翌日の放課後。瑛太は案の定、また高等部の生徒たちに囲まれた。昨日は瑛太にやられたものの、先に絡んだのは向こうだった。先生に言いつけたところで、自分たちが先に絡んだことまで聞かれるだけだった。しかも、十代の男子にとって、そんなことで先生を頼るのは格好がつかなかった。そこで今日は、昨日の借りを自分たちで返そうと、人数まで増やしてきた。先頭の男子は、野球のバットまで手にしていた。「おい。昨日のことで調子乗ってんじゃねえぞ。この学校で、いつまでもでかい顔してられると思うなよ」瑛太はうんざりしたように息を吐き、鞄を持ったまま腕時計を見た。結衣の授業が終わるまで、もうそれほど時間はなかった。「で、結局何?結衣に相手にされないからって、僕に当たられても困るんだけど」口調は妙に軽く、口元には薄い笑みまで浮かんでいた。男子たちには、どう聞いても挑発にしか思えなかった。ただでさえ意地になりやすい年頃で、昨日のこともまだ根に持っていた。何人かが険しい顔で前へ出ようとした、そのときだった。廊下の向こうから、瑛太を呼ぶ大きな声が飛んできた。「瑛太!帰ってきたぞ!」聞き覚えのある声に、瑛太は振り向いた。ひときわ大柄な青年が、こちらへ歩いてきた。大久保悠斗(おおくぼ ゆうと)だった。以前は工藤姓だったが、母方の姓に改めてからは、大久保を名乗っていた。首にはいくつものメダルを下げ、片手には大きな袋、もう片方には花束を抱えていた。久しぶりに見る悠斗は、前よりさらに体が大きくなったように見えた。瑛太は思わず目を見開いた。「悠斗?なんでここにいるんだよ」「大会終わったから帰ってきた。金メダルも取ったし、そのままお前と結衣を迎えに来たんだよ。……で、何の騒ぎ?」悠斗はそこでようやく、瑛太を囲んでいた男子たちへ目を向け、そのまま一歩前に出た。現役のスキー選手だけあって、体はしっかり鍛えられ、身長も190センチ近くあった。男子たちの前に立っただけで、まるで大きな壁が立ちはだかったようだった。「お前ら、何してんだよ。瑛太に絡んでんのか?」悠斗がそう言うと、先頭にいた男子がむっとした顔で睨み返した。「お前、助っ人まで呼んだのかよ」瑛太も、悠斗が来るとは知らなかった。「いや、僕も知らなかっ
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