いつからだろう。 あなたの眼差しが、こんなにも遠くなってしまったのは。 鋼鉄のマスクが、淡い光を冷たく反射する。 すれ違う瞬間、ほんの一刹那——視線が触れた。 だけど、そこにあったのはあの優しい光ではなくて、まるで心を切り裂くような、鋭く冷たい刃のような輝きだった。 以前は違った。 あの眼差しは、柔らかくて、温かくて。 見つめられるだけで、心が静かに温まった。 その眼差しが好きだった。 今は、私を拒むためにだけ存在しているみたい。「……ねぇねぇ——」『——話したくない』 あなたの機械混じりの声は、空気に溶けて消えた。 そして私の声だけが、虚空に取り残された。 廊下をすれ違う度、あなたは視線を逸らした。 学生が皆まとっている漆黒の羽織の袖が、触れそうな距離を掠めても—— それでも、あなたは私を見なかった。 声をかけても、返事はない。 まるで、最初から私なんて存在しなかったみたいに。 あなたの背中が遠ざかる度、世界から音と色が抜け落ちていった。 いつもなら立ち止まってくれたのに。 小さな声でも、ちゃんと聞いてくれたのに。 そのうち、呼び止めようとしても、喉が震えるだけで声にならなくなった—— どうして。 どうして——カナタ。 どうして、そんな目で私を見るの。 ◆ ◆ ◆ ここは初等部の六年生の教室。大きな窓から差し込む午後の陽光が、広々とした室内を温かく照らしている。 木の机と椅子が整然と並び、教室の前方には巨大なスクリーンが設置されていた。 先生はその端に立ち、生徒たちの視線を集める。「——それでは次に、私たちの生活に欠かせない魔械義肢《マギア
Last Updated : 2025-11-26 Read more