บททั้งหมดของ 杖も呪文もいらなくなった世界で、機械仕掛けの魔法使いたちは希う: บทที่ 11 - บทที่ 20

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門出の選択 05

 車が学校の駐車場に滑り込むように停まった。見渡すと、もう他の家の車も並んでいた。 時計を見ると、まだ八時五分。集合時間にはまだ時間があるけど、やっぱりみんな考えることは似ているらしい。 車のエンジンが止まってドアのロックが開く音が聞こえたから、私は車のドアを開けて降りた。朝の空気はまだ少し冷んやりしていて、長い袖が風に揺れた。 後ろでドアを閉めた利玖がちょっとぐったりした様子でいることに気付いて、私はすかさず声をかけた。「やっぱり酔ったでしょ」「卒業式が始まる頃には治るさ。……多分」 利玖は軽く口角を上げて返してくる。うん、冗談が言えるなら大丈夫だ。「それじゃあ、校門から入ろうか」 お父さんが車に鍵をかけながら、みんなを促した。お母さんは小さく頷き、私は深呼吸をひとつして、通い慣れた校門へと歩き出した。 今日はいつもと違う。制服も、気持ちも、全部がちょっとだけ大人びている。 正面玄関へ足を踏み入れると、袴姿の先生たちが並んで立ち、にこやかに「おはようございます」と声をかけてくれる。 みんなの胸元には、綺麗な白いリボンのようなものが付けられていて、いつもとは違う雰囲気。少しだけ背筋が伸びる。「おはようございます」 私がペコリと頭を下げると、その中のひとりがパッと顔を明るくして声を上げた。「はいっ、莉愛さん、おはようございます! 卒業おめでとうございます」 見覚えのあるその声に顔を向けると、雷斗先生だった。利玖の初等部時代の担任の先生。背が高くていつもエネルギッシュで、どこか“お兄ちゃん先生”って呼びたくなる雰囲気の人。 雷斗先生が私にピンクのリボンのバッチをくれた。そして私の隣にいた利玖の顔を見るなり目を丸くする。「えっ! 利玖か! うわっ、背ぇ伸びたなー! ……どうした? ぐったりして」「……ちょっと酔った」 利玖がむにゃっとした声で応えると雷斗先生は大きく笑った。「はははっ! 卒業式が終わるまで座ってな! 莉愛さんのお父さんお母さん、本日はおめでとうございます」 さっきまでの砕けた口調から一転、きちんと背を正して、お父さんとお母さんに丁寧に頭を下げる。その切り替えの早さに、ちょっとだけ笑ってしまいそうになった。 お父さんとお母さんもにこやかに「ありがとうございます」と返して、互いに頭
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門出の選択 06

 廊下を歩いていると、他のクラスの友達とすれ違い様に手を張り合ったり小さく笑い合ったりした。 だけどその度に、やっぱりカナタの姿はどこにも見えなくて胸の奥が静かにざわついた。 ——きっと遅れてるだけ。そう自分に言い聞かせながら、私は体育準備室に向かった。 体育館へ続く渡り廊下に出ると、目の前に広がる空は雲ひとつなく澄みきっていて、春の陽射しが優しく降り注いでいた。 私が一番乗りかな? そんなことを思いながら角を曲がると—— その先に、中等部の制服を着た三人の姿が見えた。 そして、その中のひとりと視線が重なる。 見慣れた黒髪が、春の日差しを受けてほんのりと緑がかった光を帯びていた。少し吊り気味で、鋭くもどこか物憂げな眼差しだけど、優しさを含ませた目元。そして無機質な黒い鋼鉄のマスク。「カナタっ!」 自然と声が溢れて、私は思わず駆け足になっていた。「ん? あ、莉愛だ」「ほんとだっ、おはよ〜!」 その場にいたもう二人も、私の声に気付いてにこやかに挨拶してくれる。「おはよっ!」『おはよ』 私は手を振りながら笑って返す。心が一気にほどけていくのを感じた。カナタも短く返事をしてくれた。 その一言が嬉しくて。会えた喜びとさっきまでの不安と駆け足で近付いたせいとが一緒になって、心臓がドキドキしていた。「教室にいないから、ビックリしたよ! 三人共、どうしたの?」 私が尋ねると、男の子が肩をすくめて言った。「いや〜、珍しくリョク様の支度が遅れてさ〜」「ね。うちらはいつも通りに、準備終わってたんだけどね」 もうひとりもそう付け加えてくれて、ようやく胸を撫で下ろした。何かあったわけではないようだった。「事故でもあったのかって、心配しちゃったよ〜。あ、そうだ、八時五十分までに体育準備室集合だって! なるべくクラスでまとまっててくださいって」「そっか。じゃあ行こうか」「先に行ってるね〜」 二人は手を振って、軽やかに歩いて行ってしまった。すると私とカナタだけが渡り廊下に取り残される。 カナタと目が合った。私と同じ羽織にワイシャツ、ダークグレーのスラックスに黒い革靴。いつもより少し背筋が伸びて見えるその姿に、胸の奥がキュンと鳴る。こんなふうにドキドキするのは初めてかもしれない。 それを誤魔化すように、私はお父さんとお母さんに見せたみたいに、くる
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門出の選択 07

