Semua Bab 幽霊聖女は騎士公爵の愛で生きる : Bab 21 - Bab 30

51 Bab

21.レティーシャ⑯

(いっそのこと、どこか遠くへ逃げてしまえたら……) でも聖女である自分に逃げる場所などない。聖女に対してこの国の貴族は妄信的だ。母サフィニアが死んだ理由については、由緒ある侯爵家の令嬢である身でありながら第二夫人となり、平民の第一夫人に傅く立場になったことへの屈辱だと言われている。(屈辱と言っているのに……聖女を欲する心はその屈辱をお母様に飲み込ませた) サフィニアは当時の社交界で三本の指に入る令嬢、通称『三花』と呼ばれるほどの存在で、当時の貴族の結婚市場はサフィニアが中心だったらしい。当時サフィニアに婚約者がいなかった。侯爵令嬢となると幼いときから婚約者がいるものだが、その理由について大方の意見は「婚約者を厳選しているから」だったが、ゴシップの域ではあるもののサフィニアには誰か思う相手がいたという説もある。(思う、相手……)「奥様?」声をかけられて、レティーシャの心に浮かびかけたもの、掴みかけていた何かがパッと散った。 「あ……」目の前には料理長がいて、レティーシャはいつの間にか自分が厨房の入口に立っていることに気づいた。 「どうなさいましたか?」「その……喉の調子が悪くて、お茶が飲みたくて……」息が詰まる未来の想像が振り払えず、息苦しさに言葉がとぎれとぎれになる。 「そんなことは侍女の誰かに言ってくだされば……少し震えていらっしゃいますね。奥様、宜しければ体を温めるハーブを使ったお茶を飲まれてはいかがでしょう」「ええ、お願いします」「それでは庭から採ってまいりますので奥様はお部屋でお待ちください」 料理長はそう言ってくれたが、彼の背後は賑やかだった。お昼の時間まであと少し。 厨房はまさに戦場。 「いいえ、ハーブは私が採ってまいります」「いえ、奥様の御手を煩わせるなど……え? ちょっと?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-06
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22.アレックス③

レティーシャの悲鳴はアレックスのもとにも届いた。「グレイブ!」「直ぐに確認いたします!」グレイブが風魔法を付与した笛を吹くとウィンスロープ邸内は一気に警戒態勢に入る。ウィンスロープ領は男女問わず戦う猛者が多い。屋敷の使用人の採用基準も幹部職以外は「一に武力、二以下も武力」。幹部になりたい場合は磨き上げたその体力を使って必要事項を頭に叩き込む。体力馬鹿の一夜漬けを甘くみてはいけない。(目が見えないことがこんなにじれったいとは)報告を待つ時間がアレックスにはとても長く感じた。三分ほどでグレイブが報告に戻ってきた。 「料理長が気を失っている奥様を発見し、レダと共にお部屋にお連れしていたしました」「気を失った?」(何があった? 襲撃された? この屋敷が?)「倒れる姿を屋上にいた洗濯係が見ておりました。風に煽られてシーツが屋上から落ち、下にいた奥様がそれを見られて、そこで倒れたと。不審なことも、不審人物もいなかったそうです」「シーツが被さってきて驚いた、ということか?」「いいえ、シーツが被さる前に倒れたそうです」洗濯係の見た通りなら、落ちてくるシーツと彼女の間には距離があったということになる。それにあの悲鳴のような声は、ただ驚いたという感じではないとアレックスは感じた。「くそっ」己の体からかつてないほど熱い魔力が噴き出そうになるのをアレックスは感じていた。今すぐにでも彼女の脅威を打ち払いたい。彼女を守りたい衝動が沸き上がる。 (父上が言っていたのはこれか)ウィンスロープの者は感情の振れが極端だった。他人にはほぼ無関心だが、愛する者は周囲がドン引きするほど盲目的に愛し、愛する者の敵は周囲がドン引きするほど徹底的に叩きのめす。特にウィンスロープの長である公爵家一族の粘着性はひどいらしく、王家から嫁いできた母ヒルデガルドには「ほどほどが大事よ。ほどほどにするのよ。ほどほどにしないとフラれるわよ」と“ほどほど&rdquo
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-07
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23.しあわせな夢|レティーシャ

