Semua Bab 幽霊聖女は騎士公爵の愛で生きる : Bab 11 - Bab 20

51 Bab

11.護衛騎士レダ(1)

騎士なら誰もが憧れるウィンスロープ騎士団への入団はレダの人生を変えた。まず「女が騎士なんて」とレダの夢を笑っていた父親が態度を一変させた。「レダならやれると思っていた」と周りに自慢してまわる父親の姿はレダを呆れさせたが、街のみんなに囲まれて陽気に酒を飲む父親の姿に満足はしていた。ウィンスロープ騎士団の団長は別にいるが、騎士団のトップはアレックス・ウィンスロープ公爵。その強さから「紅蓮の悪魔」と周囲から畏怖される最強の騎士であり、社交界では貴族令嬢およびご夫人たちの愛と憧れの詰まった視線を独り占めする貴公子。アレックスは神が盛大に贔屓したと言われるほど絶世のイケメンである。寡黙なイケメンはどこか近寄りがたい雰囲気になるのだがそれは表向きの顔で、屋敷の中など内側と判断した人間に対しては態度が柔らかくなる。レダも入団して間もなく、アレックスのプライベートな表情を見て「こんな御顔もなさるのだな」と感心してしまった。あれは『ギャップ萌え』が起きてもおかしくない状況だったが、起きなかった。レダはアレックスの恋人になりたいと思ったことなど一度もない。母性本能をくすぐるタイプが好みというのもあるが、『アレックスの婚約者』とわざわざ名乗る令嬢が、わざわざレダに会いにきたときに『関わるな、危険』とレダの脳内で盛大に警報が鳴った。アレックスの婚約者は、レダに言わせるとヤバイご令嬢だ。スフィア伯爵家ご令嬢であり、世間では『聖女ラシャータ』と呼ばれる女性。 アレックスとラシャータは婚約者歴が10年以上である。この国最強の『騎士』と当代唯一の『聖女』の組み合わせ。まるで三文歌劇のような組み合わせだが定番といえば定番。ラシャータ本人と会うまで、アレックスがレダのタイプではなかったこともあり、「騎士と聖女なんていい組み合わせかもね」とのんきに思っていた。世間的には物語のように定番の組み合わせでも、アレックスはラシャータを蛇蝎の如く嫌っていた。どのくらい嫌いかと言えば、王家主催の夜会の日、絶対にラシャータをエスコー
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-22
Baca selengkapnya

12.護衛騎士レダ(2)

「レダ卿、どうしました?」名前を呼ばれたレダはハッと我に返った。「申しわけありません、奥様」銀色の髪に琥珀色の瞳を持つ、「聖女」と呼ばれるのに相応しいとレダが感じるほど清廉で淑やかな佳人。レダが守るべき公爵夫人。ラシャータ・スフィア・フォン・ウィンスロープ。 (……ラシャータ) 「レダ卿? 難しい顔をして、どうしましたか? お茶が冷めてしまいますよ?」「……そうでしたね」レダが紅茶の入ったカップを手に取ると、『ラシャータ』は満足そうにほほ笑んだ。そして目線をアレックスの部屋に向ける。その目は心配そうだ。 庭からは見えないが、いまアレックスは侍従たちに身を清めてもらっている。午前と午後に一回ずつ、清拭の時間になるとアレックスの部屋から出る『ラシャータ』につき従ってレダは庭に出る。二人は夫婦だが床煎りをすませていないため正式に夫婦とは言えないため、服を脱がせる必要のある清拭をレティーシャは別の人に任せる。でもそれ以外の時間はずっとアレックスを看ている。アレックスに異常がなくても、睡眠と自身の着替えの時間を除いてずっとアレックスの傍に控えている。 この屋敷にきてすぐの頃とは違い、アレックスは聖女の力を使う必要がないほど回復している。この状態ならばアレックスの看病は誰にだってできるのだが、それでも『ラシャータ』は当たり前のようにアレックスを看病し続けている。この清拭の時間だって、アレックスの容体が急変したら駆けつけられるように部屋のすぐ目の前のこの庭で休憩している。この休憩に付き合うのが最近のレダの日課だ。 この時間はただ穏やかに過ぎている。「今日は天気がいいから、洗濯物がよく乾きそうですね」そう言って空を見上げる『ラシャータ』が長い銀色の髪を風が揺らしている。この穏やかな『ラシャータ』に、あのような不条理な苛烈さは欠片もない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-23
Baca selengkapnya