 体育館を出ると、先生の後に続いて廊下を静かに歩いていく。歩く度に鳴る小さな靴音が、どこか名残惜しそうに響いていた。 この後、卒業生と保護者が揃って、校舎の前でクラスごとの記念撮影がある。 前の方に俯きながら歩く詩乃ちゃんが見えて、私は思わず駆け寄った。「……詩乃ちゃん」 泣いてるかと思って顔を覗き込むと、目元に少し涙の跡と、潤んだ瞳があった。 それだけで、泣き出しそうなのを踏み止まったんだなと思えた。「……えへへ」 泣きそうになってるのがバレちゃったからか、詩乃ちゃんはちょっと照れくさそうに笑った。 その顔が何だか可愛くて、私も少し笑ってしまう。 どうしたら元気が出るかなって考えて、私はそっと右手を伸ばして詩乃ちゃんの左手を繋いだ。 お互いの、生身の手同士。温かさがじんわりと伝わってきて、それだけで胸の中が少しほぐれる気がした。 最初、詩乃ちゃんは少しビックリしたみたいに目を丸くしていたけど、すぐにふわっと笑ってギュッと握り返してくれた。 私たちは手を繋いだまま、一緒に校庭に向かった。 靴を履き替えて正面玄関を出ると、校庭の真ん中には、すでに撮影用の椅子がずらりと並べられていた。 順番が来るまで邪魔にならない場所で、自分のクラス毎にまとまって待機する。 詩乃ちゃんと私は、手を繋いだままその場に立っていた。繋いだ手の温かさが、もう少しで卒業式が終わってしまう寂しさを和らげてくれる気がして、離す気にはなれなかった。 そこへ、カナタがふらりと近付いてくる。『ん……手、繋いでどうしたの?』 その問いかけに、私は胸を張って笑顔を返した。「ん〜? 詩乃ちゃんのことが大好きだから繋いでるのっ!」「そっ! 両思いなのっ!」 私たちは、まるで自慢でもするみたいに、ギュッと繋いだ手を見せびらかした。 カナタは無表情のまま、それをジッと見つめていたけど、その様子が何だか可笑しくて、詩乃ちゃんと私は顔を見合わせて笑った。「よっ! カナタ。制服、違和感ないな」 背後から軽やかな声が響いて、振り返ると利玖が立っていた。みんなよりも背が高く、自分たちとは少し違う制服姿の利玖に、周囲の子たちの視線が集まる。 高等部の生徒を見ることなんて滅多にないから、それはそれは目立つ。「あれ? お母さんたちは?」「何か、保護者向けに先生たちが説明してたから
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門出の選択 08

