ムツヤ達はしばらく呆然としたり、泣いたりしていたが、アシノが家から持ち出した担架にギルスを乗せて白い布を被せた。「スーナの街へ戻るぞ」 アシノの言葉に全員が頷いて、担架はムツヤとモモで持ち上げる。 皆、無言のまま森を抜け、スーナの街へとたどり着く。城門前でアシノは担架をおろして言う。「私がギルドへ言って事情を話してくる。それまでここで待っていてくれ」 アシノがギルドへ向かうとまた静けさが戻る。通行人が何事かと遠巻きにこちらをチラチラ見ている。 少し時間が経ち、アシノが戻ってきた。「事情は話してきた、ギルドの遺体安置所は空いている。ギルスを運ぶぞ」「……はい」 またムツヤとモモが担架を持ち上げると、人混みの中を歩く。 冒険者が死んでこうして運ばれることは年に数回はある。 察した住民たちは自ずと道を開けて野次馬になっていた。 冒険者ギルドの裏口にたどり着くとアシノは扉を開けた。1人の受付嬢が深々と頭を下げる。その横を担架を持って一行は歩いていく。 活気のある表口とは違い、暗く静かな雰囲気が漂っている。 そして、案内された1室にはベッドが3つ並んでいた。白い布を取り払い、ギルスをその1つに寝かせる。「ここまで来ればキエーウの連中にも聞かれないだろ、皆おつかれ」 アシノはそう言ってうーんと背伸びをする。するとルーは笑い始めた。「しっかしこれ良く出来てるわね、本当にギルス死んじゃったみたいじゃない」「ムツヤ、ギルスに連絡は入れたか?」「はい。監視していた2人の気配は一緒に付いてきていたんで、連絡は入れておきました」 アシノに聞かれると懐から連絡石を取り出してムツヤは言う。 時は少し戻って、先程ギルスとの戦いがあった場所。地面をよく見ると小さな穴が空いている。その横からボコッと手が伸びて人が這い出てきた。「はぁはぁ、窒息するかと思った……」 出てきたのはアンデットではなくギルスだ。右手には呼吸をするために使ったであろう筒が握られている。 朝、モモに茂みの中へ隠しておいてもらったフード付きのローブを着て顔を隠し、ギルスはスーナの街へと歩き出した。 そう、ベッドの上に横たわるギルスは裏の道具の『握ると自分の人形を作り出す玉』で作ったデコイだ。 人形と言っても精巧に作られているため、死体だと言われれば見分けがつかない程であった。
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-02-09 อ่านเพิ่มเติม