Semua Bab 亡き先代の番に囚われたΩ宰相は、息子である若きα摂政に夜を暴かれる: Bab 21 - Bab 30

33 Bab

第21話 守れなかった約束と、遅すぎた到着

 ──襲撃の報を受け、セイランが皇宮へ駆けつけていたそのころ。  皇宮東棟。  第一応接間。「……子どもを、下がらせろ」 息を切らせて駆け込んだカイが、腰に帯びた剣を抜いた。「ユリウス、後ろに」 室内には既に複数の黒衣の男たちが侵入していた。小柄なユリウスの身体を背後に庇い、カイは無言で一人、剣を構える。 ──守る。 あのときの誓いが、胸を焼くように蘇った。(家族は、俺が守る) その一太刀は、正確無比だった。 ──だが。 激しい戦いののち、静まり返った部屋の奥で、ユリウスがゆっくりと膝をついた。「……ユリウス……?」 「……大丈夫……ただ、ちょっと……少し……休めば……」 その額には、はっきりと冷や汗が浮かんでいた。  カイが駆け寄る。「しっかりしろ……ユリウス……!」 ユリウスは、微笑んだ。「……ううん、大丈夫。……すこし……寝たいだけ……」 その目が、ゆっくりと閉じかけた瞬間。  扉が開いた。「陛下──!」 セイランだった。  だが彼は、その場の空気を見て、即座に沈黙する。 カイが、涙をこらえるように、ぎゅっと抱きかかえてユリウスの手を握っていた。*** 翌朝。 反乱は鎮圧された。  だが――セイランが駆けつけたとき、ユリウスはすでに高熱を発しており、医官が枕元に控えていた。 王宮東棟、皇帝の私室。  柔らかな天蓋がかけられた寝台には、ぐったりとしたユリウスの身体が横たわっている。顔色は蒼白で、額には冷たい汗が滲んでいた。 医官が脈をとる手をそっと引き、沈痛な面持ちでセイランを見上げる。「……陛下は、深刻な衰弱状態にあります。高熱による臓器機能の低下も……今夜が峠かと……」 「下がれ」 セイランの低い声に、医官はすぐさま頭を垂れ、静かに部屋を退出した。  そこへ、カイがリュカを抱いたまま、息を切らせて駆け込んでくる。「ユリウスッ……!」 寝台の傍にひざをつき、カイはその顔を覗き込む。「おい……ユリウス、お前、ふざけてんだろ……なあ、起きろよ」 返事はない。  その言葉に応えるように、ユリウスのまぶたが、ほんのわずかだけ震えた。「……カイ……来てくれた……」 「ああ……! 来た、来たぞ、だから……!」 カイがその手を握る。  ユリウスの手はすでに力を失い、ひどく冷たかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-18
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第22話 涙にほどけた境界線

 嗚咽が部屋に満ちていた。  カイはリュカを抱き締めたまま、崩れ落ちそうな肩を震わせていた。 ベッドの上には、穏やかな顔をしたユリウスの亡骸。  夜明け前、看取られるように静かに息を引き取った皇帝の姿を前に、誰もが言葉を失っていた。 沈黙を破ったのは、カイだった。「……セイラン。……なんでこいつを危険にさらすようなことしたんだよ……」 低く、絞り出すような声。  セイランは応えなかった。  カイはリュカを寝台の傍に座る侍女へそっと預け、ゆっくりと立ち上がる。「……急ぎすぎたら、こうなるって、予想くらいついてただろ……!」 カイがセイランの胸倉を掴み、ぐいと引き寄せた。  その目には涙と怒りと、言いようのない喪失が燃えている。「お前がっ──っ」 肩が震える。拳を振り上げかけたが、直前で止まった。 それでも、セイランは動かなかった。 目を逸らすことも、拒むこともなく、ただまっすぐにその怒りを受け止める。「……そうだな、お前が言う通りだ」 掠れた声で、セイランは言った。「……すまん」 謝罪の言葉に、カイの手が力を失う。  胸倉をつかんでいた手が、するりと滑り落ちた。 殴りたかったわけじゃない。  ただ、どうしても、どうしようもなく悔しかった。 謝られた瞬間、胸の奥がぐしゃりと音を立てた。  風が止み、世界がひとつ、静かに崩れた。*** ──深夜。 帝国宮廷・東棟。静まり返った執務室。 一通りの対応を終えたセイランは、誰もいない政務机の前に座り、机上に広げられた報告書の束をじっと見下ろしていた。重い沈黙。蝋燭の灯が、紙と影の輪郭を揺らしている。 その扉が、ひとつノックもなく開かれた。 入ってきたのは、カイだった。裾の乱れた礼装のまま、マントも脱がずに、そのままの姿で室内へ歩み寄る。「……いたのか」 カイの声はかすれていた。 ふと、その視線がセイランに落ちた。 セイランの指が、報告書の上で止まっていた。 震えている。 そのわずかな震えを見た瞬間、カイの胸の奥で何かが崩れた。 ――違う。 俺が傷つけた。 傷つけたくはなかったのに。 どれだけ辛かったか、分かってたのに。 気づけば、カイはもう立っていられなかった。 ゆっくりと膝をつき、セイランのそばに身を寄せる。 まるで、昔――怒られて謝るとき
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-19
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第23話 とろけ落ちる前夜