 驚きの余韻がまだ教室の空気を支配していた。 クラスメイトたちは口を半開きにしたまま硬直し、お母さんたちもただ呆然と立ち尽くしていた。まるで現実と夢の間に取り残されたような、そんな沈黙が流れる。 その静かな空間を現実へ引き戻したのは、ゆっくりと開く教室の扉を開けた先生だった。 袴姿の先生が入ってきた瞬間、今私たちは卒業の日だったことを思い出した。 前に立った先生の目元は、ほんのり赤く滲んでいるように見えた。「お待たせしました。……それでは…..最後の学活をしたいと思います」 “最後の学活” その言葉に、教室の空気がふっと張りつめた。ざわざわと心が揺れて、言葉にならない思いが胸の奥で波打つ。 本当に、これでおしまいなんだ——その実感が、ようやくみんなに降りてきた。「先生、昨日フライングして色々喋っちゃったので、今日は何を話そうかずっと悩んでいたんです。でも……やっぱり、みんなには、感謝しかありません」 先生は静かに目を閉じて、少しだけ微笑んだ。その表情は、過ぎ去った日々を胸の中で辿っているように見えた。「実は先生、一年生から六年生まで担任を続けられたのは、みんなが初めてなんです。産休や育休で、途中の学年を受け持ったことはあります。でも…本当に、一から卒業まで見届けたのは初めてでした」 声は時々掠れながら、真っ直ぐ私たちに向けられていた。「だから、毎年毎日、たくさん悩みました。落ち込んで、不安で……。それでも、みんながいてくれたから、前を向けました」「みんなは、優しくて、強くて、やんちゃで……時にはぶつかったこともあったけど、私はそんなみんなが大好きです。……私は……まだまだ未熟な教師です。でも……そんな私を、みんなが支えてくれました」 抑えていた感情が、先生の瞳から零れ落ちる。教室のあちこちから、啜り泣く声が静かに広がっていく。 私の目にも、涙が溢れてた。 それでも、先生は最後まで言葉を止めなかった。「私を……みんなの先生にさせてくれて……ありがとうございました」 先生が、教卓にぶつかってしまうのではないかと思うほど深々と頭を下げた、その瞬間だった。 教室の空気がふわりと柔らかく、だけど胸の奥がキュッと締めつけられるような、温かくて切ない何かで満たされていくのを感じた。 誰もがそれを言葉にはしなかった。ただ、心の波紋がひとつに
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門出の選択 09

 お父さんとお母さん、私とカナタの四人でゆっくりと校門へ向かって歩いて行く。 道の両脇では、桜が疎らに咲き始めていた。まだ満開には程遠いけど、淡いピンクが所々枝先を彩り小さな春のトンネルを作っていた。 入学式の頃には、あの花たちも全部咲いているのかな。そんなことを考えながら歩いていたら、ふと視線の先に詩乃ちゃんが見えた。 誰かに手を振って帰って行った。相手は門の柱に遮られてよく見えない。 もう少し近付いたところで、ようやく相手の姿がはっきり見えた。 ——拓斗だった。「あらっ、どうも先程ぶりです」 お母さんが拓斗のお母さんとお父さんに声をかける。 向こうも笑顔で応じて、お喋りが始まった。何となく私たち三人は、横並びになると、私は拓斗に話しかけた。「……拓斗って、詩乃ちゃんと仲良かったっけ?」「……別に。普通に話すくらいだろ」 あっさりした返事。でも私の中では少し引っかかった。二人が一緒にいるところなんて、今まで見たことなかったから。「ふ〜ん……」 気にしない振りをしながらも、何となく視線を拓斗の方へ送ってしまう。 その時、不意にお父さんが私を呼んだ。「莉愛、ちょっと来てくれないかな?」「えっ」 写真を撮る場所の確認みたいだった。でも私は、思わず声を漏らしてしまった。 今ここを離れたら、カナタと拓斗が二人きりになってしまう。今は取り巻きがいないけど、あまり二人きりにしたくなくて、離れたくなかった。 でも、そんな私の気持ちを汲んだように、カナタが静かに言った。『……大丈夫だよ、莉愛』 その瞳は穏やかで、少しだけ背中を押してくれるような優しさがあった。 拓斗の親もいるし、きっと変なことにはならない。それは分かっていたけど、それでも何だか落ち着かない。「……分かった。ちょっと行ってくるね」 私はカナタにそっと言い、後ろ髪を引かれたまま、お父さんのところに向かって歩き出した。「一人で撮る時は、こっち側かなぁ。二人で撮る時は……くっついて撮るか、真ん中を挟むか……」 お父さんは、校門のそばに立てられた“卒業式”の看板の横に私を立たせて、独り言のようにぶつぶつと呟きながら、撮影の構図を考えている。 私は素直に従いながらも、目線だけは少し横に向けていた。 ——カナタと拓斗。あの二人が今、どうしているかが気になって仕方な
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門出の選択 10

