KAITO KASE」いつもはまだ賑やかな放課後の教室。 しかし今現在は重い空気に包まれたった3人が机を挟み対面していた。 「はぁぁぁ」 深い溜息に隣に座る制服姿の男子生徒はいたたまれずに頭を垂らした。 対面に座るいつもよりも上品なスーツ姿の女性教諭は机に置かれた数枚の資料を手にとり。 「お母さん、大丈夫です!」 声をあげる。 「公立でもギリギリ行けそうな高校はあります!諦めずに頑張りましょう!」 「先生…」 励ます女性教諭に母親は隣に座る息子をチラリと見やり、はあぁぁ…と再び溜息をはいた。 「海斗は手先も両親に似て不器用で…機械音痴のおっちょこちょいなんです。工学なんかには通えると思えないんです!馬鹿な子の唯一のとりえがあるとすれば去年全国までいけたサッカーくらい…。一か八かでスポーツ推薦狙う事も…」 「スポーツ推薦ですか…」 女性教諭は少しばかり眉根を寄せた。 去年の夏の大会で海斗が所属しているサッカー部は全国大会に出場した。そのサッカー部の中で海斗は1年から選手に選抜されてもいたし全国までフルで出場もしていた。 しかし。 1番肝心な高校からのスカウト推薦はもらえていない。 自己推薦で受けるしかないのだ。 「自己推薦になると学力テストも少しですが難度があがりますし受かったとしてもどの割合で免除されるかはわかりません。先ずは公立を一つ決めて…」 生徒を思った発言である。 「先生…半年も家庭教師をつけて今の成績なんですよ?行きたいと思わない高校を受けて通ったとしても海斗の為になるとは思わないですし」 「…オレはできれば高堂を受けたいです」 県内では文武に有名な私立、高堂学園。もちろんサッカー部も夏冬共に全国大会への出場経験を有している。 平サラリーマンの父だけの収入では生活が成り立たない!と自らも薬局へパートに勤めている母の口からは絶対に高校は公立にいってもらわないと困る。と常日頃言われていた。 憧れた高校のユニフォームは夢のまた夢だったのだ。 母の口から先にそんな言葉が出てくるなど思いもよらなかった。 ならばあとは自分が最大限の努力をするしかない。 「オレ、高堂のスポーツ推薦受けます!」自ら宣言したものの。 「おふくろ、いいの?」 隣で歩く母に問うてみる。 「もう1つ私立受けておかないと心配よねぇ。推
Terakhir Diperbarui : 2025-12-05 Baca selengkapnya