Todos os capítulos de 愛は春の雪のように溶けて: Capítulo 21 - Capítulo 25

25 Capítulos

第21話

そうして、晴子が海野市に来てから、三年の歳月が流れていた。この街で、彼女は穏やかで充実した日々を手に入れていた。つい先日、医長に昇進したばかりで、腕の回復も順調で、再び手術室に入ることができるようになった。執刀が可能になってから、彼女のスケジュールは常に埋まっている。身体は確かに疲れるが、晴子の顔には生き生きとした輝きが戻っていた。彼女は長かった髪をミディアムヘアに切り、軽やかなパーマをかけた。見た目もすっかり様変わりした。海野市の街も、年を追うごとに変貌を遂げていた。かつて静かだった地域が、今では活気にあふれ、美しい街並みに生まれ変わっている。分院はこの三年で大きな成果を上げ、京平市から視察団が訪れることになった。この機会を取りつけてくれたのは、他ならぬ看護師長の麗だった。彼女と晴子はこの数年、ずっと文通を続けている。晴子が最も嬉しかったのは、あんちゃんが見つかったという知らせだ。あんちゃんは麗の家の猫が連れて帰ってきたらしく、今では元気に子猫まで産んだという。麗が送ってくれる写真を見るたび、晴子の胸は温かくなった。あんちゃんが無事でいる。それだけで、胸の奥の傷が少しずつ癒されていくようだった。そしてもうすぐ、麗やあんちゃんと再会できる。そう思うと、晴子の顔には自然と笑みがこぼれた。……一方その頃、京平市では、またしても眠れぬ夜を過ごす男がいた。横生は海野市の分院へ視察団を派遣する話を聞いた時から、彼の胸には抑えきれない期待が渦巻いていた。彼も密かに晴子の消息調べていた。彼女の腕は完全に回復し、再び執刀医として活躍している。その知らせを聞いた時、横生は心の底から安堵した。だが同時に、胸の奥に残る痛みは、いまだ消えることがなかった。わざと横生を今回の視察団の一員と任命した院長も、きっと彼に「過去と区切りをつけさせたい」と思ったのだろう。しかし横生の中には、かすかな希望がまだ残っていた。――晴子は、もしかしたら自分を許してくれるのではないか?もう一度、共に歩めるのではないか?彼は家を、かつて晴子がいた頃のままに戻していた。寝室の壁には二人の結婚写真。棚には、彼女が愛読していた本が整然と並ぶ。玄関には、あの頃と同じ猫の寝床――晴子がいなくなった後、
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第22話

手術室の明かりがようやく消えた。ドアが静かに開き、手術着をまとった女性が現れた。横生は思わず立ち上がった。だが、足が地面に釘づけられたように動かない。ただ遠くから、その姿を見つめることしかできなかった。晴子がマスクを外した瞬間、横生の視界が一気に明るくなった。三年間、夢の中で幾度も思い描いたあの顔、ようやく目にした。彼女は昔と変わらず美しく、いや、かつてよりもさらに輝いていた。――思う人の顔が、これほどまでに心を奪われるものか。髪は短く、以前の柔らかさより凛とした。瞳にはもはや陰りはなく、澄み切り、まっすぐで、強い光を宿していた。今の晴子は、横生にとって懐かしいと同時に、まったくの別人のようであった。だが誰の目にも明らかだった――彼女は、より良き方向へと変容したのだ。晴子は患者家族に丁寧に説明をしていた。横生にはその声は届かない。それでも、どうしてもあの声をもう一度聞きたかった。勇気を振り絞って歩み寄ろうとしたその時、晴子はくるりと背を向け、洗浄室へと入っていった。横生はその場に立ちすくんだ。どうすればいいのか、この三年の想いを、どんな言葉で伝えればいいか、わからなかった。混乱する彼をよそに、晴子が再び洗浄室から現れた。横生は慌てて追いかけた。だが、彼女の隣には見知らぬ男性がいた。背が高く、白衣は着ていない。明らかに病院関係者ではなさそうだ。その男性はごく自然に晴子の傍らを歩いていた。まるで、これが日常の光景であるかのように。その瞬間、横生の中で三年間蓄積された感情が一気に噴出した。理性もすべて吹き飛んでいった。彼は人目もはばからず、二人の前に立ちはだかった。「晴子!なぜ、この男と手をつないでるんだ?彼は誰だ!」突然の声に、晴子は一瞬息をのんだ。再会がこんな形になるとは想像もしていなかった。いや――そもそも横生と再び会う日が来るなど、考えてもいなかった。周囲の職員や患者たちがざわついた。この分院では晴子も秋墨もよく知られた存在だ。だが横生を知る者はいない。秋墨は眼前の男を知らなかった。反射的に晴子をかばい、彼女を自身の背後に守った。その一瞬の動作に、横生の胸が痛んだ。まるで自分が、晴子を傷つける存在であるかのように。晴子は久しぶりに見る
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第23話