 ちょうどその時だった。 背後からリズムの早い足音が聞こえ、振り返ると羽織の裾と袖を揺らして利玖がこちらへ駆けてくるのが見えた。「ハァー、間に合った! 待った?」 少し息を切らしながらも、利玖は笑顔を浮かべて立ち止まる。 前髪を掻き上げながら、肩で息をしている。「おぉ、丁度いいタイミング。今、撮り終わったところだよ」 お父さんがそう言って笑うと、利玖はホッとしたように笑い膝に手をついて深く息を吐いた。「いやー、話が弾んじゃって。雷斗先生、相変わらずなんだもん」 その表情は生き生きとしていて、どれだけ楽しい時間だったかが伝わってくる。 きっと懐かしい話や、くだらない冗談なんかで盛り上がっていたんだろうな。「雷斗先生、話し出すと止まらないもんね」 私が笑いながらそう言うと、利玖も「うんうん」と何度も頷いた。 お母さんも、拓斗のお母さんたちとのお喋りが終わったみたいで、照れ笑いしながら私たちと合流した。「お話盛り上がっちゃって、撮影全然見られなかったぁ。二人共、写真見せてちょうだい」 お母さんが笑って、私とカナタに話しかけてきた。私はカナタと顔を見合わせ、それぞれが持っていた写真をお母さんに手渡した。「うんっ、二人共素敵に撮れてるじゃない! ……ふふっ、この莉愛は、ちょっと緊張してるかしら?」 お母さんがそう言って、カナタとのツーショットを見せながら笑った。 ちゃんと笑えたと思っていたけど、そう言われて写真を覗き込むと、確かに少し硬い顔をしている気もする。「そんなにかなぁ?」 そう尋ねると、すかさず利玖が覗き込みながら、ニヤリと笑う。「ん、緊張してるね。カナタとのツーショットだからか?」 揶揄うようなその言葉に、思わず心臓がひとつ跳ねた。そんなふうに意識していなかったつもりなのに、頬がじわりと熱くなる。「え〜、そうかなぁ」 私は誤魔化すように笑いながら、お母さんの手から写真をそっと受け取った。 お母さんはそんな私の様子を、穏やかに見守るように微笑み、利玖はニヤリと笑いながら、カナタの肩にひょいと腕を乗せた。「さて、この後どうする? カナタの用事って、今日じゃなきゃダメなのか?」 問いかけに、カナタは一瞬だけ目を泳がせ、それから小さく呟いた。『あー、うん。……というか……もう済んだかな』「えっ!? いつの間にっ!?」
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十二の絆 01

「お母さん! 明日は駅まで、お父さんとお母さんと行くんだっけ?」 私がそう声を弾ませると、お母さんはニコッと笑って頷いた。「そうよぉ。利玖は今日、学園に戻っちゃうからね」「そうだった、そうだったっ!」 私は両手を打って、ようやく思い出したように声を上げる。 明日は天律学園の入学式。遂に、新しい生活が始まる。 荷物はもう数日前に先に送ってあって、あとは私自身が向かうだけ。制服もきちんと準備したし、必要な書類も鞄に入れた。「莉愛、あんまりはしゃぎすぎて、熱出さないようにな」 ソファに深く腰を沈めた利玖が、僅かに笑いながらコーヒーを口に運ぶ。「大丈夫だよっ!」 生徒会の役員は、春休みはほとんど帰省できないらしい。入学準備や新学期の手配で、学園に缶詰になっていることが多いのだと前に利玖が話していた。 だけど「妹が入学するから」って利玖は春休みの後半だけ、無理を言って帰ってきてくれていた。 私が迷わないように、困らないように。何度も丁寧に説明してくれて、制服の着こなし方から持ち物の確認、心配事まで、ひとつひとつ真剣に聞いてくれた。 「大丈夫だよ」って笑ってくれるその顔が、心強くて嬉しかった。 入学は私にとって大きな節目だけど、それをちゃんと誰かが一緒に歩いてくれていると思うと、ほんの少しだけ、心の重荷が軽くなる気がする。「さて、俺はそろそろ行かないとな」 コーヒーを飲み終わった利玖が腰を上げたのは、午後のまだ早い時間——時計の針は十四時半を指していた。夕方にはまだ少し間があるけど、利玖にとってはもう出発の時刻だった。「あら、もう行っちゃうの?」 名残惜しそうに声をかけたお母さんに、利玖はコーヒーカップを持ってキッチンへ向かいながら、肩をすくめて笑って見せる。「これでも生徒会役員だからね。明日の準備もしないとさ」「しっかり者だ〜!」 思わず私がそう言うと、利玖は軽く笑った。 いつもは、ちょっと抜けてたり、茶化してきたり、そんなところもあるけど——やる時はきちんとやる、頼れる人だ。「莉愛、明日持って行くものはもう鞄に入ってる。制服も掛けてあるから、あとは羽織紐を忘れないようにな」「はーいっ!」「うむっ! いい返事だ。明日忘れたら、大笑いしてやるからな」 そう言って指差してくる利玖に、私は小さく笑い返して、絶対に忘れないように、
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-28
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十二の絆 02