13.レティーシャ(11)

ウィンスロープ邸に嫁いできて、レティーシャは読書の楽しみを覚えた。アレックスの治療はいまはもう対処療法。アレックスが眠っている間は特にやることはなく、何もせず待つことには慣れているが、見ているほうは落ち着かないらしかった。それで本を読むようになった。読書なら場所を選ばないからと思って始めたが、レティーシャはあっという間に読書の虜になった。これまで読書と言えば与えられた本、魔法や魔物に関する古い本や先祖の手記を読むしか許されなかったが、ウィンスロープ邸の図書室は使用人にも開放されているからか様々なジャンルの本が新旧揃っている。 「フレマン侯爵家に関する本がまだ残っていたなんて」「都で評判の本は基本的に購入しておりますので」図書室専門の使用人によると、本を購入するための予算が毎月かなりあるとのこと。 それでこの蔵書量かとレティーシャは感心したが、ウィンスロープ家に広大な図書室があるのは「騎士=脳筋」と揶揄われたことに腹を立てた当時の当主が、読書を趣味にして脳筋と笑った奴らを見返そうと思って大きな部屋を用意したのが始まりだった。マッチョな当主は自分の持っていた本を納めたが、棚一つも埋まらなかった。そんな結果に「やはり脳筋ではないか」と笑われて、彼はこの図書室の棚を全て満たすことを目標とし、いろいろな本を買い集めた。本が高価なことと、どんな本を買ったらいいのか見当がつかなかったことで、本を買い集めるのには時間がかかり、図書室を本で満たす夢は彼の代で叶わなかった。そしてその夢は「やっぱり脳筋は嫌だよね」と思うマッチョな息子たちが継いだ。その息子たちの代でも棚があまり、その夢は孫たちへ、その子どもたちへ……と繰り返した結果として、ものすごい数の蔵書量となった。図書室を管理している使用人からすれば、棚の数から考えればものすごくなることが予想できただろうにと半ば呆れた。そうしてできた図書室。頭を使うことよりも体を動かすことを好む代々の当主にはあまり重宝をされていないが、嫁いでく
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-24
Baca selengkapnya

14.レティーシャ(12)

【聖女の殺害】と書かれたフレマン侯爵家の罪状を指で撫で、レティーシャは遣る瀬ない思いに口をゆがめた。 三歳だったレティーシャに当時の記憶はないが、レティーシャがこうして生きている以上はこの事件の証言に必ず嘘があることになる。 「奥様、どうなさいましたか?」 レダに呼ばれてレティーシャは顔をそちらに向けた。いつの間にかレティーシャは『奥様』と呼ばれるようになっていて、最近になってようやく『奥様』に応えらえるようになった。昏睡状態のアレックスと結婚した身で『奥様』と呼ばれることに申しわけなさはあるものの、『ラシャータ』と呼ばれるよりはいいのでレティーシャはその呼び名を訂正しないでいた。 「この本……オカルトみたいな、都市伝説みたいなことしか書かれていないのでは?」「そうですね……フレマン侯爵邸には聖女レティーシャの幽霊が現れる、みたいな話がのっていましたよ」「悪趣味です」根拠のない嘘だと憤ってはくれたが、こういう情報は重要だとレティーシャは思っている。なぜなら、こんな話が出るということは「超常現象で片付けたい」と思っている人がいるから。レティーシャが考えるのはその理由。ただ騒ぎたいだけなのか。それとも何か後ろめたい思いを抱えているからか。そして、それは父伯爵もしくはスフィア家に阿る誰かであるのだろう。 (だって、聖女レティーシャが呪うならスフィア伯爵家だと知っているはず)スフィア伯爵家では、元は第一夫人と言われた今のスフィア伯爵夫人のことを使用人たちは「旦那様の寵愛を一身に浴びる幸せな妻」「真実の愛で結ばれている」と褒めそやしていた。スフィア伯爵夫人を褒めるため、使用人たちはレティーシャの母サフィニアを「あんな女」と言っていた。自然に。当たり前に。あの様子を見れば、母サフィニアが生前どんな扱いを受けていたのかなど想
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-24
Baca selengkapnya