(ここは、どこ?)丸太がむき出しの天井をぼんやりと見ていて、ハッと気づいた。ここはレティーシャがウィンスロープ邸にいくまで暮らしていたスフィア邸の裏山に離れの小屋。何代か前のスフィア伯爵が趣味で作り、レティーシャが育った場所だった。 (でも何か少し違和感が……そうだわ。ドモはどこかしら?)頼りになる精霊を探そうとしたとき、タッタッタッと軽い足音が聞こえてきた。レティーシャが振り返ると、見覚えのある女の子がいた。(……私?)少女は見覚えのあるワンピースを着ていた。まだ継ぎ接ぎがなくきれいだ。乳母がこれを作ってくれたのは六歳くらいの頃だった。(夢を、見ているのね)精神干渉。ある聖女の手記に暗号めいた形で残されている秘技。人の体には寿命という限界がある。聖女は怪我や病気を治せても、寿命をどうこうすることはできない。死は必ず訪れる。だから、体は限界だけど心は生きたいという人に聖女は夢を見させる。見るのは、その人が最も幸せだったときの夢。自由に動かせる体。苦しみも痛みもなかった頃のこと。またこんな風に。「また」と思った瞬間、人は生を捨てて死を選ぶ。 (私はまた死にたいって思ってしまったのね)あの暗号を紐解けるのは、この『しあわせな夢』を見たことのある聖女のみ。つまり、死にたいと思った聖女だけがこの死と隣り合わせの『死合わせな夢』を見ることができる。レティーシャがこの夢を見たのは過去に二回ある。(この私はなにも知らない。私が幸せだったとき)最初はいま夢に見ているこの六歳のとき。六歳のレティーシャは山小屋の中を駆け回り、それに飽きたのか小屋を出て庭を走り回っている。山小屋は柵で囲まれていて、ここから出てはいけないとレティーシャは乳母たちに厳しく言われていた。今のレティーシャから見れば小さ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-08
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24.蕩ける初恋|アレックス

レティーシャのピンク色の瞳から涙が零れるのを止められない。アレックスは悩んだ。慰めるには触れなければいけないが、幼い頃に受けた貴族教育によれば「女性に許可なく触れてはいけません」となっている。自分にほいほい許可を出す女性が多いせいでアレックスは忘れいていたが、貴族令嬢のレティーシャに対する正しい対応はコレである。 ―― 法律で認められた妻なんだから触れるくらいいいじゃないか。これはアレックスの中の欲深い悪魔の発言。―― 法律で認めたのは『ラシャータ』であって、彼女はラシャータじゃないでしょう。これはアレックスの中の理性的な天使の発言。(泣いているから、慰めるだけだ)これはアレックス自身の言い訳。 (泣いている女性を放っておくなど紳士の風上にも置けないだろう?)アレックスは泣きながら愛を求めてくる女性たちに塩対応してきた過去を完全に忘れ、己を棚に上げた発言で心の中の天使を擁護した。これぞ紳士の嗜みだと、自覚のある後ろめたさから己の行動に理由をつけ、アレックスはレティーシャを抱き寄せた。 「もう泣くな」アレックスはこの行動が、公爵や騎士という立場から生じる義務感ではなく、ただ一人の男として愛しい女性を思っての行動だととうに自覚している。己の恋心を自覚して受け入れる。これは恋愛における重要なはじめの一歩。「泣くな」ひたすら“泣くな”しか言えないボキャブラリーの乏しさだが、これは泣いている女性を慰めた験値がほぼゼロ、幼い妹だけというだけである。アレックスという男は、女性に触れることはおろか、同衾などに対しての経験値と免疫力はある。だから「慰めるための行動」はできる。魔力暴走で冷えた体を温めるだけ、と定番の言い訳をさっと思いついて、アレックスはレティーシャを抱きかかえてベッドにそのまま横になった。『閣下、一割ですよ!』と天使たちに交じってソフィアが叫んだ感じがしたが、アレックスは聞こえない
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-09
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25.甘えた声|アレックス

