少し考えたあと、遥は瑛太を真由美に預けた。「お母さん、ちょっと抱っこお願いしてもいいですか?湊に電話してみます」真由美も気になっていたのか、瑛太を受け取ると、何も言わず遥に視線を向けた。呼び出し音が鳴る間もなく、湊が電話に出た。「あと会議二つだけだから。終わったら帰る」「蓮さんのこと、どうなってるの?」「家のことで揉めて、海に飛び込んだだけだよ。大丈夫。あの辺は昔、あいつとよく行ってたし、念のため人も手配してある。何かあってもすぐ動ける」湊の話を聞いて、遥もようやく表情を緩めた。蓮は何の備えもなく海へ飛び込んだわけではなかった。とはいえ、ずいぶん無茶なやり方だった。「なんだ。心配しすぎたみたい」遥は苦笑した。瑛太が生まれてから、遥は前より心配性になっていた。以前なら気にせず流せたようなことでも、今はつい悪いほうまで考えてしまう。電話の向こうで物音がしたかと思うと、今度は湊が健太に残りの仕事を指示する声が聞こえてきた。「まだ会議あるんじゃないの?」「もういい。今日は帰る」残っている会議は、担当の責任者に任せておけば十分だった。湊がいなくても、別に困ることはなかった。それなら株主たちと会議室で顔を突き合わせているより、さっさと帰って瑛太の相手をするほうがよかった。「一つだけ外せないのがあったんだけど、蓮のところとやるやつなんだよ。本人がまだ海にいるんじゃ、今日はどうにもならないだろ」その口ぶりは、どこか楽しそうだった。蓮が自分でやらかしたことなら、湊は昔から放っておく。今回も、特別かばう気はなさそうだった。駐車場に着くころ、湊のスマホにメッセージが入った。画面を確認すると、湊はすぐに遥へ伝えた。「蓮からだ。無事みたいだし、もう心配しなくていい」どこか話を切り上げたそうな口ぶりだった。遥が蓮のことをいつまでも気にしているのが、あまり面白くないようだった。電話を切ったあと、遥は真由美にも一通り事情を話した。真由美はひとまず胸を撫で下ろしたものの、まだ表情は晴れなかった。「もう、ほんとに心配させるんだから。海に飛び込むなんて、もし何かあったらどうするのよ」無事だと分かっても、真由美はまだ気が気ではなかった。いくら準備していたとはいえ、あまりにも無
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