そうして、晴子が海野市に来てから、三年の歳月が流れていた。この街で、彼女は穏やかで充実した日々を手に入れていた。つい先日、医長に昇進したばかりで、腕の回復も順調で、再び手術室に入ることができるようになった。執刀が可能になってから、彼女のスケジュールは常に埋まっている。身体は確かに疲れるが、晴子の顔には生き生きとした輝きが戻っていた。彼女は長かった髪をミディアムヘアに切り、軽やかなパーマをかけた。見た目もすっかり様変わりした。海野市の街も、年を追うごとに変貌を遂げていた。かつて静かだった地域が、今では活気にあふれ、美しい街並みに生まれ変わっている。分院はこの三年で大きな成果を上げ、京平市から視察団が訪れることになった。この機会を取りつけてくれたのは、他ならぬ看護師長の麗だった。彼女と晴子はこの数年、ずっと文通を続けている。晴子が最も嬉しかったのは、あんちゃんが見つかったという知らせだ。あんちゃんは麗の家の猫が連れて帰ってきたらしく、今では元気に子猫まで産んだという。麗が送ってくれる写真を見るたび、晴子の胸は温かくなった。あんちゃんが無事でいる。それだけで、胸の奥の傷が少しずつ癒されていくようだった。そしてもうすぐ、麗やあんちゃんと再会できる。そう思うと、晴子の顔には自然と笑みがこぼれた。……一方その頃、京平市では、またしても眠れぬ夜を過ごす男がいた。横生は海野市の分院へ視察団を派遣する話を聞いた時から、彼の胸には抑えきれない期待が渦巻いていた。彼も密かに晴子の消息調べていた。彼女の腕は完全に回復し、再び執刀医として活躍している。その知らせを聞いた時、横生は心の底から安堵した。だが同時に、胸の奥に残る痛みは、いまだ消えることがなかった。わざと横生を今回の視察団の一員と任命した院長も、きっと彼に「過去と区切りをつけさせたい」と思ったのだろう。しかし横生の中には、かすかな希望がまだ残っていた。――晴子は、もしかしたら自分を許してくれるのではないか?もう一度、共に歩めるのではないか?彼は家を、かつて晴子がいた頃のままに戻していた。寝室の壁には二人の結婚写真。棚には、彼女が愛読していた本が整然と並ぶ。玄関には、あの頃と同じ猫の寝床――晴子がいなくなった後、
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