15.アレックス①

「旦那様、お食事です」ソフィアの声にアレックスは目を開けた。 ぼやけた視界にスプーンが見えたので口を開けると、温かい粥が口の中に入ってきた。 まだ寝たきりなのでアレックスは自分で食事ができない。 食事の介助はアレックスの安全のために侍女長のソフィアが行っている。今日の食事はパン粥。今日に限らず、目覚めたからの食事は毎日三食ずっとパン粥。意識が戻ってからずっと回復薬の点滴が食事代わりだった。 それを思えば、口で食べられるまで回復できたことに感謝すべきだとアレックスも分かっている。しかし、こうまでパン粥だらけだと違う味を懐かしく思う。違う味、いつもの食事……。(そろそろ肉が食いた……うっ!)喉を通った粥の刺激で喉が痛みアレックスは咽た。 「旦那様、ゆっくりお食べください。お水を飲みますか?」(くそっ)赤子も食べられるパン粥の温ささえも刺激となって痛む。日に何度も味わう痛み。 この痛みが自分が死の淵にいたことをアレックスに実感させる。 ――― お前はまだ子どもだな。父を亡くしたのはまだアレックスが十代のとき。王家の槍として魔物や蛮族の討伐に赴く騎士たちを先導し、毎回生還したが命からがらというときは何度もあった。死に直面するたびに、亡き父の呆れた声がアレックスの頭に木霊する。 ―― 頑張ったことは認めているが、もっとうまくやれたんじゃないか?揶揄いを含む呆れた父親の声を思い出すたび、心が懐かしさに温かくはなるが同時に息子特有の反骨精神が刺激されて「死んでたまるか」と踏ん張った。父親というのは息子にとって不思議な存在だとアレックスは思う。いや、男という生き物は複雑なのか。幼い頃は父親に対して「大好き」と素直に思えたし、そのまま口にも出せた。しかし照れ臭さが生じ始め、父親に対してライバル心のようなものが芽生え
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-25
Baca selengkapnya

16.アレックス②

「グレイブ、定期報告を。グレイブ以外は下がれ」 食事が終わり、体調に余裕ができてから夕食後は仕事を少しずつするようになった。寝たきりなので、提出された書類の内容を執事長のグレイブが読み上げ、指示はアレックスが口頭で行う。 そこには機密事項もあるため、アレックスはグレイブ以外は退室させているのだが――。 アレックスの視界でラシャータは立ち上がり、他の使用人たちと一緒に扉に向かう。 その表情も姿も穏やかで、不満の「ふ」の字も見つけられない。「執事長様、図書室におりますので終わったら呼んでくださいませ」(執事長“様”……しかも、図書室……) 「グレイブーー寝込んでいる間、世界は一度滅んだか?」「世界が崩壊した記憶はございませんし、私は寝込んでおりませんが、旦那様のお気持ちは痛いほど分かります」皮肉めいたグレイブの言葉にアレックスはため息を吐いた。 意識が戻ったばかりの頃は心配かけたことに申しわけなさを感じていたが、いい加減しつこいと思った。 「寝込んだことについてあと何年イヤミを言い続けるつもりだ?」「寿命が縮まる思いをしたのですよ? あと五十年くらいは聞いてくださいませ」「お前、何歳まで生きる気だ?」「坊ちゃまはもう大丈夫だと安心できるまでです、どうやらまだまだのご様子で」 おしめも替えてくれたらしいグレイブにアレックスは逆らえなかった。逆らえないので、話を変えることにした。 「あの女、寝込んでいる間もずっとあんな感じだったんだよな?」「ええ、献身的に看病なさっていました」「献身的とは――理想的な妻の形容詞だな」「じいは感動しました」粛々とアレックスの指示に従うことについて、何らかのアピールかとアレックスは思ったが、アレックスの意識がないときでも献身的に振舞い続けたラシャータ。従順や献身などとは対極にあるラシャータだが、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-01
Baca selengkapnya