 目を覚ました私は、天井を見上げて小さく息を吐いた。朝の光がカーテン越しに差し込み、部屋の中に淡い金色の気配が広がっている。 いよいよ今日から、中等部の新しい生活が始まる。 カーテンを開けてまだ眠気の残る体を起こし、制服のワイシャツの袖に手を通し、スリット入りタイトスカートを履く。 何度も確認して整えた制服は少し大きめで、まだ体にしっくりと馴染まない。それでもその布地の重みが、少しだけ大人に近付いた気持ちにさせてくれる。 黒色のニーハイソックスを履いたら、羽織はまだ着ずに丁寧に手に持って階段を降りる。 キッチンに入ると、いつものようにお父さんが紅茶を淹れて、お母さんが朝食の準備をしていた。香ばしいパンの匂いと温かいスープの湯気が、いつもの朝を少し特別なものに感じさせる。「おはよう、莉愛。今日は主役なんだから、しっかり食べて行きなさいね」 お母さんがにっこり笑って、スープを差し出してきた。「おはよう、莉愛。今日はスッキリ起きられたみたいだね」 どこか茶化すような口調に、思わず私はむくれ顔で言い返す。「私だって、やればできるもんっ!」「そうだね、さすが中学生だ」 笑いを含んだお父さんの声に、釣られて私の頬も緩んで自分の席に着いた。 キッチンで最後の身支度をしていたお母さんも、ふわりとエプロンの裾を整えながらテーブルにやってきた。 いつもの席に腰を下ろし、私とお父さんを見渡して柔らかく微笑む。「じゃあ、いただきましょうか」 その一言に、自然と私たちの声が重なった。「「いただきます」」 静かな朝に、三人の声が優しく響いた。 焼いてくれたパンをお皿に取り、お母さんのオニオンスープを掬い、私はちょっとだけ背筋を伸ばしていつもより丁寧に口に運ぶ。 温かくて香ばしくて甘いスープは、まだ少し寝ぼけた体が少しずつ目を覚ましていくのが分かった。 いつもの家族。いつもの朝ごはん。 でも今日は、ほんの少しだけ違う。 ほんの少しだけ、大切な日。・・・・・ 食後、お父さんがポットから丁寧に注いでくれたのはお父さん特製の紅茶。ふわりと立ち上る湯気の向こうに、紅茶の優しい香りが広がる。 蜂蜜とたっぷりのミルク、お父さんが私のカップに入れてくれた。私の好みにぴったり合わせてくれた味。 ほんのりと熱いカップを両手で包み込んで、そっと口を付け
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-28
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十二の絆 03

