実は一花のほうも夏海に聞きたいことがあった。陸斗が昨日彼女に連絡してきていた。しかしその時、一花は柊馬に付き添って病院にいた。それに、陸斗が連絡してきた件の進展もどうなっているかわからないので、一花も夏海をただ無駄に喜ばせるわけにはいかなかった。この時、一花は思い出して尋ねようとしたが、柊馬が話しかけてきて思考を止めた。「誰とおしゃべりしているんだ?」「夏海さんよ。彼女がね、あなたの写真とっても綺麗だって」柊馬はクスッと笑い、後ろから一花を抱きしめて、彼女の頬にキスをした。一花は彼の胸によりかかり、携帯をテーブルの上に置いた。「夏海さんがね、以前あなたと一緒にM国に行った医療チームの中にいた松本杏って女性のお医者さんが会社に私を訪ねてきたって言ってたの。ある治療法をあなたに試したいのだとか」柊馬は動きを止め、微かに眉をひそめた。「松本杏?」彼はその名前を何度も呼んだが、淡々としていて感情は一切なかった。「覚えてる?」「いや、覚えてないな」柊馬は一花を抱きしめる手を離し、この話にはまったく興味を示してない様子で、テーブルの上にあったお茶を一口飲んだ。一花はちらりと彼を見て、それ以上は何も尋ねなかった。柊馬は自分とあまり関係のない人間とは交流しないタイプだから、覚えていなくても無理はない。「だけど、あの時、確か女性の医者でなかなか腕の良い人がいた気がする。彼女はあなたの病気について今でも気にかけているみたい。どうも、話を聞いてみたらあまり知られた治療法じゃないみたいだけど、試す価値があるんじゃないかな?」一花は柊馬の病気を完治させたかった。昨日の午後、ここに到着して、同行者たちの手配を終わらせてから、彼女は柊馬と一緒に専門病院に付き添っていた。こちらの腫瘍治療の研究は世界トップクラスだ。しかし、柊馬の病状を分析した結果、医者たちもただ薬によって現状維持をする案しか出せなかった。病変のリスクが予想していたよりも低くできる程度だった。実際、国内での治療とそこまで大差なく、一花はかなり失望してしまった。柊馬はただ「うん」とだけ返事をし、明らかにあまり興味を持っていないようだった。しかし、一花は彼のこの反応から、彼が別に治療法に対して興味を持っていないわけではないことがわかった。彼は
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