「おはよう」って云いたい의 모든 챕터: 챕터 21 - 챕터 30

62 챕터

第二十話——成長

 翌朝、扉を開けるといつも通り、二人が笑顔で私を出迎えた。「陽菜おはよう」「おはよう、陽菜」 先に蓮が私に挨拶をして、蓮の肩から顔を覗かせている翠がその後に続いた。いつも通りの翠に期待で胸を膨らませる。――そんな期待もすぐに弾かれることとなる。「陽菜、体調大丈夫?」「うん。昨日たくさん寝たから大丈夫だよ」「何かあったらすぐ言えよ」「ありがとう」 昨日、翠には体調が悪くて帰ると電話で伝えていた。翠も帰ると言ってくれたけれど、入院のこともあるし授業は出た方がいいと伝えると、渋々頷いてくれた。 胸を撫で下ろしている様子の翠を見て少し胸が痛んだが、翠の柔らかい表情にその痛みも和らいだ。翠に視線を向けると、翠は思い出したかのように口を開いた。「そういえば、美咲ちゃんの件なんだけど」 心臓がドクン、と鈍い音を立てる。額から汗が流れて頰を伝った。私たち二人は少し視線を細めて翠の言葉を待つ。「付き合うことになったよ。まぁ前から付き合ってたみたいなんだけど……」 私の中でガラスが割れる音がした。このままだと泣いてしまう気がして、二人を祝福してる感情を必死に胸の中に作る。それでも口から出る言葉は震えていた。「そっか。おめでとう」「ありがとう。二人は俺らのことで何か知ってることはあるかな?」「いや、俺らも二人が付き合ってることは知らなかったな」「そうなんだ。じゃあ最近なのかな」 翠は顎に手を当てて眉を寄せている。その頭の中に私がいないことに胸が痛んだ。働かない頭で次の言葉を考える。すると隣から声が聞こえてきた。「それもそうだが……翠はいつから部活復帰するんだ?」「あー明日から復帰する予定だよ」「そうか。それなら俺らは先に帰るか」 蓮が視線を翠から私に移して、微笑みを浮かべる。その笑顔が私の胸に明かりを灯す。胸が温かくなり自然と口角が上がった。私は蓮と視線を交わし、頷く。「うん。そうだね」「最近ずっと一緒にいたから寂しいな」「まぁ部活は青春の一つだ」「蓮の口から出てくるとは思わなかったー」「うるせー」
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第二十一話——未来の輝き

 夕陽の淡い光に包まれながら、私たちは静かにゲームセンターまでの道を歩いていた。「ゲーセン久しぶりー」「高校生になってから行ってないな」 浮き足だって、跳ねるように歩を進める。扉の前で振り返ると、蓮は後ろからゆっくりと歩いてきていた。 ゲームセンターに足を踏み入れた瞬間、外の静けさが一気にかき消された。機械の爆音に体の芯まで震わされる。無数の激しい光が視界を刺し、思わず目を細めた。「音ゲーで勝負しようぜ」「絶対勝てないんだけど……」 蓮から紡がれた言葉は、子どものように軽やかに弾んでいた。蓮の後ろを歩いていく。蓮が足を止めた目の前には、二つの画面が並んでいて、円形にボタンが配置されていた。画面をタッチしてゲームを開始する。 案の定、三ゲーム中三ゲームとも蓮のスコアが上だった。特に悔しい気持ちも芽生えない。「蓮強すぎ」「陽菜も前より出来てたじゃねーか」「無理して褒めなくても……ていうか、あれやりたい!」 私は、カーレースの機械を指さし、飛び跳ねて言葉を紡ぐ。蓮も私が指さした先に視線を向けて強く頷いた。「おう、やろうぜ」「今度は勝つもんねー」 そう言って二人並んで機械の椅子に腰を下ろす。ハンドルを握って画面を操作した。 カーブの時に体を傾けて操作する私に対して、蓮は淡々とハンドルを回していた。序盤は互角だったが、アイテム運が作用し、ギリギリ私が先にゴールテープを切った。「やったー!蓮に勝てた!」「そんなに嬉しいか?」「うん!だって蓮、ゲーム強いんだもん」「帰宅部舐めんなよ」「帰宅部万能すぎでしょ!」 蓮は誇らしげに鼻を鳴らして言葉をこぼす。私は晴れやかな気分で言葉を返した。ふと、蓮が足を止めて、遠くを見つめる。私も足を止めて蓮の顔を覗き込んだ。「ん?蓮、どうしたの?」「あ、いや……」「あ」 蓮の視線の先を見つめると、カラフルなライトが瞬いていた。女子高生やカップルで賑わいを見せている。翠と美咲の姿が頭に浮かんで胸を締め付けられた。 「帰るか」「……こう」「え?
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第二十二話——心が触れ合う瞬間