「う……んぅ……」腕の中に抱いていたレティーシャの苦し気な声にハッとしてアレックスは腕の力を緩めた。レティーシャの眉間に寄る苦し気な皺にアレックスは顔をしかめ、親指の腹でそっと撫でる。「……お母、さ……」母を呼ぶレティーシャの声に、アレックスの眉間の皺が一層深くなる。 (レティーシャの母君、サフィニア夫人は本当に自殺したのか?)レティーシャが生きていたとなると、次に疑わしいのはレティーシャの母サフィニアが本当に自殺だったかどうかということになる。この疑問については、アレックスからしてみたら引き継いだものになる。サフィニアの死を不審に思っていたのは母ヒルデガルドだった。アレックスの母ヒルデガルドはサフィニアの姉と同じ年で、ヒルデガルドはサフィニアを妹のように可愛がっていた。アレックスとレティーシャの婚約が早々に決まったのはこの繋がりである。―― この私の妹なのよ、夫に愛されないくらいで世を儚んで死ぬわけがないでしょう。サフィニアの死を「あり得ない」と断言する母の言葉に説得力があったし、夫に愛されていないことくらい“第二夫人”にさせられた時点で把握していただろうし、子を産んでから三年もたってからの自殺の理由として夫の愛はかなり不自然ではあった。 (レティーシャの死を偽装する場合、最も邪魔な存在はサフィニア夫人となる……でも、なぜ、レティーシャのほうだったんだ?)アレックスは、自分だったら第一夫人を殺してラシャータのほうを隠すと考えた。愛情というただ一つの理由を除けば、“どちら”と選んだときに第一夫人を殺すほうが遥かにリスクが低い。何しろ、第一・第二と形だけは序列があるが、血を重んじる貴族社会にとって平民の第一夫人よりもフレマン侯爵家出身の第二夫人のほうが遥かに上になる。この二人の母親の血筋は侯爵家と平民と大きく違う。フレマン侯爵家は優秀な文官を
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-10
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26.公爵夫人の専属侍女①

「レダ卿、耳を貸していただけますか?」レティーシャの願いにレダが従うと「絶対秘密にしてくださいね」と先ず言われた。「もちろんです」「あの、ここだけの話ですが……皆さん、何か悪いものでも食べてしまったの?」その心底困った声に、レダは必死に笑いを堪えた。レティーシャがそう言うのもレダには分かるが、それを言うわけにはいかない。 レティーシャの魔力暴走がおさまったあと、アレックスにより目が治り職務に復帰することが全使用人に向けて通達され、幹部職と特別にレダにだけは「レティーシャがあの聖女レティーシャであること」が知らされた。レティーシャがあの聖女レティーシャかもしれないとレダも薄々感じてはいたが、確信がもたらされたことでレダの胸はじんっと感動で痺れた。この知らせが一部に限定されたのには、レティーシャ本人にアレックスたちが彼女の正体を知っていると知られないためだった。なぜかの説明はなかった。アレックスからは。アレックスの様子から事情を察したグレイブとソフィアから説明があった。(正体がバレたと知ればレティーシャ様が離婚を切り出すかもしれなくて、切り出されたら断れなくって、だから切り出さないために閣下は奥様に好かれなければいけない……と)アレックスの女性遍歴を見聞きしているレダとしては「その経験を活かせ」と言いたいが、恋愛は周りがとやかく言うと失敗する傾向なので黙っているべきと判断した。他の者も大体同じ結論に至っているし、知らされなかった使用人も、勘が悪いわけではないのでレティーシャの正体をほぼ確信しているが、ウィンスロープ邸で勤務できるほど優秀かつ信頼のおける者たちなので「何か事情があるんだろう」で静観の構えだった。 「居心地が悪かったりしますか?」「そんなことないわ。でも『専属侍女』だなんて……それも三人も……私なんかには勿体ないというか……」「本人たちの希望なので奥様が気になさる必要はありませんよ」むしろ受け入れてやってほしいとレダは思う。 当初、レティーシャの専属侍女の枠は一つだった。王妃陛下でも専属侍女が一人だから、特に社交の予定がないレティーシャも一人で十分だった。しかし、その発表に全侍女が抗議し、ソフィアは耳をふさぎながら「一」に二本線を足して「三」に変更した。倍率は三分の一になったが、倍率が高いことは変わらず、厳しいふるい落
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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27.公爵夫人の専属侍女②