三人が立つ場所はあまりにも目立ち、好奇の視線が次々と集まり、ざわめきが広がっていた。晴子は二人を止めようとしたが、どちらも一歩も引かない。仕方なく、彼女は二人を連れて外へ出た。外に出ると、横生はどうしても晴子と二人きりで話したいと主張した。秋墨は晴子の顔色をうかがい、ようやく不承不承に数歩離れた。横生は眼前の晴子を見つめ、言いたいことは山ほどあるのに、言葉が見つからない。「晴子……この数年、ずっと君を想っていた。子どものことも全部知った。あいつらには相応の罰を与えた。君と、俺たちの子どもの仇は取った。三年前、君を失ってから、ようやく気づいた。俺が本当に愛していたのは、ずっと君だけだった。晴子、もう二度と君を失いたくない。今さらこんなことを言っても虚しいかもしれない。だが、お願いだ。もう一度だけチャンスをくれ。これからの人生、すべてをかけて償う。二度と君を苦しめない……一緒に京平市へ帰ろう」晴子は目の前で必死に訴える男を見つめながら、かつて自分が、こんな男のために泣いていたなんて、信じられない思いだった。幸い、時間は残酷ながらもすべてを洗い流してくれる。横生は、彼女の中で完全に過去の存在となっていた。この数年、彼が何をしようと、もはや晴子には関係ない。だが横生は今も過去に縛られ、古い記憶にしがみついている。あの頃、家族に傷つけられた時も、身体を痛めた時も、子どもを失った時も……横生は彼女の傍にいた。だが、一度も守ってはくれなかった。一度も、癒してはくれなかった。今さら、何が変わるというのか?晴子は思う。二人の関係にふさわしい結末は、二度と交わらないことだ、と。特に子どもを失ってからは、横生への最後の未練も消えていた。横生は晴子の瞳を見つめ、そこにある答えを悟った。彼女が秋墨を見る目はあれほど輝いているのに、自分を見る目は、暗く、諦めに満ち、少し悲しげだった。――俺は、彼女をここまで傷つけたのか?横生は信じたくなかった。現実を拒み、自分を欺こうとする。彼は秋墨を指さし、声を荒げた。「この男のせいだろ?こいつがいるから、俺の元へ戻って来ないんだな?こいつが君の心を奪ったのか?」悔しさと嫉妬が入り混じり、横生の顔は歪んでいた。彼はどうしても、晴子が別の男を愛している事
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第24話

