美月は、その視線を気にしないことにした。その日は、月に一度の月例会議がある日だった。美月の部署では秘書室が運営を担当していたが、会場に入ると湊まで来ていて、部長が朝から落ち着かなかった理由もすぐに分かった。美月は隅の空いている席を見つけて座った。湊は少し離れたところに座り、会議の進行は結衣が務めていた。普段、湊がこうした部門の会議に顔を出すことはほとんどなかった。周りも、結衣のためにわざわざ来たのだろうと思っていた。そのせいか、いつもより少し空気が張りつめていた。近くでは、別のインターンが鈴音に声をかけていた。「鈴音さん、社長って叔父さんなんでしょ?いいなあ。ほんとにかっこいいよね」鈴音は得意そうに顎を上げ、否定もしなかった。それを見た周りのインターンたちも、ますます調子づいて鈴音を持ち上げ始めた。美月は小さくあくびをした。それを見た鈴音は、美月が怯えているとでも思ったらしい。結衣が話している隙に、鈴音は足先で美月の椅子の脚を引っかけた。美月がぐらりと体勢を崩したところで、そのまま背中を押した。美月は通路へ倒れ込み、会場中の視線が一斉に集まった。湊が眉をひそめた。「どうした?」部長は慌てて立ち上がった。「申し訳ありません。こちらのインターンが少し問題を起こしていまして……普段から指示にも従いませんし、社内のルールも守らないので、今日で辞めてもらうつもりです」湊は部長の話を遮った。「いや、その話じゃない。立てないのか?」美月は床に座ったまま、少し顔をしかめた。「昨日、夕飯も食べずに徹夜して、今朝も何も食べてなくて……今のでちょっとくらくらして」「何を言ってるの!いいから早く荷物をまとめて出ていきなさい!」部長が声を荒らげると、結衣がそちらを見た。「少し静かにしてください。みっき、徹夜ってどういうこと?九条グループでは、インターンにそこまで残業させることはないはずだけど」正社員でも、午前零時を過ぎての残業は原則禁止だった。美月は小さく息を吐いた。「鈴音さんが高橋市長の娘だって噂、部長も信じてるみたいで。昨日は鈴音さんの仕事まで私にやれって言われたんです。断ったら、今度は急ぎの仕事を山ほど回されました。これって、普通にパワハラですよね?」部長の表情がさっ
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