「お父さん、絶対にこいつの言うことを信じちゃダメだ!」海斗がすぐさま口を挟んだ。いかにも筋が通っているような口調だった。「お姉ちゃんの誕生日パーティーをめちゃくちゃにしたくて、わざとこんなことをしたんだ」直樹は険しい顔のまま尋ねた。「どういう意味だ?」「今夜はお姉ちゃんの誕生日パーティーだよ。もしここに警察が来たら、下にいる人たちは何があったのか気にするに決まってる」ずっと黙っていた静香が口を挟んだ。「そうなったら、変な噂が立つかもしれない」「それだけじゃない」海斗も続けた。「お姉ちゃんの誕生日パーティーだって台無しになる。柚香は、お姉ちゃんの誕生日を蒼海市中の噂話にしたいんだよ」二人は交互に言葉を重ねた。まるで、さっきまで話していたことがすべて本当であるかのように。「私は別に構わないけど」理沙は柚香の隣に立ったまま、気だるそうに髪を軽くかき上げた。「警察を呼んで」「お姉ちゃん、本当にそれでいいの?」海斗は拳を強く握りしめた。冷や汗が滲んでいる。「警察が来たら、お姉ちゃんの誕生日パーティーのことを、蒼海市のほかのお嬢様たちの間で、必ず噂になるよ」理沙は淡々と答えた。「別にいいよ」海斗は歯を食いしばった。静香はしばらく考えたあと、心配そうな顔で直樹に言った。「これはお姉ちゃん一人の問題じゃない。池田家全体にも関わることだ」「誰に関係する話だろうと、警察には届けるべきよ」佳代は二人の様子を見て、柚香の言った通りだと分かった。「ここにあるドレスだけでも、全部合わせれば二億円以上の価値があるのよ。こんなふうにうやむやにしていい話じゃないわ」「じゃあ、パーティーが終わってから警察に届ければいい」海斗は折衷案を出した。「それまでは誰もここに入れないように見張っておけばいい。警察が来るまで、この部屋には誰も入らせない」そう言って、海斗は何食わぬ顔で柚香を見た。そして、一言ずつ区切るように言った。「特に、柚香の人間はな」「そんな面倒なことをする必要ないよ」柚香が一歩前に出た。その場にいた全員の視線が柚香に集まる。柚香はスマホのアルバムを開き、直近の動画を選んで理沙に見せた。「動画を撮ってたの。海斗と静香がドレスを切ってるところ、最初からはっきり映ってるよ」海斗の顔から、一気に血の気が引いた。静香も、動揺
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