翌日は、京平市からの視察団が訪れる日だった。晴子は午前中の予定をすべて空け、視察団を迎える準備を整えた。今の彼女は自信に満ち、輝きを放っており、久しぶりに会う人々の中には一瞬で誰だかわからない者もいた。「神原先生、お久しぶりです!」「今は『神原医長』と呼ばなきゃですね」と、分院の同僚が笑いながら言った。「以前よりずっと美しくなられました」晴子はにこやかに挨拶を交わし、一通りの応対を終えると、落ち着かない様子で人混みを見回した。そして麗の姿を見つけると、小走りで駆け寄った。晴子は彼女の手をしっかり握りしめた。二人は京平市で共に働いて、姉妹のように親しい間柄だった。久々の再会に、言葉が胸に詰まる。麗はまず晴子の腕を見た。古傷が完治していると知っていても、自分の目で確かめずにはいられない。今の晴子の生き生きとした表情を見て、思わず目が潤んだ。あの日、晴子が京平市を去った時。彼女は孤独で、子どもを失ったばかりで、心身ともに弱り切っていた。その姿を思い出すたび、麗はいつも胸が苦しくなった。だが今の晴子は、生まれ変わったように強く美しい。これこそが、元々彼女が持つべきだった、輝く姿なのだ。「……すべて、うまくいっているわ」二人は固く抱き合い、南北に隔たれた数年間の想いがようやく形になった。晴子は一日かけて視察団を案内した。皆それぞれ話が尽きず、医療の進歩や南北の交通の便について語り合った。離れていても、心は一つにつながっている。「結婚されるそうですね?」と、好奇心旺盛な同僚が尋ねた。晴子は穏やかに微笑んだ。「来年のことです。時間があればぜひ来てください。交通費も宿泊も、すべて手配しますから」麗は嬉しそうに頷いた。「もちろん来るわ」晴子の幸せそうな様子を見て、長年の心配がようやく晴れたようだった。「あなたがここに来ることを選んだのは正解だった。人は時には外の世界に出ないと、本当に美しい景色を見つけられないもんだね」そう言いながら、彼女は周囲を見回し、ふと尋ねた。「福井先生には、もう会ったの?」晴子は小さく頷いた。「昨日会った。でも……もう私たちは終わっている」麗は深く頷いた。「そうね。人は持っている時にはその価値がわからないものだわ。そういえ
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第25話

「横生?どうしてここに?今、病院は封鎖されているの。外には出られないわ」防護服も着けずに立つ横生は、ただ晴子をじっと見つめた。そして一歩前に出て、はっきりと告げた。「京平市市立病院、福井横生、ただいま到着しました。この緊急対応に参加を申請します!」晴子は言葉を失い、その場に立ち尽くした。「晴子、今度こそ、もう君を置き去りなんてしない!」病院はすでに封鎖されており、晴子は彼を外に出すことも、止めることもできなかった。晴子は静かに命じた。「中で防護服を着て」夜明け前には、すでに十数件の類似症例が発生していた。しかし感染源は依然として特定されず、院内には不安が広がる。だが、医師も看護師も動揺してはいけない。彼らこそが、患者たちの最後の砦なのだから。予定されていた重症患者の手術も中止できない。誰もが極限の緊張の中で働き続けていた。夜が明けるころ、一台の車が病院の正門から緊急に入ってきた。車から降りてきたのは、防護服に身を包んだ人々だった。秋墨が出迎えに出る。京平市の医師たちが、自らの意思で戻ってきたのだった。「京平市市立病院、佐々木明。緊急対応に参加を申請します!」「京平市市立病院、鈴木千尋、緊急対応に参加を申請します!」「京平市市立病院、佐藤麗、緊急対応に参加を申請します!」……秋墨は、その場に立つ医師たちを見つめ、言葉を失った。そして深く頭を下げる。「本当に……ありがとうございます」ウイルスは嵐のように人々を襲った。封鎖の措置を取っても、新たな患者は次々と運び込まれ、すでに病院の限界を超えていた。三日間、休むことなく働き続けた医療スタッフの体は、すでに限界に近かった。その日の午後、緊急で搬送された一人の女性患者がいる。執刀医は秋墨だった。搬送が遅れ、合併症もあり、最善を尽くしたが、救うことはできなかった。手術室の前で結果を待つ晴子は、不安な胸騒ぎを覚えていた。そして、秋墨が重い足取りで出てくるのを見た瞬間、すべてを悟った。晴子は何も言わず、そっと彼を抱きしめた。その時、患者の家族が駆け込んできた。旅の疲れが見える老夫婦だった。秋墨は他にできることもなく、ただ労わるように声をかけた。「ご愁傷さまでございます」「奈々……俺の奈々
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