 皇帝ユリウスの崩御を受け、王宮は一時的に政務機能を停止していた。 混乱を避けるため、皇配カイと皇子リュカは、帝政期から最高防衛区画とされていた宰相セイランの私邸へと移された。 表向きはあくまで避暑と静養の処置。だがその実、政敵の目から隔離し、守るべき後継者たちを、王宮という舞台から一度降ろすための防衛的退避だった。 反乱の首謀者たちは、セイランの策略通り、ほぼすべてが一斉蜂起の現場で拘束・粛清された。 皇居襲撃という一点の綻びを除けば、作戦は極めて成功裡に遂行されていた。 政庁の動きは最小限に抑えられ、表向きには「皇帝の静養続行」として報じられていた。情報の制御には、参謀ゼノ=クラヴィスの迅速かつ精密な采配が大きく寄与していた。 ──それゆえに、屋敷の中には、異様なまでの静けさが漂っていた。 リュカを寝かしつけたあと、セイランは一人、書斎に籠もっていた。 薬瓶を開け、水差しの横に並べる。手元がかすかに震えるのを、自分でも感じていた。(また……この匂いを隠さねば) 戸口の気配に気づいたときには、すでにカイが廊下を歩いていた。 足音は静かだったが、その存在は遠くからでもひどく鮮明だった。 扉がわずかに開かれ、視線が刺さる。「……その薬」 低く、湿った声。 セイランは一瞬だけ顔を上げたが、すぐに視線を逸らした。「……抑制剤か」 机に置いた瓶が、カイの手に掴まれる。 小さく揺れて、瓶の中で錠剤が音を立てた。「なんで、飲むんだ」 その問いに、喉が詰まる。 息を吸って、吐くだけで精一杯だった。「……必要だからだ。お前が──」 自分でも、どうしてその言葉が出たのかわからない。 すぐに噛み殺し、言葉を飲み込んだ。「俺が?」 静かに、でも逃がさない声で。 セイランは目を逸らした。「……なんでもない」「おかしいと思ってた」 カイの声が低く、湿っていた。「父上と……あなたと会うとき、いつも発情の匂いがしてた。……もしかして俺が、あなたを、発情させてるのか?」 セイランの喉がわずかに動いた。「……ただの本能だ」 その言葉が、あまりにも静かで、痛かった。 カイは小さく笑った。「本能で求めてる? そうだろうな。あなたはアレクシスの番だった──」 言いながら、手が首筋に伸びた。 指先が、薄れかけた歯痕をな
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第24話 逃げられない夜が始まる

