「なぜ、お前の話はっ……、そんなに、悲しいものばかり……、っ、う……」 マリックの情けない嗚咽によってミアの語りが中断された。マリックはまたしてもミアに見られまいと顔を背けたが、ミアがどんな顔で自身を見ているかは想像に容易かった。 想像している通りの鈴のようなコロコロとした心地よい笑い声が背後から聞こえる。 「まだお話は終わっていませんが……」 「なに?」 続きがあったのかとマリックは涙をひっこめ、即座にミアのほうへ向き直る。てっきりここで話が終わってしまうのかと思った。それほどまでにミアの語り口は美しく切ないものであったし、開けられた間が長かったから。 「続きがあるなら早く言え!」 泣いた自分が馬鹿みたいではないか。マリックがミアを急かすと、ミアは再び控えめな笑声をあげ「では」とソファに座りなおす。 「アンリはその後、セシルの胸元のネックレスに気がつきます」 「ああ、満月のペンダントだな。色が変わるとかいう」 「ええ。そして、気づくのです。それが、セシルの命そのものであることに」 「命?」 なぜそうなるとマリックは話の飛躍についていけず、ミアの様子を窺う。そもそも彼女はヒューマノイドではなかったか。機械に命など存在しない。 ミアはマリックの言いたいことが手に取るようにわかるのか、情緒を壊すようなことを言わないでほしいと呆れたように首を振った。 「マリック王子にもわかるように言えば、その満月のネックレスがバッテリーだったんです。彼女を駆動させるための電池の役割を
最終更新日 : 2025-12-12 続きを読む