湊は早いとは思っていなかった。「将来、結衣に俺の後を継がせられるかどうか、見極めたいんだ」湊の態度は、完全に結衣を自分の後継者として育てるつもりだということを示していた。遥は最初こそ驚いたが、よくよく考えてみれば、結衣自身が望むなら、それはそれで納得のいく話だと思い直した。食事が終わった後、湊のスマホに行健から電話がかかってきた。家には夫婦二人と、片付けのために出入りしている使用人数人しかいなかったため、湊は隠すことなくスピーカーモードにした。「湊、潤のところで少しトラブルがあった。お前が直接行って様子を見てこい」「行きません」「……なんだと?」湊は顔色一つ変えず、微動だにしない。「お爺様、これは九条家の子孫なら直面すべき問題です。俺が以前直面した厄介事も、潤より少なかったわけではありません。ですが、いちいちお爺様や親父に泣きつくようなことはしませんでした。それは筋違いだと思っていたからです。俺は潤を信じています。俺に解決できるなら、あいつにも解決できるはずです」電話の向こうで、行健はしばらく沈黙した。「お前は兄だろう。弟を助けてやるのは当然のことだろう」「お爺様、それならいっそ、お爺様ご自身が飛行機で向かわれてはいかがですか?それこそ、潤にとってこれ以上ない助けになるでしょう。俺が飛行機の手配をしましょうか?」行健は怒りのあまり、即座に電話を叩き切った。家の中の使用人たちは、息を殺して黙り込んでいた。皆、うつむいたまま湊と遥の前を通り過ぎていく。遥は湊を見た。「万が一、潤さんのところで本当に何か起きていたらどうするの?」「翔がちょうどフランスにいるんだ。どうしてお爺様は翔に頼まないんだ」それもそうだ。翔は潤の実の兄である。それなのに翔には頼まず、わざわざ湊を向かわせようとする。つまり、先ほどお爺様は本当のことを言っていなかったのだ。潤に何か問題が起きたというより、敏叔父さんの方で何かやらかして、湊が直接行かなければ収まらないような事態になったに違いない。お爺様は事情をはっきりと説明しないまま、湊を訳もわからず現地へ向かわせ、着いてから状況を把握させ、尻拭いをさせようとしているのだろう。遥の心に、微妙な苛立ちが込み上げてきた。お爺様は、これ
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