 カイの腕が突然セイランの腰をさらった。 驚く間もなく、体がふわりと浮く。「な、……カイ、離せ……!」 返事はない。 ただ、抱き上げた腕に力がこもり、そのまま寝室へとまっすぐ運ばれていく。 扉が蹴り開けられ、次の瞬間―― 柔らかなベッドに、セイランの身体が投げ出された。「……もう、我慢できない」 低く落ちた声が、熱に揺れていた。 艶やかで、甘くて、でもどこか獣のように喉を鳴らす音が混ざっている。 ぞくり、と背筋が粟立つ。 熱が走る。 まるでその声だけで、体の奥がふたたび目を覚ましたかのように。「うそ、だ……そんな……」 言葉にならない。 視線を逸らそうとしたが、カイの指先が顎を取って、もう一度顔を向けさせる。「まだ、触れてもいないのに。……こんなに濡れてる」 指先が、太腿の付け根に触れる。 薄布越しにぬるりと感じる感触に、セイランの喉が鳴った。「……っ、あ……っ……」 脚の間が熱い。 服の内側がじっとりと湿って、空気に触れるたび敏感に疼く。「そんなわけが……っ……!」 否定の言葉は、もう自分自身にしか向いていなかった。 カイが、セイランの胸元に唇を落とす。 濡れた舌が肌を這い、乳首をやさしく咥える。「っ……ぁ……」 思わず、喉から微かな声が漏れる。 背筋が撫でられるようにざわめき、神経が甘く痺れた。「声、出るんだね……」 カイの声は、熱に揺れていた。 指先が服の合わせをほどき、腰を撫で、さらに下へと滑り込む。 そこは、決して触れさせてはいけないはずの場所だった。 けれど、セイランの体は、すでに熱を帯び、受け入れ始めていた。 指が触れただけで、ぬるりと湿り気を含んでいるのがわかる。「こんなに……濡れてる。もう、嫌じゃないんだろ?」 囁かれるたび、理性が少しずつ削られていく。「……馬鹿が……それと、これとは……っ」 言い訳を紡ぐ口元に、キスが落とされた。 深く、貪るように舌が入り込んでくる。 唇を舐め、啜り、喉の奥をやさしく押してくるような……やさしさを装った暴力。 セイランの呼吸が、また一つ、乱れた。「入れたい」 カイが、低く言った。 吐息が首筋を撫でる。 重なった体の奥で、硬く膨らんだ熱が、セイランの太腿を押し上げる。「だめだ」 セイランは、かすかに首を振る。「……今、
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第25話 喪失の向こうの初夜

 一度、達したはずなのに──カイの熱が、そっと戻ってくる。 握られた手首に、ほんのわずかに力がこもる。 額を合わせたまま、カイの呼吸が深く、熱を帯びてセイランの頬に触れる。 その体温と吐息だけで、胸の奥がきゅうっと震えた。 カイのそれは、もう前戯なんかじゃない。 本能で、愛情で、渇望で、欲望そのものだった。 肌を伝うその全部が、心臓の奥までじわりと締めつけてくる。 痙攣の余韻に、身体の芯がじくじくと疼く。 足先まで痺れたような感覚が引かず、セイランは力の入らない手で、濡れた額を押さえた。(……達したのに……) 熱は、まだ収まらない。 襲い来る恥と快楽の波に呑まれたまま、息を整えようとしたそのとき──「……まだ、こんなに……」 カイの指先が、蜜で濡れた腿を撫で上げる。 唇の端に笑みを湛えながら、ゆっくりと腰を落とし、硬く膨らんだ熱をセイランの入口に押し当てた。「セイラン、……俺のを、受け入れて」「や……やめ……だめ……っ」 熱の名残がまだ腹の奥に残っている。 けれど、カイの欲は終わっていなかった。 彼の手が、ぬるりと絡みつくように内腿を開き、火照った場所へと熱を押し当ててくる。 「……奥、感じて」 低く囁かれる声が、耳の奥を震わせた。 「や……それ、は……っ」 先端が、ぬかるむ入口をなぞった。 ぬちゅ……と、空気を含んだいやらしい音が、耳にまとわりつく。 「……ほら、奥、柔らかい。受け入れようとしてる……」 カイの指先が、己の熱を添えながら、セイランの奥へ、押しつけるように滑らせていく。 にゅぷ……っ、と。 肉と肉が押し合う音が、粘つくように響いた。「ふっ……ぁ……や、……ぅ……っ、そんな……っ……♡」 熱の先が、ぬかるむ襞の奥で、ぐり、と甘く押し当てられる。 まるで、身体の芯を押し広げられるような錯覚。 肌がひりつき、快楽が神経を這い上がってくる。「……すごい、中……もう吸ってるよ。……欲しがってる……」 カイがそう囁きながら、腰を小さく揺らした。 ぬちゅっ、ぬちゅっ…… 深い律動が、中を擦りあげる。 その音が、感触が、セイランの意識を溶かしていく。「だ、め、だ……そこ、っ……そこは……だめぇ……っ♡」 涙が滲む。 身体が──中が、じくじくと疼いて止まらない。 その疼きが、強くこすら
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第26話 亡き番が暴く欲

