「さあ、もう料理は揃ったし、食事にしましょう」陽菜はキュッと唇を閉じ、誰も予想していないことを口にした。「私もさっき料理を運ぶのを手伝おうと思ったんだけど、もう全部運び終わってたのよ」「如月さん、そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ」湊が最後にスープの入った大きな鍋をテーブルの中央に置いて、クスッと笑った。陽菜は少し驚いた。彼の自分に対する態度が突然かなり優しくなったような気がしたのだ。以前は毎回湊が彼女に会うと、すぐに警戒心むき出しで、ピリピリと張りつめた空気を出していた。今のように、気を使わなくていいなどと、彼のほうから好意的な言葉を吐くことなど、一切なかった。「みんなこそ私に対して気を使いすぎよ。今の私たちは……友達でしょ?」陽菜は首を傾げ、少し気まずそうにそう言った。声も少し小さくなった。実際、陽菜は以前も別に一花のことを嫌っていたわけではない。ただ好きな人をとられてしまったのだから、誰だって嫉妬や恨みを持ってしまうものだろう?過去のことは絶対に変えることなどできない。たとえ後悔してもだ。陽菜と柊馬の赤い糸は昔切れてから、二度と繋がることはなかった。陽菜は柊馬への執念が、その感情を上回っていることはよく分かっていた。しかし、彼への愛は本物だった。しかし、その点を全ての人はそうじゃないと否定していた。柊馬ですらもだ。ただ一花だけが、陽菜の言った言葉を信じてくれた。一花が自分と協力したいと申し出てくれた時に、陽菜はまるで全てのしがらみから解放されたかのように気持ちが楽になるのを感じた。過去の執念と鎖から、完全に自由になったのだ。陽菜のさっきの発言の後、数秒ほどその場がしんと静まり、彼女は顔を真っ赤にさせた。「つまり、私たちは協力するパートナーだと……」「……もちろん、私たちは友達よ」一花は目をぱちぱちと瞬かせ、笑った。夏海も恐る恐る口を開いた。「如月さん、あの……さっきあなたが言った『私たち』って一花さんだけですか?それとも、来栖さんや、鳥宮さん、あと私も入ってます?」夏海のその言葉が、瞬時にその場の空気を和ませた。陽菜は口を開いた。「もちろんよ、一緒に食事をするくらいだもの、みんな友達だわ」誠は別に自分も仲間入りしたいとは思っていないが、なぜだか
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