このコンテストは、デザイン業界全体を揺るがすほどの話題を呼んだ。それは賞の価値が桁違いに高いというだけではない。Diskeが、ついにその素顔を現したのだ。そして、その顔があまりにも整っていた。これまで彼の作品が世界中の賞を総なめにしてきたせいで、誰もが彼を経験豊富な老匠だと思っていた。だが実際の彼は、驚くほど若く、しかも洗練されていた。私が受けた第一印象は、「芸術家」ではなく――「経営者」。完璧に仕立てられたスーツ、きっちりと結ばれた唇、冷ややかで鋭い眼差し。近寄りがたいほどの気迫を纏っていた。思わず、緊張で手のひらに汗が滲む。前の選手たちが次々と作品を発表し終え、ついに私の番が来た。スポットライトが私に当たる。私は小さなリングを一つ、静かに審査員の前に押し出した。その瞬間、会場がざわめいた。それは、あまりにも「シンプルすぎる」指輪だった。中央に細い溝が一筋走っており、まるで割れ目のように見える。審査員たちは眉をひそめた。ただ一人、Diskeだけが、わずかに口元を緩めた。「手抜きにもほどがあるわね、これはダメだ、次」「ここは学生の卒業制作展じゃないんだぞ?国際コンペだ!」嘲笑と批判の声が一斉に浴びせられる。そして、Diskeの番が来た。私は覚悟を決めた。憧れの人に笑われるのは、胸が張り裂けそうに苦しかった。だが、彼は非難することなく、静かに尋ねた。「これを彫るのに、どれくらいかかりましたか?」「……一晩です」彼は小さく頷いた。「それはすごいですね。僕なら、二日はかかります」「えっ!?」周囲がどよめいた。Diskeは立ち上がり、リングを手に取ると、拡大鏡を通してスクリーンに投影した。次の瞬間、誰もが息をのんだ。それは割れ目ではなかった。――互いに触れようとして、しかし決して触れ合えない二つの手。Diskeは振り返り、私にリングを差し出した。「君の作品を紹介してくれませんか?」私は深く息を吸い込み、震える声で言った。「この作品の名は、『触れそうで触れない愛』です。中央の裂け目は、感情のひび割れを意味しています。冷たさと温もり、真心と偽りが何度も交錯する中で、信じては裏切られ、寄り添ってはまた離れていく……そんな関係を、この二
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