 魔械軌車の柔らかな揺れに身を任せながら、私は詩乃ちゃんと中等部での楽しみについて話していた。 ワクワクとした気持ちで、お互いに「頑張りたいこと」や「やってみたいこと」を語っていた時、不意に詩乃ちゃんが首を傾げて聞いてきた。「今日もカナタくんは、リョク様たちと来るのかなぁ?」 一瞬、ドキッとした。思わず、拓斗の方をチラリと横目で見る。拓斗は変わらない表情で、窓の外を眺めていた。(……聞こえてなかったのかな?) そう思ったのも束の間、私が返事をしないことに気付いたのか拓斗の視線が私に向いた。目が合った瞬間、やっぱり聞こえていたんだと分かった。「えっと……そうみたいだよ。車で直接行くって」「へぇ〜、いいなぁ!」 詩乃ちゃんは、気にも留めずに無邪気に羨ましがる。私はまた拓斗の方へ目をやった。拓斗の視線は、また窓の外に目を戻していた。 その横顔を見ていたら、ふと卒業式の日のことを思い出した。 あの日、拓斗とカナタが、式の後に少しだけ話していた。多分、カナタの用事だったんだと思うけど…… 何を話していたのか少し、気になる。「……拓斗」「ん?」 そっと名前を呼ぶと、拓斗はまた、視線をこっちに向けて短く応じた。素直な返事に、少しだけ驚く。(……あれ? 拓斗って、こんなに話しやすかったっけ) もっとトゲのある人だと思ってた。 そんなちょっとした驚きに、胸の奥に引っかかった疑問を、私は言葉を選ぶ前に口を開いてしまっていた。「あの……卒業式の後、カナタと何を話してたの?」 繋ぎ方もへったくれもなかった。でも拓斗は、少しだけ考えるように視線を空に浮かせてから、答えた。「あー……『中等部でもよろしく』って」「……えっ、それだけ?」「んー……まあ、そんな感じ」 拍子抜けした私の声に、隣で聞いていた詩乃ちゃんが「へぇ〜」と相槌を打った。 だけど——本当に、それだけだったのかな。 あの時の拓斗の顔を思い出す。カナタを見つめたまま、一瞬、鋭い目付きで睨んでいた。 でもすぐにその顔は崩れて、どこか気の抜けたような表情になって、それから驚いたような目になっていた。 あの感情の揺れが、この一言だけで生まれるとは、ちょっと思えない。「……そっかぁ」 結局、それ以上は何も聞けなかった。拓斗が話したくないのかもしれないし、これ以上踏み込ん
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-28
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十二の絆 04

「入学おめでとうございます。私は、生徒会役員“副会長”の利玖です。ここからは、我々生徒会が皆さんを講堂までご案内します」 はっきりとした声が、澄んだ空気の中に響いた。 普段、家で見る利玖とはまるで違う。背筋はスッと伸び言葉には迷いがなく、表情にもどこか凛とした気配がある。 生徒会モードの利玖は大人みたいで、ちょっとだけ遠く感じる。 私も、高等部になったら、あんなふうにしっかりできるようになるのかな。「莉愛ちゃんのお兄さん、かっこいいねっ」 隣から詩乃ちゃんが小声で囁いた。「うんっ。えへへ……」 思わず笑ってしまった。胸の奥が、ほんのり温かくなる。家族を褒められるって、こんなにも嬉しいんだ。「では、私を先頭に、列を作ってください。あまり広がり過ぎないようにお願いします」 利玖の言葉に、新入生たちは戸惑ったようにその場に立ち尽くしていた。誰も先に出ようとしない。 私は、詩乃ちゃんと顔を見合わせると、二人で駆け足で利玖の元に向かった。 その動きに導かれるようにして、後ろから新入生たちが列を成していく。「莉愛、助かったよ。ありがとう。ちゃんと羽織紐も付けてこれたな」 利玖が、ふっと柔らかく笑いながら私を見た。 思いがけず褒められて、胸の奥がくすぐったくなった。私は照れくささを隠すように、また笑った。「……えっと、詩乃ちゃんかな?」「あっ、はいっ! そうです!」 詩乃ちゃんが、背筋を伸ばして返事をする。声は少し上ずっていたけど、頑張って敬語で応えようとしているのが伝わってきて、何だか微笑ましい。「よかった。いつも莉愛と仲良くしてくれてありがとうね」「いえっ! こちらこそっ! ですっ!」 緊張のあまり詰まりそうになりながらも、詩乃ちゃんは一生懸命言葉を繋いだ。その頬はほんのり赤く染まっていて、目はくるくると忙しなく動いている。 思わず、私は両手で口元を押さえながら、そっと笑ってしまった。「わ、笑わないでよぉ……」「ふふっ、ごめんっ。可愛くって」 揶揄うつもりはなかったけど、つい本音が出てしまった。私たちは目を合わせて小さく笑い合った。 その時—— 正門の奥から、一際目を引く人影がゆっくりと歩いてきた。 ウェーブのかかったロングヘアと羽織の裾が風に揺れ、制服のタイトスカートがすらりとした脚に沿って揺れる。左脚の|魔械《マギ
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