17.レティーシャ⑬

アレックスが自分で食事をできるようになった頃、王宮から医師が派遣されてきた。理由は外傷が癒えたのにアレックスの視力がまだ戻らないから。ウィンスロープ公爵家にもお抱えの医師はいるが、自分一人の判断では心もとないので他の意見も聞きたいという彼の意見を汲んだ形だった。   *  「初めまして、聖女様」「初めまして、ラ……「堅苦しい挨拶はこの辺にして、早速患者のところに案内してもらえますか?」……は、はい」(堅苦しい……挨拶は『初めまして』だけでよろしかったのね)そんなことはない。挨拶は自己紹介。 つまり名乗るまでが『普通の挨拶』である。 「患者はどこかな~、患者~患者~」 廊下をぴょんぴょんと跳ねまわり、あちこちをキョロキョロ見渡し患者を探す医師にレティーシャは驚く。城から派遣されてくるのは国王の専属医である典医だとレティーシャは聞いていたため、勝手に高齢の医師を想像していたが、レティーシャの想像より若く、遥かに……。 「こ~こ~だ~」「……普通にこれないのですか、あなたは」 (……顔、見知りなのでしょうか?)医者は典医で、アレックスは騎士団長。 どちらも城勤めだから面識があるのだろうとレティーシャが思ったとき……。 「男の子は大きくなると可愛げがないねえ。昔のアレク坊やなんて、僕の膝に乗って、きらきらとした無垢な瞳で、『ドクター、旅のおはなち、おしえて~』とか言っちゃってさあ……めっちゃ可愛かったのに……」(アレク……坊や……めっちゃ可愛い……公爵様……) 「や・め・て・く・だ・さ・い」「仕様がないだろう? 年寄りの趣味と言えば、若者の若気を揶揄って遊ぶことくらいしかないんだから」「……ろくでもない趣味だな」「そうでもないよ、君の子どもの頃の話って結構需要あるし」「ある
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-02
Baca selengkapnya

18.レティーシャ⑭

「典医殿ももういい御年でしょう。弟子が五人もいるのですし、どなたかにその座を譲って隠居なさってはいかがですか?」「そうだね~……引退して、国王陛下と近衛騎士団長と、あとはその辺の爺たちで茶でも飲みながら坊やの思い出話でもして、いずれ一冊の本にまとめて聖女様に献上……「いらんことしないで、当分現役で頑張ってください」……はいはい」 (弟子、か……)医術は技術だ。魔法とは違い、もって生まれた才ではなく個人の努力で得る技術。いまの国王の代になり、医者を養成するための学校や、現役の医師が弟子をとって育成する制度ができた。これは国家事業として始まったことだが、「聖女がいるのに」と不満の声が多いためなかなか形になっていないのが実情。  (聖女よりも医者のほうが重要ですわ)聖女はいま一人しかいない。三人違う場所で同時に死にかけたとき、聖女が助けられるのは一人だけ。でも医者が三人いれば三人救える可能性がある。単純な計算の話。 隣国にはとても皇帝直轄の医術院があり、皇妃主導で身分を問わず優秀な方が集められている。他国から留学生を招き、様々な地域の民間療法も吸収し発展もしていっている。医術は日々進化する。発展させようとする人々が不断の努力をしている。それはこの国の新聞でも報じられているのに、この国の上層部はまだ『聖女』に拘っている。(隣国には動物を救う医者も生まれてきているというといいますのに……) 主に畜産用の動物の治療をしたり、感染症の予防に力を入れているようだが、富裕層の中には自分の飼っている動物に主治医をつける者もいる。 「聖女様?」 気遣うような典医の声にレティーシャはハッとし、思い出しかけていた目の前で死んでしまった大切な
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-03
Baca selengkapnya

