異世界に逃げたら仮初の夫に取り憑かれた!

異世界に逃げたら仮初の夫に取り憑かれた!

last updateHuling Na-update : 2025-11-16
By:  月咲やまなIn-update ngayon lang
Language: Japanese
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綺麗な水と豊かな大地に多種族が暮らす大陸オアーゼ。しかし狭い環境ゆえ争いが起き、魔王ブリガンテの台頭で人間と獣人は追い詰められていく。——だが魔王の自殺で形勢は逆転した。 復興が始まるも人材不足は深刻で、人々は“異世界”からの人材勧誘を開始する。現実から逃れるように幼い弟を抱え移住した彼女もその一人だった。 まさか自分が逃亡先の異世界で、魔王をも操っていた影の存在と仮初の夫婦契約を結ぶことになるなんて思いもせずに。

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Kabanata 1

【プロローグ】手に入れた童話

 むかしむかし。

 とある世界のとある星では、ニンゲンとマモノがいつもケンカをしていました。

 ずっとずっと仲が悪く、ケンカばかりしていましたが、ある日マモノ達の中に一人の王様が現れました。

 カレはとてもつよく、とてもかしこく、うつくしかったので、マモノ達はみな『マオウサマ』と呼んだそうです。

 マオウサマはつよかったので、マモノ達はたくさん勝ちました。

 ニンゲン達は負け、星のすみっこでしか生きていけなくなりました。

『このままではニンゲンはゼツメツする』

 みんながそう考えていましたが、マオウサマが急に死に、王様がいなくなったマモノはゆっくりとジメツしていったのです。

 ナゼかはわかりませんでしたが、そのジジツをニンゲン達はスナオによろこびました。

 でも、このままではニンゲンもみんな居なくなってしまうでしょう。

 多くのモノ達がそう考えてしまうくらい、ニンゲンも減っていましたから。

 だけどニンゲン達はふえていきました。

 そして、ニンゲン達は住むばしょを広げました。

 いつかはマモノに勝とうと、こっそりがんばっていたおかげで。

 ——知りたいかな?

 どんなふうにがんばったのか。

 どうしてまた、ふえたのか。

 知りたいなら、この本の上にキミの手をのせてみるといいよ。

 “いま”をかえたいキミも、手をのせてみるといいよ。

 キミを、わたし達がたすけてあげる。

       ◇

 ——生まれて初めて、母さんから渡された絵本に書いてあったこのお話は、とても不思議な終わり方をしていた。

 真っ黒なクレヨンで描かれたマモノ。赤や青といった綺麗な色を使って描かれているニンゲン達。豊かな自然の風景もクレヨンで描いているのにとても綺麗で、心を惹き込む力強さがあった。

