「私は理玖さんと愛し合っています。彼から離れるつもりはありません」そう言い放つと、紬は真冬の目の前で、迷いなく小切手を引き裂いた。真冬は血相を変え、怒鳴り散らす。「何をするんですか!やめなさい、馬鹿者が!」紬は一歩も引かず、冷ややかな笑みを浮かべた。「いくら積まれようと、理玖のもとを離れることはありません」「貴様……!」真冬の目は血走る。――想像以上に厄介な女だ!紬は椅子の背にもたれ、腕を組むと、天井の監視カメラを指さした。「今のやり取り、すべて記録されていますよ。これ以上ここへ来るのはお勧めしません。もし私の気分を害して、理玖さんにでも報告してごらんなさい。また喜久子さんと揉めることになりますよ……ああ、怖いですわ」「この疫病神め!女狐が!その防犯カメラのデータを今すぐ消しなさい!」真冬は地団駄を踏み、悔しさに顔を歪めた。紬は机の上のブラックカードを指先でつまみ上げ、無邪気な声音で言う。「……では、これはデータ削除の『手数料』としていただいておきますね」結局、真冬は言い負かされ、這々の体でその場を後にした。怒りに任せて去っていく背中を見送りながら、紬はふと思う。今、鏡を見たらきっと、ドラマに出てくる「悲劇のヒロインを演じる悪女」みたいな顔をしているんだろうな。紬はこめかみを軽く揉んだ。真冬とのやり取りで眠気はすっかり吹き飛び、頭はむしろ冴え渡っている。鉄は熱いうちに打て――とばかりに、紬は再び医療用デザインの勉強に取りかかった。幸い、依頼主は面会を急いでおらず、来月の期限まではまだ十分な余裕がある。その頃、高橋繊維工業の賢人からも朗報が届いた。工場のセーターは予約注文が三万着を突破し、しかも今回はすべて前払いだという。賢人は感謝の印として、紬のスタジオが新たに発注した商品の代金を一切受け取らないと言い張った。押し問答の末、ようやく双方が折れ、五割引という形で決着した。入社したばかりの雅乃は、その光景をどこか現実味のない思いで眺めていた。利益を度外視してまで、スタジオのために服を作ろうとする工場があるなんて。後からカナにあのセーター騒動の一部始終を聞かされ、雅乃はますます紬への敬意を深めた。あれほどの労力を費やしながら、報酬は一切受け取らず、投げ銭など
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