騎士をやめて侍女になると宣言したトニアをレダは、レダの周りの騎士たちも必死に止めた。「似合わない真似はやめろ」と遠回しに言葉を飾らずストレートな言葉で止めた。それなのにトニアは希望を変えず、驚いたことに専属侍女になった。(専属侍女に選ばれたと聞いたときには、槍でも降ってくるのではと団長と一緒に空を見上げてしまったっけ)選抜を勝ち抜いたトニアはすごいのか、トニアを選んだあの選抜がすごいのかレダには分からなかったが、はめでたいことではあるので、その夜は団長のおごりで送別会が開かれた。レダは元騎士ではない。トニアは団長に退団届を出しているが、それは団長の手元で保留になっている。専属侍女をクビになってもトニアは騎士に戻れる。そんな団長の言葉にレダはホッとした。クビになったら適材適所という言葉をトニアに教えようとレダは思っている。(そもそもだ、婚約者が反対すればトニアも考え直したかもしれないのに)トニアの婚約者は止めるどころか、「頑張れ」と言ってトニアの背中を押した。侍女の制服がガーリーなお仕着せであることを他の者に聞かされても、「大丈夫、着れる」と言って背中を押すことをやめなかった。確かに着れはするが、似合うかどうかは別である。(まあ……婚約者の恩返しじゃ仕方がないか。……レティーシャ様も全く気にしていないし) レティーシャの魔力暴走により、トニアの婚約者の治らないと言われた膝の古傷が完治した。傷を負って彼は後援部隊に移動になったが、戦えなくては筋肉の価値が分からないといじける日々を送っており、筋肉絶対と思っているトニアは彼の慰め方が分からず二人の関係はずっとギクシャクしていた。古傷が治った婚約者はめでたく前衛部隊に復帰、トニアとも筋肉育成デートができるようになり婚約関係はまた良好になった。ちなみにこの婚約者、トニアが専属侍女になるなら自分がレティーシャの専属護衛になるとアレックスに直談判をした。もちろん、却下だった。 男の護衛などアレックスが許すわけがない。彼は諦めずレダに挑戦を持ち掛け、レダは徹底的に叩きのめしたが彼の心は折れなかった
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-12
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28.レティーシャは悩む

最近レティーシャは悩んでいる。もしかしてウィンスロープの人たちは自分がラシャータではないことに気づいているのではないか。(でも、確かめようがないのよね)変に探りを入れて、実は何も気づいていなかったのに自分からバラすと言うことは避けたい。レティーシャ自身、今後の身の振り方は決まっていない。(それならせめて離婚すべきよね。調べてみたら勢いで離婚して後悔して再婚するケースもあるみたいですし、そのあたりはラシャータ様に頑張っていただいて……)アレックスはラシャータとの結婚を嫌がっていた。公爵家の猟犬が死んで喪に服すから結婚できないなどと言われれば、結婚したがっていないと普通は分かる。ラシャータの振りをしているレティーシャとしては、公爵家の好意に甘えてずるずるとこの曖昧な結婚を続けてしまっていることに申しわけない。(離婚、したいですよね)アレックスの何か言いたげな目にレティーシャは気づいていた。ただ……。(公爵様を治すのに治癒力を使ったわけですし、それに恩を感じている公爵様からは離婚を切り出しにくいですわよね)初恋と恋敵への対処に悩むアレックスの態度はレティーシャに完全に誤解されていた。(話し合うべきかしら……話し合うべきよね。でもなんて言うべきかしら。『離婚してください』? 理由を問われるわよね、普通は……『恩を感じず』は逆に恩知らずと言っている感じがしますし、『私のことは気にせず』も気にしてほしいと言っている感じですし……公爵様にお好きな方がいらっしゃれば『お幸せに』でいいのだけれど)はたとレティーシャの思考が止まる。(そういえば、公爵様は恋人とかいらっしゃらないのかしら。いるわよね、新聞とかに騒がれていましたもの。ラシャータ様はそれだけご自分の婚約者は人気があるのだと笑
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-13
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29.アレックスの八つ当たり①