 皇帝ユリウス=ルクレアが崩御してから、三ヶ月。  療養の報はすでに宮廷にも届いていたが、若き皇帝の病死という現実は、なお多くの人々にとって受け入れがたいものであった。 だが帝国は、静かにその喪に服し、新たな秩序の幕を上げた。 葬儀は簡素ながら丁重に行われた。  宮廷には喪章が掲げられ、神殿では七日にわたり祈りが捧げられた。  街では民衆の中から自然と白花の飾りが捧げられ、「優しき賢帝」の名が口々に囁かれた。 帝都の空気には、深い悲しみと、同時に次の時代への静かな覚悟があった。 そして、新体制は──その死の先に始まった。  貴族派の抵抗はなお根強かったが、セイランとカイ──二人の政権運営は、意外なほどに滑らかだった。 すでに、主要な抵抗勢力の多くはセイランによって粛清され、議会の多数派は再編されていた。人事も予算も掌握され、必要な駒は、あらかじめ揃えられていた。    幼き皇帝、若き摂政、老練な宰相。  民衆派と帝国統一戦争の英雄たちはその背を支持し、議会も静かに従い始めていた。 帝都は、ゆっくりと安定を取り戻していった。  ──少なくとも、そう見える範囲では。 だが、夜だけは別だった。 カイは、まるで悲しみを忘れるように、セイランの私邸を訪れた。  発情期など関係なく、毎夜のように扉を叩き、迷いなく彼を抱いた。  優しく、深く、時に激しく――ただ、何かを埋めるように。 セイランの身体は、それに応えていた。  指が触れれば熱が走り、唇が重なれば甘い吐息が零れる。  奥をなぞられれば、蜜が滲み、肌が震える。 だが。 満たされることは、なかった。 絡み合う手足の温もりも、名を呼ばれる声も、  胸の奥に滲む空白を、埋めるには足りなかった。 ──いや、違う。足りないのではない。  そもそも、それで埋まるようなものではない。 それでもセイランは、目を閉じた。  考えることをやめた。  カイが熱を注ぎ込んでくれるなら、それでいいと、そう思うようにした。 ……ふと、夜の最中、微かに鼻先をかすめた匂いに、何かが胸に引っかかったことがある。 発情期の甘い香りに混じる、別の記憶。  遠い昔の、焼けつくような匂い。 けれど、そのときセイランは、自分でその違和感を――かすかに残った記憶を、無意識に握り潰していた。「
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-23
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第27話 飢え尽くした欲が、今夜ようやくほどける

「……離れろ、アレクシス」 その声は、若さを捨てた鋼の響き。 政を動かし、戦場に立ち、そして今――番を奪いに来た男の声だった。 カイ=アレクシオン。 アレクシスの息子。 黒い軍装のまま、息も切らさずに部屋に入ってきた彼は、アレクシスの背に向けて、まっすぐに言い放った。「こいつは、俺のものだ」 部屋の空気が、音もなく張り詰める。「……番になる。今ここで。セイランを、俺のものにする」 アレクシスがゆっくりと立ち上がり、振り返る。 その顔には笑みが浮かんでいた。 皮肉でも、怒りでもない。どこか試すような、それでいて懐かしげな目。「ずいぶんと、言うようになったな。若造」「若造じゃない。帝国の摂政だ。そして、セイランの番になる男だ」 カイの目は揺れていなかった。 その一歩一歩に、決意が刻まれていた。「あなたが死んでから、何年経った? 俺は生きてる。セイランの隣にいる。帝国の摂政で、問題もない。番になる。ここで、今、はっきりと」 アレクシスの笑みがわずかに崩れる。「あなたが、セイランを手放せないなら、俺がその呪いを終わらせる。あなたにできたことは、もう全部、俺にもできる。……いや、俺にしか、できない未来がある」 カイの言葉が終わるや否や、 セイランの手を掴み、肩を引き寄せた。「……あなたのそんな欲望がわかってたら、もっと早く満たしたのに」 低く囁くと同時に、唇が奪われた。 荒く、強く、乱暴なほどに深く舌を差し入れられる。 セイランの身体がびくりと震えた。 逃れようとした膝が、力なく崩れ、 押し付けられた胸にしがみつく。(ちがう、こんな……でも) 目の奥が潤む。 言い訳のきかない悦びが、喉を震わせて出る吐息に混じる。 それを自覚したセイラン自身が、一番、戸惑っていた。「……ほら、わかっただろ?」 唇を離したカイが、真っ直ぐに見下ろす。「俺は、もうあなたの欲に応えられる。アレクシスじゃない。俺が、今のあなたを番にする」 そのとき、アレクシスがわずかに息を吐いた。 黒の髪が揺れ、静かに銀筋の目を細めて――微笑む。「なら、もういい。あとは……任せる」 月の光に溶けるように、アレクシスの影がふっと消える。 けれど、その声は確かに残った。「セイランを、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-24
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第28話 「もっと欲しい」と囁いたら最後

