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須崎翔央の恋act2

Penulis: いのか
last update Terakhir Diperbarui: 2026-01-11 22:48:47

クラブチームへの愛着はなくなったが今更チームを変えるのも面倒だと思った。だからこのクラブに所属を続けてはいたが、U12の成績はクラブ創設以来の最低記録を更新していた。

勝つために翔央を出しはするが翔央のプレーに意思疎通ができず、負ければ翔央のせいにされる。

メンバー間の信頼など皆無だった。

つまらない。

このままU15に上がってもあのメンバーなら更につまらないだろう。

そんな事を思っていた夏のユース選手権大会直前で彗がU15チームから抜けた事を知った。

練習にはずっと行っていなかった事は知っていたがチームを抜けるどころか、サッカー自体をやめてしまうとは思っていなかった。

「夢は兄弟でJリーガーなること」などと幼い頃から夢みていたものがだいなしにされて少しの間は彗に散々悪態をついた。

彗の話を聞く事もなく責めたてた翔央を止めたのは亮哉だった。

彗が亮哉には辞めた経緯を話していたのか、彗を責めないで欲しいと言う亮哉に翔央は否を言えなかった。

彗の事を心配する亮哉、亮哉に話や相談はするが心配されるのは嫌がる彗。

翔央は普段は冷たく見える亮哉が彗を心配する姿が気に入らなかった。

「亮哉は兄貴の心配しかしてくれないの?」

ある日、ボソッとそんな事を口にした。

彗にみせるように心配してほしい。

亮哉が自分に対して些細なことでも気にかけて欲しい。

彗に対するように。

「何だ、それ」

亮哉は呆れた様に返す。

「僕の心配はしてくれないの?」

「翔央にも心配しないといけない事があるのか?」

「沢山」

真面目に答えたけれど亮哉はプッと小さく吹き出した。

ここは普通なら怒る場面だろうけれど亮哉の笑い顔が見れたので翔央も笑った。

「でも、そうだな。翔央は皆の期待値が高いから悩みは多いよな」

「……」

「勝手に期待されても困るよな……」

「僕たち似てるよね」

亮哉の両親も祖父母も「亮哉」に関心など全く持たずにいるけれど亮哉の成績だけには期待が大きい。

赤の他人達に期待されているだけの自分よりも普段は愛情もみせない両親達から成績だけ期待される亮哉の方が悩みは大きいかもしれない。

「俺と亮哉は似ている、か」

うんうんと頭を縦に振りながら亮哉は亮哉なりにそれに納得したらしい。

「そうだな」

ポンポン、と頭を軽く叩かれる。

「今度はゆっくり聞いてやるよ、翔央の悩みを」

亮哉の顔は普段より幾分柔らかな笑顔になっていた。

「約束」

「は?」

「ゆっくり聞いてくれるって、約束だから!」

詰め寄った翔央に苦笑いを浮かべて亮哉は言った。

「あぁ、約束するよ」

夏のユース大会、秋季大会を最後に翔央はクラブチームから抜ける事をクラブ側へ伝えた。

彗は怪我だったから仕方がないけれど、と。チームスタッフが話した事ではじめて彗の怪我を知った。

反復性肩関節脱臼。いわゆる肩の脱臼癖だ。まだ10代の彗は脱臼の再発率90%、手術をすすめられたが彗は断ったらしい。

そんな話も聞きある程度の引き留めはあったが、最後は親が解決してくれた。

他のチームに行くか、Jクラブの下部組織のユースを受けるかと親は提案してきたが翔央は首を横に振った。

中学、高校は学校の部活でプレーをする。

高校で国立を目指す、と決めた。

ユースならば技術は沢山学べる。だけど高校サッカーはそれ以上を学べるのだと、父をはじめ多くの経験者が口にしていた。ならば自分もそちらを目指してみようと新たに目標を作った。

中学に入ってサッカー部を選んでよかったと思えた。無駄なプライドを持つ者もいなかったし、通う中学がそれなりに強かった事もある。

1人、上手いと思う先輩もいた。

1つ上の学年の加瀬海斗先輩。小柄ながらスピードのあるドリブルと意外にもフィジカルの強さはチーム1だと感じた。

その先輩と。

「加瀬先輩?」

「あ、翔央か。おかえり」

帰宅直後、洗濯物を出しに洗面所へ来た翔央とトイレから出てきた海斗がばったり出会った。

リビングに戻ると彗と亮哉がテーブルに教科書や参考書を出してテスト勉強をしていた。

「ただいま」

声をかけて気付いた亮哉が「おかえり」と返してくれた。

「宿題?」

家できちんと勉強をするなんて彗と亮哉らしい。

が。

「試験勉強!」

背後からそう答えたのは海斗だった。

「中間テストの1週間前だから今日から部活休みだろ」

「あー、だから誰も部室に来なかったんですね」

授業が終わり部室に行ったが誰も来ず、鍵もかかっていたから仕方なく帰宅したのだが。

「今日から部活中止ってホームルームで先生言わなかったのか?ってか、昨日の部活終わる時に清水先生が言ってたよな?」

海斗が少し語気を強くして言うと。

ワンワンワンワン!

