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第十話「蘇る記憶」

  りかの口から語られる、水曜日の記憶。 何一つ覚えていない“彼”にとって、それはあまりに新鮮で、あまりに残酷な現実だった。   ──水曜日・深夜  静寂の中で、彼は目を覚ました。  最初はただの寝返りかと思った。しかし、彼は何も言わず、無言のまま、外出の準備を始めた。  がさ、ごそ……。  動きに迷いはない。けれど、その姿にはどこか“彼らしさ”がなかった。 「神谷さん……? どこか行かれるんですか?」 「……」  返事は、ない。声をかけても、彼はまるで反応しなかった。りかは彼の正面に回り込み、その視界を遮るように覗き込む。 だが、彼の目はどこか遠く、こちらを見ていない。──まるで“操られた人形”のようだった。 「……ついて行くしかない」  彼の背中を追って、慌てて着替える。準備を終えた彼は、黙って玄関の扉を開け、夜の街へと出ていった。 「……ちょっと、待って……!」  夜風を裂くように飛び出す、りか。距離を詰めすぎず、離れすぎず。 彼の気配を感じながら、無言の尾行が始まった。 (──恐らく、隣に並んで歩いても、気づくことはない)  直感的にそう思えた。だが、それはしなかった。“誰
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-29
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第十一話「記憶を辿って」

  りかと別れた想は、一人、頭を抱えていた。記憶にない自身の行動、そして鍵を握る「記憶研究所」。混乱の渦中で、彼は決意を固める。 「……行ってみるしか、ないよな」  彼女から教わった住所を頼りに、想は目的の場所へと向かった。 道中の景色にも、記憶の断片すら残っていない。 「本当に……俺、ここに来てたのか?」  目の前に現れたのは、街の図書館ほどの規模の、無機質な四角い建物。いかにも“研究施設”といった外観で、特に異様な印象はない。 そして、門の脇には小さな看板が掲げられていた。 『観測庁 記憶研究所』 「無駄な税金で建てられた箱物、って言われそうな見た目だな……」  冗談めかした独り言で気持ちを紛らわせる。だが、いざ入るとなると、思った以上に足がすくむ。 「……いきなり入っても、いいものなのかな?」  門の前で何度か行ったり来たりを繰り返す。 周囲の視線が気になり、次第に気恥ずかしさが勝ってくる。 「……ええい、もう……!」  意を決して、施設の中へと足を踏み入れる。 「こんにちは〜」  受付にいた女性職員に、なるべく自然に声をかけた。 「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」 「あ……いえ、特に用事というわけじゃないんですが、こ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-30
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第十二話「潜入前夜」

  ──空振りに終わった研究所訪問。せめて報告だけでもと、想はりかに電話をかけた。 「もしもし」 「あ、神谷です。実は……」 「えっ!? ちょっと待ってください、神谷さん!今から行きます!」  彼女は慌てた様子で、想の話を途中で切り、電話を切ってしまった。待ち合わせは、あの喫茶店。  しかし、前回のような高揚感はない。──今回は、おそらく怒られる。   ──先に到着した想は、コーヒーを片手に彼女を待っていた。  ほどなくして、ドアが開くと同時に、彼女はまっすぐに、こちらへ向かってくる。 「神谷さん、一体何を考えてるんですか!」  バンッ、と机を叩いて怒りを露わにする。 「そんなに怒ることないでしょ……」  おどけてなだめる想をよそに、彼女はバッグからタブレットを取り出した。 「これ、覚えてますか?」  画面には“水曜日”の映像── 寝ている彼女を見つめながら、何かを呟く想の姿が映っていた。 「……覚えてます、けど覚えてないです」 「そういう言い回しはもういいです」  冷たくピシャリと返しながら、彼女は再生映像を一時停止する。 「ここ、何て言ってるか、ようやく分かりました」  想は画面を食い入るように覗き込
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-31
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第十三話「潜入」

