All Chapters of 裏庭が裏ダンジョンでした: Chapter 101 - Chapter 103

103 Chapters

キエーウ強襲戦 3

 おびただしい血と共にリースの上半身が崩れ落ちて地面に落ちる。「リイイイイイィィィース!!!!!!!」 モモが叫んで近付く、そして回復薬を上半身に振りかけた。 リースは叫ぶことも動くことも無かった。目を開いたまま、何が起こったか分からないまま、絶命していた。「貴様あああああああ!!!!!」 モモは声にならない叫びを上げてその人影の方を見る。 ユモトはその凄惨さに思わず胃液がこみ上げて口に手を当てた。「裏切り者には、まず死んでもらうじゃんな」 男の声だった。ビュンビュンと大鎌を振り回し、血を払うと構え直した。「俺が憎いか? 亜人。憎しみの連鎖を断ち切るなんて無理じゃんな。こうして簡単に憎しみなんて生まれちまう」「人を殺しておいて何を言う!!」 涙を堪えながら剣先で男を捉えてモモは怒る。「それはお前も一緒じゃんよ。お前は俺の友人を殺した」 それを言われてモモはハッとした。「お前が斬った人間を忘れたか? 何でも切れる剣とデカくなる盾を持つ男じゃんよ」「モモ、話を聞くな!! 戦いに集中しろ!!」「キエーウの人間はほぼ皆、亜人に恨みがあるじゃんな。これは亜人をこの世から消すまで消えないわけ」 モモは思い出してしまう。始めて命を奪った男のことを。 出遅れた、男が鎌を持ち、こちらへ走ってくる。そこへ投げられたのは木の杭だった。 騒ぎを察知して走ってきたヨーリィが男の前に立ちはだかる。「例の死体少女のお出ましってわけか」 ヨーリィが木の杭をビュンビュンと投げるが、男は大鎌を振り回して弾き飛ばす。「ユモト!! ボーッとするな!!」 アシノに言われてハッと我に返り雷の魔法を詠唱した。鉄の武器を持つ者は雷の魔法を武器で弾く事も出来ず、躱すか防御壁を貼るかしか防御の手段がない。「遅いじゃんな」 男は大鎌を持っているとは思えない速さで右へと走り、雷を避ける。アシノもワインコルクをパァンと飛ばすが当たらない。 そんな男をモモは剣を持ち追いかけた。まずいとアシノは思う。「モモ、無理をするな!! そいつは今のお前じゃ歯が立たない!! ルーの加勢を待つんだ!!」 くっと足を止めて仲間の元へ戻るモモ。「逃げるのか? 弔い合戦といこうじゃんよ」 男へ怒りはあったが、理性の方が上回っていた様だ。 煽りも無視して距離を取って剣を構える。そんな中
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キエーウ強襲戦 4

