真理は少し不快だった。ましてや幸雄が凛を見るあの視線は、チクチクと刺さるようで気持ち悪かった。紗月と一緒に山奥を歩き回った時、真理は服にへばりついて取れないオナモミという植物を見たことがある。あの男からは、まさにそんな嫌なベタつきを感じるのだ。「ねえ、蓮さんに電話して教えた方がいいかな?」紗月も判断がつかなかった。「でも、あくまで仕事上の付き合いだし。蓮さんに話して、誤解されたらどうするの?」真理は「それもそうね」と納得した。「凛さんもバカじゃないわ。後で連絡してみて、もし家に着いてなかったら、その時に蓮さんに迎えに行かせればいいわね」真理はハンドルを切りながら言った。「何食べる?妹さんも誘う?」「私たちは適当に食べましょう。妹は自習の後に塾があるからね」妹のことを思い出すと、紗月は疲れがスッと軽くなるような気がした。この街で妹と一緒に新しい生活を築いていくのだと考えると、どんな苦労も乗り越えられる気がしたのだ。……幸雄が選んだレストランは、ごく一般的なフレンチレストランだった。凛はもともとフランス料理が好きではなかったが、幸雄が選んだ以上、渋々付き合うしかなかった。今夜はただの付き添いに過ぎないのだから。幸雄はいくつか料理を注文し、凛に尋ねた。「お酒は飲める?」「いいえ、お酒は弱いから」「私は運転があるから飲めないけど、君は少しどうだ?度数の低いワインにしよう」凛は心の中で、こういう強引に酒を勧めることがひどく嫌いだった。だが、工場を譲ってもらう立場である以上、反論できるはずもなく、頷いて承諾するしかなかった。どうせ、少しだけ口をつければ済む話だ。幸雄は彼女に白ワインを一杯注文した。料理が運ばれてくると、幸雄は口を開いた。「彼氏とはうまくいってるの?」「ええ、まあ」「結婚するつもりはあるの?」凛はわずかに眉をひそめた。前回食事をした時は、学生時代の思い出話など、凛にとってもまだ受け入れられる話題ばかりだった。だが、あのSNSの投稿事件以来、凛はどうしても幸雄に対して警戒心を抱き、彼が何を考えているのか読めない不気味さを感じていた。もし遥や真理から同じことを聞かれたなら、友人同士の冗談として受け流せただろう。だが幸雄から聞かれると、
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