 「……言われただけで、こんな声が出ちゃうんですね、父上」 カイの声が、ぐっと近づく。 耳朶に舌が触れ、唾液混じりの熱い息がふっとかかる。「……もっと教えて?」 指が頬を包み、視線を逃がさせない。「このまま、俺があなたの奥まで触れて──快楽で、何度も震えるその声を聞いたら。……その先に、何を望んでる?」 セイランの脚の間に、手が滑り込む。 衣の隙間から差し入れられた指が、内腿をなぞりながら、そっと前へ──中心部へと触れた。 「……っ、カイ……!」 咄嗟に声が跳ねた。 下着越しでも、熱のこもったそこに触れられると、セイランの腰がびくんと震える。 柔らかな布越しに形をなぞるように、カイの指がそこを押し撫でる。 「……触ってほしいんだよね、ここ」 「言って。どこを、どうされたいのか──ちゃんと」 低く掠れた声。 真っ直ぐで、逃げ場のない言葉に、セイランは唇を噛み、顔を逸らす。 けれど── 「……そこ……前……触って……っ」 自分でも信じられないほど、情けない声だった。 それでも、欲望には抗えなかった。 「擦って……カイ、擦ってほしい……そこ、……気持ちいいから……っ」 「……了解です、父上」 カイの手が布を押し下げ、熱を帯びたものを露わにする。 指先が、先端からゆっくりと撫で上げられる。 もう濡れていた。興奮の証が、とろりと先に滲んでいる。 「……ここが一番、感じるんですね」 囁かれるたびに、恥ずかしさと快感が混ざって、セイランの胸がきゅうっと締めつけられる。 指先が竿をやさしく包み、亀頭を親指で円を描くように撫でる。 「ひ……あっ、やっ、だめ、そこ……♡」 反応が正直すぎて、自分でも苦しくなる。 でももう止まらない。 擦られるたびに、快楽が上へ上へと登っていく。 「そんなに気持ちいいなら……もっとしてあげます」 カイの手が、ゆっくり、けれど確実に動き続ける。 指で包むように前を扱かれながら、熱いキスが胸元を這い、乳首を吸い上げる。 「カイ、だめ、いっ……ああっ……!」 喘ぎが連続して漏れ、背が反る。 指の刺激と、舌の責め。身体が上下で引き裂かれるように快感を飲み込まれていく。 「……イきたいですか?」 「……いかせて……っ、カイ、お願い……!」 そう呟いた瞬間、指の動きが強まった。 強く
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-25
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第29話 深く貫かれて、心まで奪われる