アレックスが貴族会議に出席すると、議場にいる貴族たちの目が一斉にアレックスに向いた。「……珍獣扱い?」「うるさいぞ、ロイ」ロイはグレイブの息子。将来的にはグレイブの跡を継いでウィンスロープの執事長になる予定であるロイは執事養成学校を優秀な成績で卒業し、学校長の頼みで学校に残り教鞭をとっていた。アレックスの危篤時は学校をやめてウィンスロープに戻ることを考えたが、グレイブと、なにより主人であるアレックスから「中途半端に仕事を投げ出すな」と言われて学校に戻った。アレックスの結婚も、アレックスの回復もロイは学校で知ることとなったが後悔していない。そして先日アレックスから「仕事が溜まり過ぎて奥さんとの時間が取れないから戻ってこい」と言われた。「中途半端に仕事を投げ出すな」という御高説はどうした、あの大嫌いだった婚約者と何があったの、とロイは戸惑った。いろいろな思いを抱えながらもロイはちゃんと引継ぎし、ウィンスロープに戻り、レティーシャを見てすぐにロイは気づいた。別人じゃん。その後アレックスとグレイブから事の次第を聞き、いまに至るというわけである。 「貴族会議は初参加ですか?」「参加は任意だからな。議会は多数決制だからな。結局はまあ、スフィア伯爵の意向にそった方に決まるんだよ。そんなところに少数派の俺が参加しても、なんか、こう、いろいろ無駄じゃないか」アレックスの言葉に何人もの貴族が気まずそうに顔をそらした。「ウィンスロープ公爵!」元気のよい声に呼ばれてみれば、グロッタ侯爵だった。グロッタ領とウィンスロープ領は隣り合わせ。昔からいろいろ協力し合ってきた間柄だ。つまり仲良し。アレックスは空いていた彼の隣の席に座った。「まさか議会でお会いするとはのう」(お?)
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-14
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30.アレックスの八つ当たり②

 「そもそも、スフィア伯爵はなぜ成人女性をわざわざ養女に迎える?」「王子妃の座を狙うにしても、第一王子と第二王子には既に婚約者がいる。末っ子の第四王子はまだ十にもならない」元聖女派の貴族たちの言葉。元仲間の裏切りに、聖女派の貴族が反論する。「彼女は亡くなった聖女レティーシャにそっくりだそうですよ」「亡き娘の面影がある女性を養女に迎えたい伯爵の気持ちをご理解なさってはいかがです?」(亡くなった聖女レティーシャ、ね)アレックスはこぶしを強く握り、レティーシャは生きていると叫びたい気持ちを抑える。「聖女レティーシャの面影を求めるならラシャータ様がいるではないか」「左様。幼い頃ではありましたが、あの二人はそっくりだった」「似ていると言っても所詮は他人」 「議長、この議題については慎重に話し合う必要がありますぞ」「グロッタ侯爵?」議長は苛立っていた。アレックスだけでも厄介なのに、そんな気持ちが顔に現れていた。「スフィア伯爵は、その女性と懇ろな関係なのではないか?」(攻めるな、グロッタ侯爵)グロッタ侯爵はアレックスの亡き父親の親友。二人はとても仲良く、彼の娘のフローラとケヴィンの婚約は彼らの酒の席で決まったほどだ。「む、娘ですぞ?」「いや、法律上はさておき血のつながりはない他人だ。懇ろな関係でもおかしくない」「そ、それなら愛人にでも迎えるはず。娘として迎えたいから……」「愛人では財産が渡らんだろう。伯爵が死んだら彼の財産は家族、つまり現段階では夫人と娘のみにしかいかない」「財産なんて……」「いや、伯爵と伯爵夫人の姿を見れば分かりますぞ。あの家はかな
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-15
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