「拓斗くんは、どこのクラスかなぁ?」 詩乃ちゃんの何気ない一言に、私とカナタの目が同時に合った。(昨日も思ったけど、詩乃ちゃんっていつからそんなに拓斗と仲良かったんだろう?) そんなふうに考えていると、車内にアナウンスが流れ、バスがゆっくりと動き出した。 窓の外の景色が少しずつ流れ始める。その変化に背中を押されるようにして、私は思い切って口を開いた。「……詩乃ちゃん」「ん?」「詩乃ちゃんって……そんなに拓斗と仲良かったっけ?」 問いかけると、詩乃ちゃんは一瞬キョトンとした顔をして、それから少し考えるように言葉を選んだ。「あー……えっと。前にちょっと色々あって落ち込んでた時に、慰めてもらったことがあるんだ」(拓斗が、慰めた!?) その言葉に、思考が一瞬止まる。驚きと戸惑いが一気に押し寄せて、視線を横にやるとカナタは表情を変えずに流れる窓の外を静かに見つめていた。「へぇ……何か、すごく意外だなって思って……」 私がそう言うと、詩乃ちゃんは口元に手を当てて、ふふっと笑った。「あっ、でもね、この事は拓斗くんには言わないでね」「えっ、どうして?」 思わず首を傾げると、詩乃ちゃんは少し拗ねたように唇を尖らせて答える。「だって拓斗くん……その時のこと、覚えてないんだよっ。何か、悔しいんだもん!」 その表情があまりに可愛らしくて、思わず笑みが溢れる。「だからね、思い出してくれるまで言わないの! ちゃんと思い出してもらってから『ありがとう』って言いたいの! だから、お願いっ!」 真剣な目で頼んでくる詩乃ちゃんに、私は小さく笑って頷いた。「分かったよ。……私たちだけの秘密だね」「うんっ!」 詩乃ちゃんが安心したように笑う。 胸の奥がじんわり温かくなって、秘密を分け合うことで、もっと仲良くなれた気がした。 私はカナタの方へ向き直った。「カナタも、内緒だよ」 一瞬だけ驚いたように瞬きをしたカナタが、ゆっくりと私を見て頷く。『……うん。言わないよ』 その落ち着いた声に、胸の奥がふっと軽くなる。 カナタにまで秘密を共有できたことが、何だか心強かった。 この雰囲気を変えるように、詩乃ちゃんがカナタに話しかけた。「そうだっ、カナタくん。『宵』って何のことか分かる?」 その言葉に、カナタは一瞬だけ考えるように目を伏せた後、静かに
Last Updated : 2025-11-28 Read more