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第二十四話——あっという間の一週間

Author: 桜庭結愛
last update Last Updated: 2025-12-14 16:00:00

靴を履き替えて校庭へ足を踏み出すと、ひんやりした風が頬に触れた。思わず身を縮めて、手のひらを擦り合わせる。そこに蓮の指先が触れて、そっと左手を取られた。ゆっくりと歩き出した蓮に手を引かれ、自然と足が前に動き出した。

「一週間ってあっという間だよな」

「何急に」

突然言葉をかけられて、少し目を細めて蓮の方に視線を向けた。蓮は、空を見上げて穏やかな表情をしている。その表情に翠が重なって見えた。そんな自分にため息が漏れてしまい、乾いた笑みがこぼれた。

蓮が私の方を見る。いつも通りの芯の通った視線が、私を現実に引き戻した。蓮は沈黙を避けるように言葉をこぼした。

「別に、ふと思っただけ」

「変なのー」

一瞬浮かんだ暗い気持ちをかき消すように、明るく言葉を返す。空を見上げると、茜色の空に白い雲が一つ浮かんでいた。この空を見ていると、何故だか寂しい気持ちになる。心から出た言葉は、夏の終わりを感じさせた。

「でも、確かに一日が終わるのって早いよね」

「だよな」

「旅行行ってからすでに二週間経ってるんだもん」

「体育祭まで後少しだしな」

「あ、そうじゃん!」

蓮の言葉を聞いて心が弾む。私は、視線を空から蓮に移して、力強く頷いた。学生の一大行事、体育祭が目前に迫っている。私はもう一度視線を空に移して、言葉をこぼした。

「ここから行事続きだから、あっという間に一年が終わりそう」

「実際そうだろうな」

去年の今頃を思い出し、胸がキュッと縮むような感覚になる。昨日のことのように鮮明に思い出せる記憶は、一年の移ろいの速さを感じさせた。そんな私の手を蓮は固く繋ぎ直す。

「まぁ時間は経つものだし、物思いに耽っても仕方ないだろ」

「そうだね……って蓮から始めたんじゃん!」

「そうだっけ?」

「……もう!」

口角を上げて首を傾げる蓮に、思わずツッ
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