恭介は唇を固く結び、しばらくしてから「分かりました」と答えた。気持ちを整えると、そのまま外へ向かい、プランBに取りかかった。健太は彼の隣について歩き、遥真との距離が離れたところで、慌てて声をかけた。「もう一度、説得しないのか?プランBを実行したら、社長が本当に後戻りできなくなることは分かってるよね」「分かってる」恭介はそのまま歩き続けた。「じゃあ、もう一度説得してみないか?」健太が相談するように言った。「無駄だ」恭介は遥真のことをよく分かっている。さっきの会話だけで、すべてを察していた。「社長がどういう性格か、君も知ってるだろ。こういう時に何を言っても、社長には何の意味もない」「柚香さんは?」健太はそこまで言って、昨日のことを思い出した。「……いや、違うな。柚香さん本人が来ても、何の効果もなかった」恭介の胸がわずかに重くなる。もしそうでなければ、自分だって、あれ以上何も言わずに引き下がったりはしなかった。柚香でさえ遥真の決意を変えられなかったのなら、自分たちが何を言ったところで無駄だ。「何か方法を考えないか?」健太が言った。「そもそも今回のことだって、社長が一時的に意地を張ってるだけかもしれない。それに、俺たちのことをあれだけ大事にしてくれてるんだ。道を踏み外そうとしてるのを、黙って見てるわけにはいかないだろ」「一つ方法がある」恭介は周囲に視線を走らせ、他に聞いている人がいないことを確認してから口を開いた。「ただ、少しリスクが大きい」健太がすぐに聞き返した。「どんな方法だ?」恭介は黙り込んだ。健太は焦れたように言った。「早く言えよ」「プランBが動き出した、一番重要なタイミングで、凛音さんから電話があったふりをする。そして、柚香さんが事故に遭って重症病棟に入ったと社長に伝える」恭介は言った。「社長が柚香さんをどれだけ大切にしてるかを考えれば、冷静さを失って蒼海市へ駆けつけるはずだ」「それ、いいと思う」健太は迷いなく賛成した。「ただ、この方法で社長を止められるのは一時的だ。一生止められるわけじゃない」恭介が気にしているのは、そこだった。「もし蒼海市に行って嘘だと分かったら、私たちのことを二度と信用しなくなる」「それでもいい」健太はあっさりと言った。恭介は眉間にしわを寄せた。健太は意外
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