ戻していく。 「もう……僕がいないと、何もやらないんだから」 口では呆れながらも、手つきは慣れている。 世話を焼くことに、もう体が慣れ切っているのだ。 すべて片付け終えたあと、一護は寝室のドアをそっと開けた。 ベッドには、すでに眠っている寧人。 無防備な寝顔に、胸がきゅっと締めつけられる。 そして、ふと視線がゴミ箱に向く。 山のように詰め込まれたティッシュ。 「……あ」 すぐに察しがついて、苦笑がこぼれた。 「寂しかったのね……オナニーしてたのかな」 ベッドに腰を下ろし、寧人の頬にそっと触れる。 温かい。ちゃんと、ここにいる。 「ん……」 ムニャムニャと寝言を言う寧人が、わずかに眉を寄せる。 「……かわいい」 指先で頬を撫で、髪を整えながら、一護の胸にじわりと感情が溢れてくる。 「もう……過去のこと、忘れなきゃね」 ぽつりと呟いた瞬間、記憶がよみがえる。 ドラゴンに未練たらたらで、頼知とのセックスに嫉妬して、泣きながら帰った夜。 自分でも情けなくなるほど、心が乱れていた。 「……」 気づけば、涙が頬を伝っていた。 何度も失恋してきた。 原因は、だいたい同じ。 ――世話を焼きすぎる。 ――重い。 ――息が詰まる。 そう言われて、離れていかれた。 「寧人も……そのうち、離れていっちゃうのかな……」 喉が詰まり、声が震える。 「嫌だ……」 寧人の手をぎゅっと握る。 「セックスできなくても……それでも、大好きなの」 一護は、今日ようやく悟った。 一時的に性欲を満たしても、心が通じていなければ、ただ虚しいだけだと。 ドラゴンとのセックスも、まさにそ
Last Updated : 2025-12-23 Read more