アレックスに会いにいくと決めて支度をしたものの、レティーシャは大事なことを忘れていた。馬車が怖い。「王城は目と鼻の先。天気もいいですし歩いていきましょう」 「そうしましょう」だからレダに歩いていくと言われたときはホッとしたし、初めての街歩きにいくのだとワクワクもしていた。「奥様、ここはもう城です」 「え?」公爵邸に庭を歩いて正門を抜け、目の前の大きな道を渡っただけ。「街は……市場とかどこかしら?」 「市場は、あっちのほうですね。あの門よりこっちは城の敷地になります」あの門というのはいま潜った門。道を渡る前、この大きな門をみて「立派な門だわ」と思っていたから確かだ。「どうしましたか?」 「お店を見て回れるかと思っていたので、少し残念だっただけですわ」なんだ、とレダが笑う。「帰りは遠回りして帰りましょう」レダの提案にレティーシャの気持ちが一気に浮き立つ。「そうだ。閣下を誘ってみてください。騎士の仕事には城下の巡回もありますし、場所と時間に制限があるかもしれませんが一緒にいけるかもしれませんよ」「まあ、どんなお顔をなさるかしら」 「楽しみですね」そんなことを話していると大きな建物についた。レダ以外の騎士はここで待機だという。「早馬で先ぶれを出したので、誰かが待っているはずなのですが……」 「レダ」誰かがレダの名前を呼び、レティーシャがそちらを見ると「まあ」と思わず声が出た。「近衛騎士団の団長殿です」 「とても素敵な方ですね」そこにいたのはアレックスとは違った魅力のある壮年の男だった。普通の騎士服の何倍も煌びやかな近衛騎士の制服も似合い、「花のある」とい言葉がとても似合っていた。「こんな爺に嬉しい言葉をありがとうございます。ロドリゴ・ドノバースと申します」 「物語に出てきそうな素敵な騎士様で、吃驚して思わず無作法をいたしました。申しわけありませんでした、ドノバース卿」「え、あ……どうも」
Terakhir Diperbarui : 2025-12-16 Baca selengkapnya