  彼は先週と同じように、真夜中の街を歩いていた。だが、今回は違う。 ポケットには録音用のICレコーダー、そして、彼自身の意識ははっきりとしている。  唯一の懸念は──研究所内でのふるまいだった。 「言葉を発するべきか、それとも沈黙を貫くべきか」  詰めきれぬまま、彼は最後にこう呟いて終わらせた。 「なるようにしか、ならないよ」 「……頼むから、成功してちょうだい」  祈るような思いで見守る、りか。 彼は研究所の前で立ち止まり、大きく息をついた。そして──扉を開けて、入っていった。   ──午前5時40分  建物の外に出てきた彼を見た瞬間、りかは悟った。虚ろな目、重い足取り。 明らかに、記憶は消されている──。 「……マズいっ!」  彼より先に帰宅し、何事もなかったかのようにソファで布団をかぶる。 そして彼は帰宅後、そのままいつものように眠りについた──“想”が目覚める1分前に。 「……おはよう。なんで来てるの?」  想が大きなあくびをしながら起き上がる。 「おはよう。どう?どこまで覚えてますか?」 「……ん〜、火曜日に寝たところ、までかな……んっ?」  やはり、“水曜日”の記憶は無かった。いや──「消されている」と言ったほうが
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-01
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第十四話「神谷 想」

 ──記憶研究所・深夜 「記憶を…消す?どういうことだよ!」  怒りと恐怖、困惑と焦りが混ざった声で、想が問い詰める。 「それを今から説明する、そう言っただろう」   中野は静かに言ったあと、少し間を置いて続けた。  「……だがその前に、ひとつ確認がある」 「……なんだよ」 「…どこで気づいた? 協力者がいるのか? 君は今、何を知っている?」  顔を近づけ、真正面からじっと目を覗き込んでくる。 (……ひとつじゃねーじゃん) 「……分からない。気づいたらここにいた。 協力者? 何のことだよ」 「ふむ……まあいいだろう」  中野はふっと視線を外すと、ベッドから二歩だけ距離をとり、再びこちらへと視線を戻した。 「私が今から話すことはすべて真実だ。だが安心してくれ、君はこの会話を忘れる。 君の驚きと混乱──それすら、私にとっては重要な“観察データ”なのだから」 ──壁際の椅子に腰かける中野。 そして、彼の知らない「神谷想」の話が静かに始まった。   ──記憶研究所・3年前 「神谷想」は、脳科学者として研究所に勤務していた。 祖母の認知症をきっかけにこの道を志し、
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-03
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第十五話「欠けた記憶」

 ──記憶研究所・3年前 「俺の……おかげ? どういう意味ですか?」  目の前には縛られた男──そして信頼していた中野教授。 想は混乱していた。自分がこの状況の“きっかけ”だというのか? 「君が発見した認知症の治療法、これは──使い方次第で、大金になるんだよ」 「……どういうことですか?」 「君は特殊な周波数で海馬を回復させようとした。だが、我々は逆に“損傷”させることで利益を生み出している」 「そんな……何のために……?」 「都合よく“記憶をなくした人間”が必要な場面がある、ということだ。  そして、失った記憶の隙間に“新しい記憶”を刷り込ませることもできる。──本当に素晴らしいよ、君の発見は!」  中野は両手を広げ、天井を仰ぎながら高らかに言った。 「そんなもの、許されていいわけがない……このことは警察に話します。 …… あなたは科学者なんかじゃない……!」  想の声は震えていた。しかし、その怒りは真っ直ぐだった。 だが── 「……神谷君、残念だよ。 君はもう少し賢いと思っていたんだがね」 「……?」 「我々がそれを黙って見逃すと思っているのか? 
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-04
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第十六話「目的」

 ──長い、長い沈黙。  想は、自分という存在そのものに疑念を抱いていた。“神谷想”という人格すら、誰かに作られた記憶の上に成り立っているのではないか。  かつて自分が生み出した研究が、誰かの記憶を消し、誰かを冤罪に追いやった── その可能性に打ちのめされていた。  聞いてはいけない話を聞いてしまったのかもしれない。りかもまた、迷いを抱えたまま口を閉ざしていた。   ──どれほどの沈黙が続いただろうか。  先に口を開いたのは、りかだった。 「……あなたに、話さなきゃいけないことがあります」  俯く想の隣で、彼女は静かに語り出した。   ──綾瀬りかの弟、優斗。 大学生だった。真面目で、優しくて、家族思いで、将来を嘱望されていた。  ある日、通学中に轢き逃げ事故に遭い、命を落とした。 「でも……おかしかったんです」  捕まったのは、ごく普通のサラリーマン。物的証拠も揃っていて、裁判は早かった。 だが、彼だけが言い続けていた。 「俺はやっていない。……何も覚えていない。なのに、なぜ記憶が“ある”んだって」  何よりも不可解だったのは── 弟が搬送された病院で、りかが見た“男”の姿だった。 「その人……事故の犯人と、全然違う人で
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-05
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第十七話「協力者」

