……しかし、彼は本当に顔が整っているとまじまじ思ってしまった。 義兄以外に男なんて殆ど知らないが、もう何度だって思うがこうも綺麗な男がいるものだとイルゼは改めて思ってしまう。 (物語の中の王子様みたい) 娼婦を束にして買うとの噂があるが、この容姿ならばきっと皆イチコロに違いない。 シュロイエの残党を象徴する忌まれた白銀の瞳だが……その色だって、儚げな印象を際立たせる宝石のようにしかみえないのだから。 「イルゼ、本当に表情に出るようになって可愛くなったよねぇ。イチゴみたいに真っ赤になってると味見したくなっちゃうよ?」 彼は悪戯気にクスクスと笑み、イルゼの前髪を掻き分けて額に口付けを落とした。 そうして触れられた箇所がジンと奥から熱を帯びるようだった。 なぜだろう、言葉が出せない。〝嫌〟なり〝やめて〟なりそのくらいなら言えるはずだが、どうにも言葉が出てこない。 否、決して嫌でなかったのだ……。 そんな自分が尚更不思議に思えて、イルゼは真っ赤になってプルプルと震えると、彼はようやくイルゼから退いた。 「なんかぁ……イルゼって思った以上に反応が可愛いから、つい意地悪したくなっちゃう。ごめんねぇ?」 謝る割にまったく悪びれた言い方ではない。 本当に何を考えているのかよく分からない。少しばかり不服に思って、プイと彼から顔を背けると「ごめんて」ともう一度謝られた。 しかし、可愛いだの言われるのは恥ずかしいし、嗜虐の標的にされるのも嫌だった。 もう話題を逸らしたい。イルゼはぼんやりと周囲を眺めて一つため息をつく。 「読書が好きなんですね」 思ったままを訊けば、彼は不思議そうにイルゼに目をやった。 「まぁ、うん。そーだね。めんどくせーとか嫌だぁーとか思ったときに現実逃避もできるしさ。学があっ
Last Updated : 2025-12-23 Read more