「それに、どうして中田さんが遥さんに嫌がらせをしたの?まさかそれも葉月が指示したの?」この点については、菊の方が状況をよく理解していた。「あの人、自分のことを若奥様の『姑』だとでも勘違いしてるんですよ。ネットでもよくあるでしょう?タチの悪い家政婦を雇うってことは、まるで余所から厄介な『姑』を招き入れて、自分に説教させるようなもんだって」中田はまさにその通りだった。しかし、本人がすでに警察に連行され取り調べを受けている今、それを気にしたところでどうにもならない。数日後、警察が九条家を訪れ、中田が盗み出した品物の中に修のコレクションが含まれていたことが判明した。個人のコレクターにとっては「コレクション」だが、博物館に展示されたら立派な「文化財」だ。被害額はさておき、その骨董品の所在が分からなくなっており、海外へ密輸された可能性もあるという。修は即座に徹底的な追及を決定し、その骨董品を取り戻した暁には博物館へ寄贈するとその場で約束した。中田がそれを盗み出した時、それが文化財であることなど知る由もなかっただろう。ただ「高そうだ」と思ってポケットにねじ込んだだけで、持ち帰った後にどこぞの誰に売り飛ばしたのか、今となっては見当もつかない。しかし、事が大きくなると、保身のために中田が葉月を警察に供述したのだ。その結果、葉月に関するネガティブな話題が次々とトレンドを埋め尽くした。スマホの画面をどれだけスクロールしても、目に入るのは葉月の話題ばかりだった。葉月に何かあるたびに、メディアは修との過去の関係を蒸し返し、事細かに報道し立てるのが常だった。だが今回は違法行為の疑いがかかっており、世間の騒ぎはこれまで以上に大きくなっていた。あちらが騒動に揺れる一方で、遥の方は非常に順調だった。彼女が何気なく描いたイラストでいくつかのおもちゃを紹介したところ、なんとそれが売り切れになるほどの反響を呼んだ。おもちゃのメーカー側からは、彼女に報酬を支払いたいと連絡先の問い合わせがあったほどだ。イラストを描いた本来の目的は金儲けではなかった。そのため、遥は返信し、自分の報酬の代わりにフォロワー向けのプレゼント企画を実施してほしいと提案した。ついでに、以前「エデンの園」シリーズのために描いたイラストもSNSに投稿した。
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