 ――ピーンポーン 翌朝、インターホンの音で目を覚まし、重い体を起こして扉を開けた。「はーい」 日差しに目を細めて扉の先を見ると、少しずつ人影が鮮明になってきた。久しぶりの光景に首を傾げる。つい言葉がこぼれた。「あれ?」「おはよう」「おはよう。蓮一人?」「おう。図書委員の仕事で早く行かなきゃいけなくて……お前も行くか?」 蓮は首をかしげて私の返答を待っている。翠のことが気になり眉を顰めたが、ゆっくりと頷いた。 「……行く!」 蓮をリビングに通して、急いで身支度を整える。足を棚にぶつけてしまい、ぎこちない足取りで蓮のもとへと向かった。「お待たせ」「よし、行くか……ってぶつけたのか?」 私の歩き方を見て、蓮は心配そうに眉を寄せた。慌てて首を横に振る私を下から覗き込み、首をかしげる。私が事情を説明すると、苦笑して立ち上がった。 歩き出した蓮の後に続いて外に足を踏み出す。冷たい風が全身を包み、意識がはっきりとする。目を刺すような日差しが、私たちの歩く道を照らしている。そんな朝に、胸の奥がふわりと弾んだ。 「久しぶりに早起きしたー!」「ごめんな。朝早くに……」「全然!」 申し訳なさそうに視線を逸らす蓮に、明るい笑顔を向けて否定した。私は弾むような足取りで蓮の隣を歩く。蓮は表情を変えずに、私と視線を合わせた。「それと、今日放課後も委員の仕事あるんだけど待っててくれるか……?」「もちろん!教室で待ってるね!」 私の言葉を聞いて、蓮は安心したように微笑んだ。蓮の纏う空気の暖かさが私の胸の奥に伝わり、全身に広がった。エネルギーが満ちた気分で軽やかに学校までの道のりを歩いた。 門をくぐり、靴を履き替えて図書室に向かう。委員の人しか入れない場所に足を踏み入れ、その特別感に心が弾んだ。私たちはカウンターの中に入り、椅子に座る。蓮の隣で、仕事の様子を観察していた。 「へー!こんな仕事してるんだ!」 生徒に差し出された本と貸出カードのバーコードを読み取り、返却日の書かれた紙を挟んで、カウンター越しにいる生徒に手渡す。蓮は、
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第二十三話——夢の中の靄

翌朝、目覚ましよりも先に目が覚めた。胸の奥がくすぐったくて、じっとしていられない。 ソファに座ったり部屋の中を歩き回ったりしながら、時計の針が進むのを何度も確かめた。 ――ピーンポーン 心の準備をしていたのに、インターホンの音で体が少し跳ねる。ぎこちない足取りで玄関まで行き、扉を開いた。 「おはよう、陽菜」 「蓮、おはよう」 蓮はいつも通りの柔らかい笑みで、扉の少し先に立っていた。その温かい視線に緊張の糸が解けた。 「ん」 「え」 家の鍵を閉めてから蓮の方へ向くと、蓮はこちらに手を差し出していた。私は少し目を見開いて蓮と視線を合わせる。 「恋人同士なんだから普通だろ」 「そうなんだけど……」 蓮の手に視線を向けて、ゆっくりと握る。冷えていた指先にふんわりと温もりが伝わった。心の奥まで熱が広がり、浮いたような心地になる。 蓮の足が前に動き、私は少し遅れて歩を進めた。蓮に視線を向けず、私の横を過ぎる車を目で追った。 「なんか不思議な感じ」 「俺と付き合ってることが?」 「違くて……なんていうか」 私は眉間に皺を寄せて、言葉を探す。この気持ちに名前をつけるとしたら、何と呼ぶのだろう。芯を指す言葉が見つからなかった。少し遠くを見つめながら言葉をこぼす。心が溶けていくみたいに、声までやさしく霞んだ。 「ふわふわするっていうか……夢みたい」 「気持ちは分かるが、夢にされちゃあ困るな」 蓮は掠れるように、笑いながら呟いた。その声に、私は視線を蓮に向ける。蓮は頬を掻きながら、悲しみを含んだ笑みを浮かべていた。その表情を見て、胸に棘が刺さったような痛みが静かに広がる。思わず顔を顰めて、視線を逸らした。遠くを走る車の音が、胸のざわめきと重なって響く。私の心も悲しみで埋め尽くされそうになっていると、
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第二十四話——あっという間の一週間