前歯全開の威嚇顔になったみかんが吠える。

普段愛嬌たっぷりのウエルッシュコーギーのみかんは誰かが語気を荒げると反応して威嚇顔になり吠え出すのだ。

「みかん、喧嘩じゃないよ」

足元に来たみかんの頭を撫でてやる。

「中間の結果が悪いと試合には絶対出れないんだぞ?」

「え?」

翔央には初耳の話に驚きを隠さないが、そんな翔央に驚きを隠せない3人だった。

「赤点……30点未満が1教科でもあれば試合に出れないなんて当たり前の話だろ」

「知らない」

勉強など関係なく実力のみのユースと同じに考えていた翔央ははじめて知った事実に衝撃を受けた。

「先生の話を聞いてれば……」

「聞いてない」

「……」

海斗は言葉を失った。

「翔央」

救いの声は亮哉だった。

「今までやった授業内容のテスト受けて何点とる自信があるんだ?」

亮哉の質問に考える事もなかった。

「30位はとれるさ……」

……きっと。

まったく自信無く言う。

「お前も今日から一緒にテスト勉強しろよ」

彗が呆れつつも翔央の勉強の面倒をみてやると言った。

「彗は海斗をみてやって。俺が翔央の勉強をみてあげるから」

亮哉がそう言った。

翔央は亮哉に見てもらえる方が勉強に集中できるだろうから内心でかなり喜んでいた。

「翔央も海斗もその方が気楽に勉強できるだろうし」

「……」

翔央には亮哉のそれは何か含む発言に聞こえた。

「俺の教えじゃコイツが反発してきそうだしな」

彗が言った言葉に、それはそうかもと納得もしてしまった。

含みがあった様に感じたのは気のせいだったかもしれない。

「じゃあ、まず苦手な教科は?」

「……」

亮哉の質問にすら答えられない程全ての教科を理解していなかった。

「先ずは国語からやろうか、教科書出して」

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  • 僕らの日常   須崎翔央の恋act2

    クラブチームへの愛着はなくなったが今更チームを変えるのも面倒だと思った。だからこのクラブに所属を続けてはいたが、U12の成績はクラブ創設以来の最低記録を更新していた。勝つために翔央を出しはするが翔央のプレーに意思疎通ができず、負ければ翔央のせいにされる。メンバー間の信頼など皆無だった。つまらない。このままU15に上がってもあのメンバーなら更につまらないだろう。そんな事を思っていた夏のユース選手権大会直前で彗がU15チームから抜けた事を知った。練習にはずっと行っていなかった事は知っていたがチームを抜けるどころか、サッカー自体をやめてしまうとは思っていなかった。「夢は兄弟でJリーガーなること」などと幼い頃から夢みていたものがだいなしにされて少しの間は彗に散々悪態をついた。彗の話を聞く事もなく責めたてた翔央を止めたのは亮哉だった。彗が亮哉には辞めた経緯を話していたのか、彗を責めないで欲しいと言う亮哉に翔央は否を言えなかった。彗の事を心配する亮哉、亮哉に話や相談はするが心配されるのは嫌がる彗。翔央は普段は冷たく見える亮哉が彗を心配する姿が気に入らなかった。「亮哉は兄貴の心配しかしてくれないの?」ある日、ボソッとそんな事を口にした。彗にみせるように心配してほしい。亮哉が自分に対して些細なことでも気にかけて欲しい。彗に対するように。「何だ、それ」亮哉は呆れた様に返す。「僕の心配はしてくれないの?」「翔央にも心配しないといけない事があるのか?」「沢山」真面目に答えたけれど亮哉はプッと小さく吹き出した。ここは普通なら怒る場面だろうけれど亮哉の笑い顔が見れたので翔央も笑った。「でも、そうだな。翔央は皆の期待値が高いから悩みは多いよな」「……」「勝手に期待されても困るよな……」「僕たち似てるよね」亮哉の両親も祖父母も「亮哉」に関心など全く持たずにいるけれど亮哉の成績だけには期待が大きい。赤の他人達に期待されているだけの自分よりも普段は愛情もみせない両親達から成績だけ期待される亮哉の方が悩みは大きいかもしれない。「俺と亮哉は似ている、か」うんうんと頭を縦に振りながら亮哉は亮哉なりにそれに納得したらしい。「そうだな」ポンポン、と頭を軽く叩かれる。「今度はゆっくり聞いてやるよ、翔央の悩みを」亮哉の顔は普段より幾分柔らかな

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