義姉からまさかそんなことを言われるなんて思いもしなかった。 だが、どう返事したら良いか分からない。今更という部分もあるし、こちらだって理解が追いつかない。当然のように、イルゼは返信を書くことなんてできなかった。 しかし、この事態にイルゼは余計に形見の狭さを感じ始めていた。 先行きだって不安でしかない。 義兄と営んできた養鶏業も廃業だ。これから、いよいよ一人でどう生きていけば良いか考えると、焦燥が募るものだった。 もし、働くにしても領地を出て行くべきだろう。 この領地で義兄に監禁され、厭らしいことをされてきた殺人犯の娘という最悪な印象を持たれてしまうのはどことなく想像できたのだから……。 だが、これに対してヘルゲは「生きやすいに越したことはないでしょう」なんてやんわりと微笑んだ。「うちの旦那様もそうだしイルゼさんもね、〝不器用〟なんすよ。似た者同士だなって思います。たとえ本人は腑に落ちないとしても、周囲の評価だ待遇だの、そのまま受け入れたって悪くないと思いますよ?」 ──自分に厳しすぎなんすよ。 なんて、ザシャにも言われて、イルゼは目から鱗が落ちるようだった。 確かに、他人とそこまで関わってこなかったからこそ、分からなかったことだ。 厚意を受け入れること、甘えること。これまでの自分はなかったものだ。 この城に来て、人と触れ合い、学んだことは多すぎる。 それに、こんな風に言ってくれるのは心からありがたい。イルゼは、使用人たちに深く礼を言った。 そしてヘルゲは「今だからもう言えますが」……と、更なる暴露をイルゼにした。 何やらヘルゲはリンダと既に形式上で婚姻関係を結んでいるらしい。 娼婦の義姉を買う──つまりは、結婚していたということらしい。 だがその実態は……〝ヘルゲとザシャ双方の妻〟という扱いだそう。「法的に認められてませんが、兄弟共有の妻ということになりました。僕ら性格似てないですが、好みは似ていて。もう二夫一妻で良いのでは? ってことになりまして」 借金を肩代わりした他、買われた
Última actualización : 2026-02-09 Leer más