靴を履き替えて校庭へ足を踏み出すと、ひんやりした風が頬に触れた。思わず身を縮めて、手のひらを擦り合わせる。そこに蓮の指先が触れて、そっと左手を取られた。ゆっくりと歩き出した蓮に手を引かれ、自然と足が前に動き出した。 「一週間ってあっという間だよな」 「何急に」 突然言葉をかけられて、少し目を細めて蓮の方に視線を向けた。蓮は、空を見上げて穏やかな表情をしている。その表情に翠が重なって見えた。そんな自分にため息が漏れてしまい、乾いた笑みがこぼれた。 蓮が私の方を見る。いつも通りの芯の通った視線が、私を現実に引き戻した。蓮は沈黙を避けるように言葉をこぼした。 「別に、ふと思っただけ」 「変なのー」 一瞬浮かんだ暗い気持ちをかき消すように、明るく言葉を返す。空を見上げると、茜色の空に白い雲が一つ浮かんでいた。この空を見ていると、何故だか寂しい気持ちになる。心から出た言葉は、夏の終わりを感じさせた。 「でも、確かに一日が終わるのって早いよね」 「だよな」 「旅行行ってからすでに二週間経ってるんだもん」 「体育祭まで後少しだしな」 「あ、そうじゃん!」 蓮の言葉を聞いて心が弾む。私は、視線を空から蓮に移して、力強く頷いた。学生の一大行事、体育祭が目前に迫っている。私はもう一度視線を空に移して、言葉をこぼした。 「ここから行事続きだから、あっという間に一年が終わりそう」 「実際そうだろうな」 去年の今頃を思い出し、胸がキュッと縮むような感覚になる。昨日のことのように鮮明に思い出せる記憶は、一年の移ろいの速さを感じさせた。そんな私の手を蓮は固く繋ぎ直す。 「まぁ時間は経つものだし、物思いに耽っても仕方ないだろ」 「そうだね……って蓮から始めたんじゃん!」 「そうだっけ?」 「……もう!」 口角を上げて首を傾げる蓮に、思わずツッ
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第二十五話——映画館デート

心がふわりとした状態で一日を過ごしていたら、あっという間にデートの日の朝が来ていた。優しいピンク色のワンピースにコートを羽織って、インターホンが鳴るのを待つ。ニュースキャスターの声が耳にスッと入ってきて、心を落ち着かせた。 ――ピーンポーン 猫の動画を見て和んでいたところでインターホンが鳴り、思わず体が跳ねる。ソファーから滑り落ちるように、地面に足をつけて立ち上がった。チェーンのついた鞄を肩にかけ、一呼吸置いてから扉を開ける。扉の前には私服姿の蓮が立っていた。モノトーンの襟付きシャツに黒いズボンを身につけていて、大人っぽく見える。 「おはよう」 「蓮、おはよう」 久しぶりの私服姿に思わずじっと蓮のことを見つめてしまう。蓮は不思議そうに首を傾げて、私に一歩近づいてから言葉をこぼした。 「なんで突っ立ってんだよ」 「あ、ごめん」 蓮の言葉で意識を戻され、扉に体を向けた。鍵を閉めて蓮の方へ向き直る。少し視線を下に向け、階段を下りて蓮の前へ行く。首を傾けて微笑みを浮かべた。私と視線を合わせて蓮も微笑む。私はそんな空気に溶け込むような温かい声で呟いた。 「行こっか」 「おう」 引き寄せ合うように手を繋いで、駅前のショッピングモールに向けて足を進める。久しぶりの映画に心が躍って、跳ねるような足取りだった。 「映画なんて久しぶり!」 「俺も、恋愛映画は久しぶりだな」 「恋愛以外のは見たんだ?」 「まぁな」 「えーいいなー」 私は少し唇を尖らせて蓮を見上げる。蓮は温かい表情を向けていたが、ニヤリと片方の口角を上げた。 「陽菜も連れて行けば良かったか?」 「うん、誘ってよ」 「……ホラー映画だけど」 「絶対行かない!」 食い気味に否定して顔をそっぽに向ける。隣で蓮が声を上げて笑っていた。控えめな笑い声
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第二十六話——エンドロール

