「結論から先に言う。あの女性はラシャータではない」「やっぱりな。変身魔法で誰かにラシャータの振りをさせているんだな」誰が用意したか分からないが、ずいぶんと下手な役者を用意したものだとケヴィンは思った。「ラシャータではないが聖女だ」「は? 新しい聖女が生まれたなんて聞いてないぞ」「……あのな。お前の目には彼女が赤子に見えたのか?」「いや……大人の女だった」年齢はオリヴィアと同じくらいで、ラシャータに似ていた……厨房で見た女を思い出しながらケヴィンが両手で女性の体を象ってみせると、目の前にアレックスのペンが飛んできた。「危なっ」「下品な目で彼女を見るな」「だからって……弟を殺す気か?」止めた万年筆を呆れたように回して見せると、グレイブがふうっとため息を吐いた。「いま旦那様は初恋の続きでウッキウキなのです。冗談は通じません」(まさか……)「聖女レティーシャ? あの、三歳で亡くなった? え、生きていたよな?」「当り前だ」「え…………ええええ。」「驚かせて……」「やったじゃん、初恋の君! 兄貴の初恋か、あの兄貴の初恋か。食い散らかしてポイ捨てがデフォルトの兄貴の初恋かあ……え、ちゃんと初々しいの?」「……大事なのはそっちか?」 そしてケヴィンはアレックスたちからこれまでの経緯を聞いた。スフィア伯爵がラシャータを養女にしてまで表舞台に出そうとしていることを聞いて、莫迦だなとケヴィンは思った。「で、これは誰のシナリオ? ……といっても、できたのは一人しかいないか」「そうだな。この国で王命を出せる
Terakhir Diperbarui : 2025-12-26 Baca selengkapnya