All Chapters of 夫を息子の葬儀に参列させなかった: Chapter 11 - Chapter 12

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第11話

部屋の中、扉にもたれて座っていた隼斗は、その言葉を聞いた瞬間、胸の奥にわずかに浮かんだ申し訳なさが、一瞬で消え失せた。信じられないというように頭を抱え、自分がこんな人のために、何度も妻と子供を傷つけてきたなんて……と、思うことすら恐ろしくなっていた。彼はうつむいたまま沈黙し、まるで石像のように動かず、部屋いっぱいの罪悪感に飲み込まれていた。翌日、隼斗は準備した肉や米、小麦粉をリュックに詰め、帰る支度を整えていた。そのとき、皓月が突然飛び出してきた。智也が学校で同級生の新しいランドセルを奪い、さらに告げ口したら殴ると言い放ったらしい。新しい学校では、誰も智也を甘やかしたりしなかった。同級生たちは口々にその時の状況を先生に話した。先生はすぐに判断した。このままでは智也を受け入れられない。保護者が連れて帰るように、と。皓月は話を聞くや否や、すぐに隼斗のもとへ向かった。隼斗の立場で事態を収めてほしいと頼み込んだ。だが、隼斗はまるで別人のようだ。すべてを聞き終えたあと、静かに言った。「学校には学校の決まりがある。俺には口を挟めない」皓月は彼の手を強く握りしめ、目元が赤く染まった。「隼斗さん……お願い、助けてよ……あなたしか頼れないの……智也が退学になったら……この子の人生は終わりよ。これから私たち母子、どうすれば生きていけるの?隼斗さん……お願い……今回だけでいい、あなたが助けてくれれば、私……あなたが望むこと、何だってする……」涙に濡れた瞳で懇願する皓月を見ながら、隼斗の胸の奥に、苛立つような熱が湧き上がった。――そうだ。彼女はいつも、涙で同情心を引き出し、自分を惑わせ、何度も家族である柚羽と陽太を置き去りにさせた。それは、柚羽と正反対だ。記憶の中の柚羽は、どんな時でも「大丈夫。どんな困難でも乗り越えられるよ」と言いながら笑っていた。柚羽はいつだって、明るい太陽のようだった。あの日までは。陽太がいなくなる、その日までは。その想いが胸を刺した瞬間、隼斗の表情はすっと冷えた。「間違えたなら、罰を受けるべきだ。この件に俺は関わらない。……そしてこれから、智也のことにももう口を出さない」それだけ言うと、彼は振り返りもせず車に乗り込んだ。――今の彼には、どうしても柚羽に会いたかった。
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第12話

雨脚は次第に強くなっていくのに、ドアの外に立つその影は、最後まで動かなかった。隼斗の、張り裂けるような泣き声が雨音に混ざり、一晩中響いていた。けれど、私の心は、少しも揺れなかった。息子を失った時点で、彼への情は消えたのだ。その後数日、隼斗はいつも少し距離を置き、庭の祭壇を眺めては静かに涙を流していた。どれだけ隣の人たちが「可哀そうだから、話くらい聞いてあげたら」と言っても、私は彼を一歩たりとも中へ入れなかった。「陽太……最後の願い、ママはちゃんと守るからね」そして庭にある柿の木を切り倒し、隼斗の目の前で道端に投げ捨てた。木いっぱいの柿が地面に落ち、隼斗の目は真っ赤に充血し、その夜、彼は村を去った。――半年後。小学校の教室には、元気な声が響いていた。「生きているということ、いま生きているということ――」その声に導かれるように隼斗が視線を向けると、教壇に立つ私の姿があった。息子を埋葬したあと、私は小学校の教師として働き始めた。陽太は勉強できなくなった。でも、村の子どもたちにはまだチャンスがある。授業が終わり、私は教案を抱えて職員室へ向かっていた。ふと廊下の端に目を向けると、そこには制服をきっちりと着た隼斗が立っていた。薄く伸びた青い無精髭が、彼の表情にわずかな疲れと歳月を刻んでいるほかは、まるで――何も変わっていないようだ。私は踵を返し、その場を離れようとした。だが、隼斗は数歩で追いつき、私の腕を掴んだ。「……柚羽。君が教師になれるなんて、思わなかった」私は鼻で笑った。「そうよ。自分で教えられるなら、陽太を都会に連れて行かなきゃよかった。……結局、学校にすら入れなかったんだから」隼斗は気まずそうに鼻先を触り、小さく息を吐いた。「怒っているのは分かってる。責められて当然だ。……でも、もう全部終わらせた。皓月とは、きっぱり縁を切った。だから……お願いだ、俺にもう一度だけ、チャンスをくれないか?お願いだ、俺を捨てないでくれ」言葉は切実で、瞳には涙が溢れそうだ。「……頼む」私は遠くの山を見つめ、静かに首を振った。「隼斗。手を放して。私たちはもう戻れない」私は顔を上げ、ぼんやりとした彼の瞳を正面から見つめた。胸の奥に沈んだ寂しさが、言葉に滲む。「もし本当に後悔しているなら……自
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