お会計を済ませ、カフェを後にする。駅の中にあるレンタルショップへ入ると、たくさんのDVDに出迎えられた。 「何にしよっか!」 心を弾ませて店内を歩く。私は弾んだ心でDVDを次々に手に取ってあらすじを確認する。すると、蓮が一つのDVDを持って表紙を見せて来た。 「これは?」 「え……」 蓮が手に持っていたのはホラー映画だった。表紙が赤色に染められて不気味さを感じさせる。見ていないのに体の芯が冷えるような感覚がした。 「そんなにホラー好き?」 「ホラーがっていうより、この原作の著者が好きだな」 「確かに、いつもその人の小説読んでるよね」 「構成がおもろいんだよ」 「そう言われると少し気になる……」 もう一度薄目で表紙を見ると、先ほどよりは恐怖感が減っていることに気づいた。同時に、一緒にホラー映画を見た時のことを思い出す。少し眉を顰めながら蓮に視線を向けた。 「じゃあ一つはこれにしようぜ」 「いいけど……」 ぎこちない動きで首を縦に振り、DVDがかごに入るところを目で追う。私は緊張を振り払うように、DVD探しに集中した。私が見ている恋愛コーナーでは、優しい色をベースに男女が微笑み合っている表紙がよく目に入る。それを見て私の頬も緩んだ。一つ気になるDVDを手に取って蓮に見せる。蓮は優しく微笑んで頷いた。 DVDをレンタルし終えた私たちは、蓮の家に向かって並んで歩く。温かい空気が私たちを包み込んでいた。ふと疑問に思ったことをつぶやく。 「ていうか急に行ったら迷惑じゃない?」 「大丈夫。母さんたち遅くなるらしいから」 「そうなんだ」 「翠も出かけてるみたいだから安心しろ」 「別に心配してないよ?」 「そうか、まぁ一応な」 蓮の言葉を聞いて心が軽くなったのは事実だった。ただ、家に蓮と二人というのも緊張する。心臓から時計
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おまけ1——蓮は弟

「ねぇ蓮」 「なんだ?」 二人は食卓に対面に腰をかけてご飯を食べている。そこで不意に翠が言葉をこぼした。 「俺と蓮、産まれたのが反対だったらどうなってただろうね」 「別に変わらないんじゃねーか?」 「でもさ……」 蓮は不思議そうに翠のことを見ている。そこで一拍置いて翠が告げた。 「蓮が兄とか想像できないんだけど」 「お前なぁ」 蓮が呆れたように大きくため息をつく。翠は優しく笑って言葉を続けた。 「蓮はいつまでも弟って感じ。ちょっと子どもっぽいところとか」 「言っとくけど、お前と同じ日に生まれてっからな」 「そうだっけ?」 翠はクスッと控えめに笑うと蓮に温かい視線を向ける。 「でもさ」 「なんだよ」 蓮は目を細めて翠に視線を向ける。翠は蓮から視線を逸らしてどこか遠くを見つめて言った。 「たまに頼れるんだよなぁ」 「たまにってなんだよ」 「なんで、褒めたのに」 蓮は拗ねた顔をして顔を背ける。それを見て翠は穏やかな笑みを浮かべた。 「いつもありがとね」 「え……」 翠が小さくつぶやく。蓮は目を丸くして翠に視線を向けた。 「なんだよ、急に」 「なんとなく」 二人ともほんのり頬を赤くして顔を逸らす。リビングに入り込む風が二人のことを優しく包み込んだ。
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おまけ2——幸せは永遠に

「温泉気持ちいいな」 「体の芯まで温まるね」 蓮の言葉に、翠は微笑んで頷いた。そして小さく言葉をこぼす。 「ずっとこんな日が続けばいいのに」 「……そうだな」 二人は大浴場で並んで座り、真っ暗な空を見つめる。小さな光が瞬いていて、今にも消えてしまいそうだった。咄嗟に翠は右手を空に伸ばす。 静かな空に溶けていくかのような声で蓮は呟いた。 「また来れるよ」 「え?」 蓮の口角は微かに上がっていた。翠はゆっくりと蓮に視線を向ける。蓮は昔を思い出すように、遠くを見つめて言葉を続けた。 「翠は覚えてないんだろうけど、俺らはずっと昔から一緒にいるんだ」 そこで蓮は視線を翠に向ける。翠は息を呑んで蓮の言葉を待った。短い呼吸の間に柔らかい沈黙が流れる。やがて、蓮の真っ直ぐな声で告げた。 「だから来年も来れる。これは絶対だ」 蓮は真剣な目をして言った。翠はその表情を見て、そっと胸を撫で下ろす。 「ふふっ、蓮が言うならそうなんだね」 「あぁ」 蓮の目の奥では、力強く光が輝いている気がした。翠は伸ばしていた腕をゆっくりと下ろす。そして、強く手のひらを握った。 絶対に今の幸せを離さない。――誓った想いを叶えるように、空では星が息をするように輝いていた。
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