「……了解です。全部、抱かせてもらいます」 太腿の内側に触れたキスが、合図のように熱を帯びる。 次の瞬間、腰を引き寄せられ、奥へと深く―― ずん、と身体の芯まで貫かれた衝撃に、セイランの視界が真っ白に反転した。 喉が詰まり、息が止まり、身体が跳ねる。 「――お゛お゛っ……!」 叫びにも似た声が、喉の奥からこぼれ落ちた。 腰がびくびくと痙攣し、内側がぎゅっと締まる。 絶頂にも似た、甘く鋭い衝撃。 熱が一気に駆け上がり、眩暈すら覚える。 けれど、それだけではなかった。 もっと深いところ── 意識の底、理性の届かない場所で、何かが繋がったのだ。 心の底に沈んでいた何か――孤独、罪、未練、痛み―― そのすべてが、熱に貫かれて溶かされていく感覚。「セ、イラン……きつ……すご……」 カイの声が遠く聞こえる。 セイランは、ただ黙って、身を震わせていた。 涙が、無意識に零れていた。 番になった。 もう、戻れない。(……これが、カイとつながる感覚……っ) カイの動きが、次第に強く、深くなっていく。 押し寄せる熱量と、肌がぶつかるたびに鳴る、ぱん、ぱんっという湿った音。 体内の奥が擦られ、ぬちゅ、ぬちゅっ……と水気を帯びた音が、繋がった場所から漏れた。 それが自分の身体から響いていると気づいた瞬間、セイランの喉がかすかに震えた。 「っ、やっ……そんな……音立てて、……だめ……っ♡」 羞恥に顔を背けても、カイの腰は止まらない。 奥を抉られるたびに、ぬぷ、ぬちゃっといやらしい音が響き、吐息も甘く乱れていく。 でもカイは止めない。むしろ、そう言われたことで動きが熱を増す。「だめなんじゃなくて……気持ちいいんでしょう?」 低く、耳元で囁かれる。 次の瞬間、角度を変えて深く突き上げられ、 セイランの身体がベッドごと跳ねる。「あっ♡ ああっ……んっ♡ やっ、そこっ……だめ……っ♡♡」 腰が勝手に逃げようとする。けれど、腕の中に抱えられ、逃げ場なんてない。 肌が擦れ合うたび、火照りと快楽が交互に全身を駆け巡る。「前のときと……違……♡」「こ、こんな……っ、奥まで……全部、埋められて……♡♡」 呟いた瞬間、自分で言った言葉に目が潤む。 羞恥と快楽で、もうどちらが苦しいのかわからない。「……すごく、いい……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-26
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第30話 あなたを殺した夜、あなたに抱かれる朝

 眠りに落ちたはずなのに、深く沈むどころか、意識は逆に浮かび上がっていた。 霧がかった世界。足元だけがやけに冷たい。 その先に、ひとつの影が立っていた。 黒い軍装。 長い黒髪。 広い背中。 ――アレクシス。 呼んだ覚えもないのに、胸の奥が勝手にその名で震えた。 彼は振り返らない。 あの夜と同じだ。 決意だけを背中に背負い、帝国に刃を向けようとしたあの瞬間。「待て、アレクシス……やめろ。戻れ」 夢の中の声は掠れていた。 現実では届かなかった言葉。 本当は、もっと必死に叫びたかったはずだった。 だが影は止まらない。 ずっとそうだった。 彼は帝国を壊すために進み、セイランはそれを止めきれず、説得できず、救えず―― 最後には、刃を向けるしかなかった。 彼を、己の手で。(……ごめん。俺は……) 言えなかった言葉が喉の奥で渦を巻く。 あの瞬間、言いたかった。 抱きしめてでも止めたかった。 けれど、できなかった。「……アレクシス、俺は……」 影がようやく振り返る。 月光を含んだような 銀の筋の瞳 が、霧の中で細く光った。 口元には、あのときと同じ、静かな笑み。 責める気配は微塵もない。ただ――どこまでも遠い。 そして――彼はゆっくりと口を開いた。「……もう、いい」 その一言で、胸に残っていた憎しみも怒りも後悔さえも、ぜんぶ剥がされるような感覚になる。 赦されているのか。 それとも、突き放されているのか。 どちらにしても残酷だった。「……まだ、終われない……」 手を伸ばそうとした瞬間、霧が風のように吹き荒れ、アレクシスの影をさらっていく。「待て……っ、行くな……!」 届かない。 今でも止められない。 殺した夜の感触が、指に、胸に、焼き付いたまま離れない。 霧の向こうで、最後に彼が言った。「セイラン。……泣くな」 その声で、胸の奥がぐしゃりと歪む。 そのときだった。 後ろから温かい手が、そっと指を絡めてきた。「……父上」 振り向くと、そこにはカイがいた。 黒い軍装でも、亡霊の影でもない。 ただ昨夜、セイランを抱いた男の姿だった。 強くも、優しくもない声で、ただ静かに言う。「俺は、いなくなりません」 やわらかく、確かに、現実へ引き戻す温度。 消える影とは違う、ここにいるという重
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-27
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