All Chapters of 異世界に逃げたら仮初の夫に取り憑かれた!: Chapter 11 - Chapter 12

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【第10話】討伐ギルド・後編(スキア・談)

「——つまりは、『助けてもらった優しさに触れて、この人に一目惚れした』と言うわけね?」 腕組み状態にあるシリルが要約を口にしながら訊いてくるが、どう見たってルスの話を信じている感じではない。だが、僕らが所詮は『仮初の夫婦でしかない事』や『契約を交わして、僕がルスの身に取り憑いている状態にある事』をきちんと伏せた上でルスが事実説明をやり遂げたので、ひとまずは良しとしよう。 「はい。スキアさんが森の中で倒れているワタシを見付けてくれていなかったら、あのまま獣の餌食になっていたかもしれませんから」  ルスは一言も『一目惚れをした』とは言っていないのだが、反射的に訂正するというバカはせず、話の補足をしていく。 「で?コボルト達はどうなったんですか?」 「崖下までは追って来なかったので、多分諦めてくれたんじゃないかと」  クレアの問いにルスが答えると、「じゃあ、早急に野良コボルトの討伐依頼を作っておくわ。町に住むコボルト族の者達の理解も得ておかないといけないわね。あとは、しばらくはゴブリン討伐を控えた方が良いかしら」  シリルが今後の流れを組んでいく。ルスを追っていたコボルト達はとっくに僕が始末しているのでその必要は無いのだが、敢えて伝える方が不信感が増しそうなので控えておこう。 「でもぉ、ゴブリンくらいしか狩れなかったのってロイヤルさん達のパーティーくらいでしょう?他の人達ならコボルトに遭遇しても対応出来ると思うけど」  アスティナの言葉に、「それもそうね」とシリルが同意する。結局、野良コボルト討伐依頼を新たに作成はするが、ゴブリンの討伐も引き続き継続して張り出される事となった。奴らは放置すると鼠算的に増えるので懸命な判断だと僕も思う。(使い捨ての兵としては優秀だったが、自分が人間側に立ってみると面倒な種族だよな) 魔族側についていた時の事を一人振り返っていると、頬に指を当ててアスティナが軽く首を傾げた。ルスよりもずっと年上だろうに、可愛らしい容姿のせいでその仕草が似合っている事が地味に怖い。 「……それにしてもぉ、ロイヤルさん達三人は一体何処に行ったんでしょうねぇ?」  町まで無事に辿り着いたのならちゃんと助けを呼びに行くくらいの良識が奴らにもあるとアスティナは思っていたのか、『まさかぁ、そうじゃなかったのぉ?』と不思議でならないみたいだ。
last updateLast Updated : 2025-12-22
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【第11話】コレでは、ただの『同居』では?(スキア・談)

 討伐ギルドのある通りからまた少し奥の方へ進み、広めの路地を住宅が多く並ぶ通りへ向かうと、ルスの弟・リアンを預けている保育所がある。  入口から中に入った途端、開口一番説教されてしまった。『ご自分で、この時間までと言っていた時間通りに迎えに来て欲しい』と。僕らよりも先に討伐ギルドの方から伝書鳥が送られてはいたらしく、深刻な事情があっての延滞である事は理解しているものの、それでも人手が足りていない現状では連絡無しのまま延滞されるのは非常に困るのだとか。(……まぁ、向こうの言い分も理解出来るが、一人寂しく森の中で瀕死にまでなっていた者に対して言う台詞では無いのでは?) ついそんな事を考えて、すぐにかぶりを振った。僕らしくない考えがふと無意識のうちに浮かんでくるこの感覚は初の経験で、なんだか気味が悪い。 「すみません、すみません」  何度も頭を下げてルスが平謝りし、延滞料金を支払った。今日は報酬をかなり多く貰えたので痛くも痒くもない額ではあったものの、待ち疲れて眠るリアンを腕に抱えて家に戻ろうとしているこの道中、ルスはずっと凹んだままでいる。  そんな嫁の横で、僕は義弟となったリアンをじっと観察していたのだが……ルスに取り憑いたおかげで得られた“知識”と、ここ数日分の“記憶”の中にあるリアンの姿と、今目の前に居る彼の容姿とが、どうも違う事が気になった。彼女の認識上のリアンは丸々と太った愛らしい子犬みたいな印象なのだが、実際彼女の腕の中で眠っているリアンは—— どう見ても、巨狼・フェンリルの赤ちゃんだ。 小さくとも、細長い体躯とアイスブルーと白い毛色、隠しきれぬ禍々しいオーラを微弱に纏う点や、狼の様な凛々しい顔立ちは過去に聞き齧った特徴と一致する。  フェンリルはドラゴンとも並ぶ程の希少種で滅多にお目にかかれない。喧嘩別れした知人の一人がドラゴン族だったが、それも随分と昔の話である。(という事は、ルスはフェンリルの獣人なのか?) 逃走時の彼女の様子を思い出す。  通常のオオカミや犬の獣人ならば納得出来るレベルではあったが、彼女までフェンリルだと仮定するにはあまりに運動能力が低い。奴らは好戦的で肉弾戦が得意な種族のはずだ。だけどルスは戦闘が得意な様には見えないし、コボルト達から逃げる時に獣化していなかった事を考えると、やはり違う気がする。既に得たルス
last updateLast Updated : 2025-12-26
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