これだけ長く耐えてきた。そろそろ決着をつける時だ。篠原グループを継いでから、私は柊也の大型取引を立て続けに奪っていった。結城グループは、元から篠原グループの相手ではなかった。おまけに、柊也は例の「浮気された男」という不名誉なスキャンダルが学内に知れ渡り、大学もろくに卒業せずに実家に戻った。中身は空っぽのままだった。彼が取引先に理由を問い詰め、契約を引き戻そうとする試みは、ことごとく失敗に終わった。「夏帆、お前、俺に仕返ししてるのか?」「もう八年以上だぞ。いい加減、気も済んだだろ。なあ、少し話そう」彼が焦って私とコンタクトを取ろうとしている、まさにその時。私は彼が結城グループを継いでから行ってきた、脱税と資金洗浄の証拠を、この手で関係各所に提出した。その結果、柊也は空港で身柄を拘束された。私は少し離れた場所から、彼が警察に手錠をかけられ、連行されていくのを静かに見つめていた。柊也は苦悶の表情で何かを言おうとしている。二歩ほど近づくと、彼が苦しげに絞り出した声が聞こえた。「なんでだ?」私は思わず吹き出した。「あなたが私に『なんで』って聞くの?」「じゃあ、昔、私を侮辱した時、あなたは『なんで』って自問しなかったの?」「私を『耳が聞こえない』って嘲笑った時も、『なんで』って思わなかった?」「それに、私は通報しただけ。あなたが潔白なら、逮捕されるはずがないでしょう?」彼の犯罪の証拠を掴むのは、難しくはなかった。ここ数年、私は恵まれない地域の出身者や、多くの大学生に奨学金を出してきた。そのうちの一人が、偶然にも結城グループに勤めていて、私に内部告発をしてくれた。ただ、それだけだ。私は、昔からやられっぱなしで泣き寝入りするような人間じゃない。あのディベート大会の時、私は既に見抜いていた。結城柊也の正体を。彼は偽善者で、常に「自分には関係ない」と高みの見物を決め込み、強烈な利己主義者だ。だが、当時の私はまだ未熟だった。だから私は耐えた、高校卒業後の、あの誕生日パーティーまで。チャンスが来たとわかった。これで、大義名分を持って婚約を破棄でき、彼と同じ大学に行かなくて済む。海外に留学して、彼との縁を完全に断ち切り、機が熟すのを待てばいい。彼を一気に引きずり
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