 男は最後に走馬灯を見た、自分を1人で育ててくれた母親。大好きな母親。オークに殺された母親だ。 ある日、治安維持部隊が来て、自分の母親はオークの盗賊団に殺されたと知った。 夜遅く、街の仕事からの帰り道で母親は殺された。悔しくて、寂しくて。 それが、何故だか分からないが、自分は母親に抱きしめられていた。温かい安心する体温が伝わった。「お母さん!!」 安心して泣いてしまっていた。母は頭を優しく撫でてくれる。「寂しい思いをさせてごめんね、ごめんね……」「ムツヤか? こっちは片付いた。すまないがもう一度キエーウの支部へ向かってくれ」 アシノは連絡石でムツヤに話した。「わがりまじだ」と返事があったので任せて問題は無いだろう。 ルーが探知盤で辺りの様子を見たが、反応はない。敵もこれ以上は居ないようだった。 モモは体中の傷も足首も回復薬で元通りになった。そして治ると同時に走ってリースの元へと向かう。 待っているのは残酷な現実だ。リースは下半身と上半身が斜めに切り分けられ、目は見開いたまま死んでいた。 その惨さにユモトは思わずまた口元を抑える。 モモは半ば無意識に2つになったリースを元に戻し回復薬を掛けようとした。「やめろっ!! 回復薬の無駄遣いだ!!!」 黙っていたアシノに一喝されてモモはビクリとする。「あ、アシノ…… そんなふうに言わなくても」 ルーは喋ったが、うまく言葉が見つからずまた黙り込んでしまう。「死んだ人間は生き返らないんだ。たとえ裏の道具を使ったとしてもっ!!!」「あっ、あっ、うぅぅぅ……」 モモは膝から崩れ落ちて泣いていた。悲しさか、悔しさか、虚しさか、それともそれら全てが混ざった感情か。涙が溢れて止まらなかった。 ムツヤはキエーウの支部を目指し風のように走っている。先程の爆風で辺りの木々は倒れ、燃えていた。 心臓がバクバクと鼓動を打っているのが分かる。人を殺めた恐怖が体を支配しそうなのが分かる。 頭を振ってそれらから逃れようとした。今は戦いに集中をしなくてはならない。 探知スキルで近付いているのは分かっていた。あと数分ほどでたどり着くだろう。「敵襲ー!!!」 キエーウの支部である枯れたダンジョンでは蜂の巣をつついたような騒ぎだった。 弓兵と魔道士が外へ出てムツヤの強襲へ備える。 森から何かが空へ飛び出した
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40日間 1

「アシノさん、終わりました」 連絡石でムツヤはアシノへそう伝えた。「そうか、ご苦労だったな。治安維持部隊が来る前に裏の道具の回収と、キエーウの隊員を縄で縛っておいてくれ」「はい」 ムツヤは最初に言われた通り裏の道具を回収し、戦闘員達を縄で縛る。「お……い、裏の住人」 最深部に居た男が何かを話し始めた。「亜人は……、どちらにしろ後40日で終わりなんだよ、ハハッハハハハ!!!!」「おい、何を言うんだ!!」 それだけ言って男はまた何も話さなくなる。――――――――――――――― モモが倒した鎌を使う男は森の中へ埋葬した。憎い敵であったが、彼もまた悲しみを背負って戦っていたのだろうから。「モモ、リースの出身地は知っているか?」「いいえ……」 リースの亡骸は布で包んでおいた。顔だけ見れば眠っているようだ。「出来れば故郷の地で眠らせてやりたいが…… 仕方がない。エルフの村で引き取ってもらえないか聞いてみよう」「エルフが嫌な顔をするのでは無いでしょうか、リースはキエーウのメンバーでしたし……」 モモは心配から思わずそう言ってしまったが、アシノは訂正してやる。「違うな、リースは私達の仲間だ」 ハッとしてモモは頷く。短い間だったが、確かにリースは仲間だった。「えぇ、そうでした……」「何にせよムツヤと合流したらエルフの村へ向かうぞ。治安維持部隊にも待機してもらっている」「そんな、リースさんが……」 仲間の元へ戻ったムツヤはリースの死を告げられ、ショックで固まってしまった。「やっぱり、やっぱり俺のせいです!! 俺が裏の道具を持ってきたからっ!!」「ムツヤ、お前のせいじゃない。キエーウという存在はこちらの世界の元からある問題だった」「そうです、ムツヤ殿が悪いわけではありません!!」 アシノとモモはムツヤにそう言うほか無い。 馬車にリースを乗せて皆でエルフの村へと戻ることにした。皆、心身ともに疲れ果て、会話は無い。 そんな時に、ムツヤのペンダントが紫色の光を放った。久しぶりのサズァンの登場だった。「ムツヤ、まずはお疲れ様ね」 いつもの掴みどころのない感じは消えて、サズァンは神妙な面持ちをしている。「サズァン様!?」「ムツヤ、皆、落ち着いて聞いて欲しいわ。恐らくキエーウは『災厄の壺』を発動させたみたいよ」 それを聞いてム
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