 ──共に戦うと誓い合った2人。 だが、その第一歩は、思いのほか難しいものだった。  「……で、戦うって言っても、俺たち、何すればいいんだ?」  想が素朴な疑問を口にする。 それは、核心でもあった。 「まさにそこなんです。まずは、神谷さんの記憶を戻せたらって思ってて…… 特殊な周波数の装置とか言ってましたよね? 何か、思い出せそうですか?」 「うーん……さっぱり」 「とりあえず、電波でも当ててみます?」 「おいおい、俺の脳をチンでもすんのかよ……脳科学者の発言とは思えないな」 「……ごめんなさい」  くだけた会話の中、ふと想が気づく。 「そういえば、よく研究所までたどり着けたね。俺の名前まで……」 「あ、それは……実は協力してくれてる人がいるんです」 「協力者?」 「中学の同級生なんですけど……今は刑事をしてて。 事故の調書や、研究所の周辺情報も──その人に手伝ってもらってました」  少し言いにくそうに、りかは続ける。 「……聞かなかったことにします?」 「いや、言ってくれていいよ。ただ、他言しないほうがいいってこと?」 「はい&helli
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-06
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第十八話「触れる」

 ──喫茶店・夕方。 橘と別れた後、想とりかは、今後の方針について語り合っていた。 「……でも、実際どうやって記憶を戻すか、だな」  想の疑問は、誰もが感じる率直なものだった。 「ですね。医学的には、写真や映像、匂いなどの“記憶のフック”が有効って言われてますけど……」 「俺の場合、音声だけじゃ、何もピンと来ないんだよね」  2人はそろって肩を落とした。 「早くしないと……また、水曜日が来てしまう」  想の表情には焦りがにじんでいた。今日は土曜日。あと数日で、また“あの日”がやってくる。  その夜、再び研究所に向かってしまえば、今度こそ全ての記憶が消されるかもしれない。そう考えるだけで、胸が締めつけられた。 「……でもさ、なんで俺、水曜の深夜に限って“動いちゃう”んだろう?」  ふと漏れた想の言葉に、りかの目が鋭くなる。 「それ……何かあるのかも。 あの時間じゃなきゃいけない理由……あっ!」  りかが何かに気づいたように、身を乗り出す。 「……記憶を“取られた”時間……!」 「え、どういうこと?」 「もしかしたら、水曜日の深夜0時30分に、記憶を奪われたんじゃないかって&
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-07
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第十九話「神谷想という男」

 ──りかの考えた作戦が、伝えられる。  想は“記憶をすべて取り戻したふり”をして、研究所に潜入。 中野と対峙し、まずは説得。 もし応じなければ、装置を奪い取り、記憶を取り戻す──という強硬策だった。 「……ちょっと、雑すぎやしないかい?」  想は、軽く笑いながらツッコミを入れる。 「え? 我ながら、けっこう良い作戦だと思ってたんですけど」 「いや、“記憶が蘇ったふり”まではいいんだよ。  でもさ、最後が“力ずくで奪い取る”って……成功する未来が全然見えない」  想は苦笑いを浮かべながら、テーブルを指でトントンと叩く。 「でも……“気を引いている間に装置を操作する”って方が、まだ現実的かもな」 「それこそ、どうやって1人でやるんですか?」  りかの問いに、想は無言でニヤリと笑う。 「……えっ、私も?」 「当然でしょ。バディじゃん、俺たち」 「……もうちょっとマイルドな作戦、考えません?」 「おい、ズルいぞ」  2人のやり取りは、どこか漫才のようだったが、その目は真剣だった。ああでもないこうでもないを繰り返し、時間だけが過ぎていく。 ──このままでは埒が明かないと判断し、橘も交えて作戦会議を開くことに。 
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-08
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