 正直な所、お話の意味はよくわからなかった。

 だから面白いとも思わなかった。だけどワタシは何の気なしに手を置いてみた。

 今日、初めて会った弟の小さな小さな手も、一緒に。

 最後に書いてあった、『キミを、わたし達がたすけてあげる』という文字が胸にじわりと響いたからだ。

 たすけて、たすけて、たすけて…… もう、ここから消えてしまいたい。

 そんなお願いが叶うかもしれないと、少しだけ、本当に少しだけだったけど、期待したからだった。

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【プロローグ】手に入れた童話
 むかしむかし。  とある世界のとある星では、ニンゲンとマモノがいつもケンカをしていました。  ずっとずっと仲が悪く、ケンカばかりしていましたが、ある日マモノ達の中に一人の王様が現れました。 カレはとてもつよく、とてもかしこく、うつくしかったので、マモノ達はみな『マオウサマ』と呼んだそうです。 マオウサマはつよかったので、マモノ達はたくさん勝ちました。  ニンゲン達は負け、星のすみっこでしか生きていけなくなりました。『このままではニンゲンはゼツメツする』 みんながそう考えていましたが、マオウサマが急に死に、王様がいなくなったマモノはゆっくりとジメツしていったのです。  ナゼかはわかりませんでしたが、そのジジツをニンゲン達はスナオによろこびました。 でも、このままではニンゲンもみんな居なくなってしまうでしょう。  多くのモノ達がそう考えてしまうくらい、ニンゲンも減っていましたから。 だけどニンゲン達はふえていきました。  そして、ニンゲン達は住むばしょを広げました。  いつかはマモノに勝とうと、こっそりがんばっていたおかげで。 ——知りたいかな?  どんなふうにがんばったのか。  どうしてまた、ふえたのか。 知りたいなら、この本の上にキミの手をのせてみるといいよ。  “いま”をかえたいキミも、手をのせてみるといいよ。 キミを、わたし達がたすけてあげる。        ◇  ——生まれて初めて、母さんから渡された絵本に書いてあったこのお話は、とても不思議な終わり方をしていた。  真っ黒なクレヨンで描かれたマモノ。赤や青といった綺麗な色を使って描かれているニンゲン達。豊かな自然の風景もクレヨンで描いているのにとても綺麗で、心を惹き込む力強さがあった。 正直な所、お話の意味はよくわからなかった。 だから面白いとも思わなかった。だけどワタシは何の気なしに手を置いてみた。  今日、初めて会った弟の小さな小さな手も、一緒に。  最後に書いてあった、『キミを、わたし達がたすけてあげる』という文字が胸にじわりと響いたからだ。 たすけて、たすけて、たすけて…… もう、ここから消えてしまいたい。 そんなお願いが叶うかもしれないと、少しだけ、本当に少しだけだったけど、期待したからだった。
last updateHuling Na-update : 2025-11-16
Magbasa pa
【第一話】ゴブリン討伐・前編
 幾千幾万と混在する世界の、とある星の一つに、緑と水に溢れた【オアーゼ】と呼ばれる大陸がある。その大半を広大な海で満たされているこの星では、オアーゼ大陸は砂漠で見付けたオアシスが如く貴重な大地だ。自然豊かなその土地は様々な資源に恵まれ、綺麗な飲み水も多く、栄養価の高い土は数多の命を育んでいった。精霊や神霊、動植物も数多く生きる美しい大地となったが、悲しい事にそれら全てを養うにはオアーゼはあまりに狭く、生き物同士は次第に対立するようになってしまった。 多種との平和と共存を願う人間と獣人、そして一部の獣達。  攻撃的で弱肉強食を掲げる魔物と、ぬるい平和を嫌うならず者。 両者は相見える度に争いを繰り返してきたが、長い年月の間どうにか均衡を保ち続けていた。だけど魔物達の中に『魔王』と呼ばれる存在が出現した途端、絶妙なバランスを保っていた勢力図は壊れた天秤みたいに一気に片側に傾き、平和を願う種族は全て、絶滅危惧種と化す直前にまで追い込まれてしまった。このままいけば魔物側の勝利だ。『豊かなオアーゼは今以上に混沌の大地と化すだろう』と誰もが思った。 ——だが。  ある日突然、何故か魔王が《自殺》した事で事態は一転したのだ。 理由はわからない。だが彼は何の前触れもなく、城の玉座で、自身の胸に短剣を突き刺して死んでいたのだ。それにより統制を失った下級の魔物達は混乱し、力ある者達は『我こそが次の王だ』と互いに殺し合いを始め、魔物達は急速に自滅していった。  それから五年。  魔物達は未だに衰退の一途を辿り続ける中、人々は勢力を取り戻そうと躍起になっていた。だが圧倒的に人員が足りず、破壊され尽くされた街の復興もままならない。そんな中、《魔塔》と呼ばれる施設で暮らす魔法使い達が『実は、人材を簡単に増やす方法がある』と多くの権力者に打診してきた。そんな都合の良い話はあるはずが無いと半信半疑になりつつも、全てがひっ迫している状況では藁にでも縋りたくなるものだ。『ならば話を聞くだけなら』と、権力者達は魔法使いに『その方法は?』と訊いた。すると彼らはこう答えたそうだ。『他の世界から、人材を連れて来たらいいのだ』と。 これ以降、此処オアーゼには異世界からの移民が増えていく事になる。復興を担う新しい人材を集める為、数多くの魔法使い達が様々な世界へ勧誘しに行った成果だった。   
last updateHuling Na-update : 2025-11-16
Magbasa pa
【第ニ話】ゴブリン討伐・後編
 最終討伐地点から二十分程歩いて来たが、まだ彼らが拠点としている町までは遠い。討伐ギルドに登録している者としてはまだまだ駆け出しの彼らでは、パーティー全員分の馬や馬車を借りる余裕はなく、移動手段は徒歩一択である。幸いにして此処ガイストの大半は広大な森な為少々薄暗くて視界に多少の難はあるが、割と平坦な土地が続く地域なので足場は悪くないのが救いだ。 途中途中で湧水を水袋に汲んだり、木々に実る果実などを摘みながら歩いていると、暇つぶしで始めた雑談の中でそれぞれの名前の話題になっていった。自慢気に、いかに自分がその名に相応しいかを語っていく。三人共とても気に入っている名前みたいだったので、少女が「皆さん素敵な名前ですもんね」と素直な気持ちで褒めると、スカルとキングが少女の首回りに腕を回して豪快な笑い声をあげた。素面のはずなのにまるで酔っ払いのような絡み方である。「わかってんじゃねぇか!」 「新天地での名前ってぇのは、大事なもんだもんなぁ」 「あぁ、もちろんお前も良い名前だぞ」 あははは!と再び三人は笑ったが、少女は今までに一度も名前を訊かれておらず、『お前』や『アイツ』『コイツ』以外では呼ばれてもいない。だがその事にすら気が付いていない三人に対しても、少女はただただ優しく笑顔を返すだけだった。        ◇  更に五分程帰路を進んだ頃。  何かが唸っているような、変な音が遠くから聞こえ始めた。風の音にも似ており、始めは四人共『気のせいだろう』と考えていた。町まで随分と近づいて来たし、この辺はもう魔物の生息地域からは外れ始めているからだ。目を凝らせば拠点にしている町の外輪が見え、周囲に広がる農地や農民達だって確認出来るような場所だ、何も危険は無い。……無い、はずだと思いながらも、彼らの歩く速度は次第に上がっていく。  そんな三人に追いつこうと少女も必死に歩いてはいるが、小柄な彼女では走っているに近い状態だ。修道女にも似た白い服は裾に向かう程細くなっていくテーパードスカートに近いシルエットになっている為、これ以上早く移動するのは厳しいかもしれない。『グルルルル…… ッ』 斜め後ろ方向にある木々の隙間で、二つ並びに何かがギラリと光った。獣めいた唸り声は既にもうかなり近く、ロイヤルが慌てて大きな盾を構える。彼の背後に隠れたスカルは弓を、キングは剣を手に取
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