「あ、あの……」「めっちゃ可愛い! なにこれ、可愛い。殺人的に、可愛い。アレク坊やの『ドクタ~』に匹敵する可愛さ。あーもー!」「……え?」ぎゅうううっと抱きしめる腕に力が籠り、レティーシャはおろおろと戸惑った。「会いたかったよ、聖女様! うん、会えて、とても嬉しい!」またぎゅうっと抱きしめられたあと、パッと手が離れた。次の瞬間に、典医の体が後ろに強く引っ張られる。「……いい加減にしろ、おっさん」「アレク坊や、可愛らしさををどこに落としてきたの?」「早く診察して、早く帰れ」「こういうところ父親にそっくり……さて、やりますか」典医はアレックスの赤い瞳を覗き込んだ。「目に痛みはある?」「痛みはない。見えないことを除けば、これといった異常を感じない」「それではしばらく様子を見よう。魔法を使うときに目の色が変わることがあるように、目は魔素の影響も受けやすい場所でもありますからね」体内の魔素のサイクルが乱れたことで、視力の回復が遅れているのかもしれない。典医の診断に、レティーシャはひとまず安心した。「聖女様、アレク坊の目に治癒力をあててみた?」「は、はい」「そっか。それなら、治癒力はしばらく使うのをやめてみようか。目は体の中でも特に複雑なところだからね」典医の判断にレティーシャが息を飲む。「も、もうしわけありません。私が、余計なことを……」「それはないよ。あくまでも聖女様が使うのは治癒力だからね。改善することはあっても、悪化することはない」「でも……」「治癒力がここで停滞しているのかも、って話だから。治癒力も、結局は魔力を使った魔法だからね」自分のせいでアレックスの回復が遅れているのかもしれない。そう思って焦りながら顔を青くするレティーシャを、典医はよしよしとレティーシャの頭を優しく撫でた。「聖女様のせい。これは、確か」「はい……」「ただ、診たところ、アレク坊やの体の中には二つの魔力がある。一つは、アレク坊や自身の魔力。これは自分の魔力だから、アレク坊やは呼吸するのと変わりなく自分の体に馴染ませることができる」「もう一つが、私の……」「そう。一つが聖女様の魔力で……アレク坊やの体のあちこちに付与された聖女様の魔力が、アレク坊やの魔力の巡りを妨げちゃってる感じだね」体に付与と聞いて、アレックスは首を傾げた。 「
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