19.執事長グレイブ①

ウィンスロープ公爵夫人になった『ラシャータ』はもしかしたら……。  そんな空気がいつの間にかウィンスロープ邸で囁かれはじめ、今日も甲斐甲斐しくアレックスの世話をする『ラシャータ』を見ながらグレイブもまたそう思っていた。そう思っているのはグレイブだけではない。それは顔を見れば分かる。でも、誰も「もしかしたら……」の先を口にはしない。口にはできない。なぜなら、自分たちのせいだから。自分たちが死の恐怖から逃げたくて、死にたくないと自分勝手に願って、かといって自分は死にたくないというだけで何もせずに、その全て一人の貴族令嬢に負わせて、我慢を強いられた彼女は自殺した。  * 「奥さん」(旦那様はあの日から奥様を『あの女』とか『あいつ』とか呼ばなくなった) 「なあ、暇だから何か話をしてくれ」「何かと言われましても……」甘えるようなアレックスの要求に『ラシャータ』が困る。ラシャータなら困るなんてあり得ない。アレックスが関心を向ければ、「見て見て」と言わんばかりに自慢話を始める。(そもそも水を向けなくても勝手に話す方だ) 「なんでもいいぞ」「なんでもいいは困るのですが……」困った声を出す『ラシャータ』にアレックスは甘く蕩けそうな顔を向ける。ラシャータに一度も向けなかったその表情。これを見ると「もしかしたら……」という願望の混じる思いが、「やっぱり」というものに変わっていく。 変化魔法で色は変えられても姿形は変えられない。色を変えれば雰囲気は変わるが、当然だが人格が変わることはない。ラシャータと同じ顔立ち。治癒力を使える、聖女。それでラシャータで
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-04
Baca selengkapnya

20.レティーシャ⑮

「旦那様、ケヴィン様が再来月こちらに来るそうです」グレイブの報告にあった「ケヴィン」はアレックスの弟でいま二十三歳。 領主代理としてウィンスロープ領在住。アレックスには妹もいて、そのオリヴィアはレティーシャと同じ二十歳。 彼女は婚約者の領地で領主夫人から『夫人の心得』を学んでいる最中。 (閣下は嬉しそうだわ。お三方は仲がよろしいと使用人の皆さんも言っているものね……仲のいい弟、どんな方なのかしら) 好奇心からレティーシャはグレイブの報告が終わったところでケヴィンについて尋ねてみたが……。「ケヴィンのこと、ねえ」アレックスの声にはなぜか刺々しい。 嫌々という雰囲気も隠していない。先ほどまで彼がくるからと嬉しそうにしていたのに、このギャップにレティーシャは驚いた。 「ケヴィンはグロッタ侯爵家の長女と婚約し、数年後に婿入りする予定だ」「はい、存じ上げています」「ケヴィンとご令嬢の間に波風は立てないでほしい」 (えっと……どういう意味でしょう?)なぜアレックスはレティーシャが二人の仲を邪魔すると思ったのか。レティーシャは理由が分からなかったが、自分がいまラシャータだと思い出して合点がいった。ラシャータならそれをやる。 つまりそういうことなのだ。 スフィア伯爵邸から外に出たことがないため、社交場にあふれるラシャータの艶聞をレティーシャは知らなかった。それを知ったのはウィンスロープ公爵家に届いた手紙。ウィンスロープ公爵夫人であり聖女であるラシャータ宛ての手紙は、そのほとんどが茶会や夜会の招待状かご機嫌伺いの手紙であったが、中に混じるのは逢瀬への誘い。仮面舞踏会に一緒に行こうという誘いならまだマシ。秘密の関係にある男女が不埒な行為のために利用する施設への誘いや、ラシャータと実際に過ごした夜を赤裸々に綴った淫らな手紙などもあった。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-05
Baca selengkapnya
Sebelumnya
123456
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status