合縁奇縁、そんなふたりの話(BL) のすべてのチャプター: チャプター 101

101 チャプター

番外編 第十六話

久方ぶりの営みが、この部屋の中でよかった——。寧人は、胸元で静かな寝息を立てる愛しい一護を見下ろしながら、そう思った。指先でそっと髪をかき上げ、天井へと視線を逃がす。一緒に暮らしているからこそ、慣れや仕事の疲れに紛れて、愛し合う時間がいつの間にか簡素になっていた。そのことを、今さらのように反省する。昨夜のように、何度も、急がず、優しく、甘く、確かめ合うように抱き合ったのは本当に久しぶりだった。きっと、こういう時間が必要だったのだ。愛する人の体温。規則正しい寝息。胸に伝わる鼓動。微かに残る香り。——この旅が終わり、また二人の日常に戻ったとしても。今夜のことを、忘れずにいよう。そう心に刻みながら、寧人は再び一護を抱き寄せ、静かに目を閉じた。「おはよう、寧人! 寧人社長!!!」「はうっ――っ!? ……いでっ……お、おは……」頬に走った衝撃で、寧人は変な声を上げて目を覚ました。反射的に体を起こそうとして、全身に鈍いだるさが走る。「あ……待っ、待って……それ、今やると……」「ほら見た。だから言ったでしょ、勢いよく起きるなって」横を見ると、すでに着替え終えた一護が、呆れ半分・心配半分の顔で髪を整えながら座っていた。「……今のさ、ビンタじゃなかったよね」「うん。最初は手のひら。でも全然起きないから」「櫛?」「櫛。最終手段」ひどい。そう思いながらも、否定できないのが悔しい。どうやら一度は目を覚ましたのに、そのまま見事に二度寝したらしい。「……体、重……」「そりゃそうだよ。昨夜あれだけやっといて、しかも何回も」「ちょ、それ言わなくていい……」「事実でしょ。自覚しなよ、いい歳した社長さん」キャンピングカーじゃない、きちんとした部屋。柔らかいマットレス。静かな朝。そのせいで、昨夜の余韻が余計に体に残っている気がする。「……提供でもらったマットレスも良かったけど、ここのも相当だな……」と、だるそうに言いながらも、目だけは完全に仕事モードに入る。「メーカー違うけど、大丈夫?」「大丈夫。ちゃんと把握してます」一護は即答する。「他の部屋には、提供いただいたザノッカスのマットレス使ってるところもあるから。そこも含めて、動画で説明する」「さすが……」「感心してる場合じゃない。ほら、さっさと起きる」「……腰が……」「自業自
last update最終更新日 : 2026-01-30
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