翌朝、扉を開けるといつも通り、二人が笑顔で私を出迎えた。「陽菜おはよう」「おはよう、陽菜」 先に蓮が私に挨拶をして、蓮の肩から顔を覗かせている翠がその後に続いた。いつも通りの翠に期待で胸を膨らませる。――そんな期待もすぐに弾かれることとなる。「陽菜、体調大丈夫?」「うん。昨日たくさん寝たから大丈夫だよ」「何かあったらすぐ言えよ」「ありがとう」 昨日、翠には体調が悪くて帰ると電話で伝えていた。翠も帰ると言ってくれたけれど、入院のこともあるし授業は出た方がいいと伝えると、渋々頷いてくれた。 胸を撫で下ろしている様子の翠を見て少し胸が痛んだが、翠の柔らかい表情にその痛みも和らいだ。翠に視線を向けると、翠は思い出したかのように口を開いた。「そういえば、美咲ちゃんの件なんだけど」 心臓がドクン、と鈍い音を立てる。額から汗が流れて頰を伝った。私たち二人は少し視線を細めて翠の言葉を待つ。「付き合うことになったよ。まぁ前から付き合ってたみたいなんだけど……」 私の中でガラスが割れる音がした。このままだと泣いてしまう気がして、二人を祝福してる感情を必死に胸の中に作る。それでも口から出る言葉は震えていた。「そっか。おめでとう」「ありがとう。二人は俺らのことで何か知ってることはあるかな?」「いや、俺らも二人が付き合ってることは知らなかったな」「そうなんだ。じゃあ最近なのかな」 翠は顎に手を当てて眉を寄せている。その頭の中に私がいないことに胸が痛んだ。働かない頭で次の言葉を考える。すると隣から声が聞こえてきた。「それもそうだが……翠はいつから部活復帰するんだ?」「あー明日から復帰する予定だよ」「そうか。それなら俺らは先に帰るか」 蓮が視線を翠から私に移して、微笑みを浮かべる。その笑顔が私の胸に明かりを灯す。胸が温かくなり自然と口角が上がった。私は蓮と視線を交わし、頷く。「うん。そうだね」「最近ずっと一緒にいたから寂しいな」「まぁ部活は青春の一つだ」「蓮の口から出てくるとは思わなかったー」「うるせー」
Terakhir Diperbarui : 2025-12-10 Baca selengkapnya