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第966話

Author: 小粒キャンディ
陸斗のゲームアカウントは対したレベルではなかった。

もちろん、彼は自分のレベルの高さを見せびらかしてきたわけではない。

ゲーム画面には、陸斗と夏海のチャットが映っていた。

その内容を見てみると、夏海はどうやら陸斗のアカウントを誠のものだと勘違いしているようだ。

「俺は本気で彼女を追いかけようと思った。だけど、行動に移す前にあんたのおかげで、全部終わってたんだよ」

陸斗は携帯を戻した。

夏海が陸斗の世話をしていた時、彼はよく彼女があるゲームをやっているのに気付いた。

そして後から、それは誠が唯一夏海に残した連絡方法だということを知った。

そしてその時、陸斗は夏海の気持ちを知った。

しかし、彼は諦めきれなかった。

陸斗はすでにここを去っていった誠に、自分が負けてしまうとは思っていなかった。

陸斗は努力して、ゆっくりと彼女との距離を縮めていこうと思っていた。

あの日、夏海は携帯を閉じることなく、そのままキッチンへ行ったので、陸斗は彼女のゲームアカウントをちょうど見た。

彼は本来、夏海を楽しませるつもりで、彼女に友達申請を送って一緒にゲームを始めた。

陸斗は別に自分
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    陸斗のゲームアカウントは対したレベルではなかった。もちろん、彼は自分のレベルの高さを見せびらかしてきたわけではない。ゲーム画面には、陸斗と夏海のチャットが映っていた。その内容を見てみると、夏海はどうやら陸斗のアカウントを誠のものだと勘違いしているようだ。「俺は本気で彼女を追いかけようと思った。だけど、行動に移す前にあんたのおかげで、全部終わってたんだよ」陸斗は携帯を戻した。夏海が陸斗の世話をしていた時、彼はよく彼女があるゲームをやっているのに気付いた。そして後から、それは誠が唯一夏海に残した連絡方法だということを知った。そしてその時、陸斗は夏海の気持ちを知った。しかし、彼は諦めきれなかった。陸斗はすでにここを去っていった誠に、自分が負けてしまうとは思っていなかった。陸斗は努力して、ゆっくりと彼女との距離を縮めていこうと思っていた。あの日、夏海は携帯を閉じることなく、そのままキッチンへ行ったので、陸斗は彼女のゲームアカウントをちょうど見た。彼は本来、夏海を楽しませるつもりで、彼女に友達申請を送って一緒にゲームを始めた。陸斗は別に自分が誠だと偽って遊ぶつもりではなかった。しかし、夏海がかなり期待している口調でチャットするものだから、彼も自分は誠ではないと否定しなかった。きっと、誠のふりをしない限り、夏海の陸斗に対する態度はここまで優しくならないだろう。それが誠の出現によって、少しの期待もできなくなった。陸斗は夏海をがっかりさせたくなかったが、自分のプライドも失いたくなかった。それで彼は自分でも信じられない方法で引くことに決めた。自分にできる最大限の努力をして、誠と夏海に与えるチャンスを作り上げたのだ。陸斗は夏海の気持ちをはっきりと誠に伝えた。そして夏海は陸斗が彼女のことをここまで心から思っていることなど知らない。それは夏海が誠に対して抱いていた愛情がいかに慎重かつ真摯なものであるかを、誠が理解していないのと同じだった。……夏海が目を覚ました時、視界はぼんやりとして真っ白だった。ここは彼女の部屋ではない。病院だ。「目が覚めたのか。気分はどうだ?」この時、誠の声が聞こえ、夏海は驚き横を向くと、誠がベッドの隣に座っていた。夏海は眉をひそめ、かすれた声を出した

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    陸斗はそう言い終わると、携帯を誠に渡した。「鳥宮さん、一花君と話してみてくれ。もし、一花君と伊集院社長のことを友人だと思ってるなら、その友人の話に耳を傾けてみてほしい」陸斗の言葉に、電話の向こうの一花も傍にいた誠も同時に戸惑った。一花は誠も陸斗と一緒にいたのだとわかり、すぐに彼に声をかけた。「鳥宮さん?」「ああ」誠は反応し、陸斗の携帯を持って車を降りた。陸斗は車の中にいて、誠がそう遠くないところで一花と話しているのを見ていた。心はまるで誰かに真っ二つに引き裂かれたかのように感じた。一花が何と言うのか、陸斗はだいたい予想がついた。一花は夏海のことを大事に思っているから、もちろんあの二人が互いに傷つけ合うのは望まないはずだ。しかし、一花のやり方からすれば、たとえ心の中に好みがあったとしても、依然としてメリットとデメリットを慎重に検討するだろう。だから、彼女の解決策は陸斗の考えと一致するはずだ。確かに、陸斗の考えと同じだった。一花は今結婚式を挙げて、とても幸せを感じている。だから、夏海につらい思いをしてほしくない。それに、誠は一花と柊馬の命の恩人だ。もし、誠がここに残り夏海と一緒にいられるのであれば、一花はもちろん喜んで後押しをするはず。しかし「青空」の存在が、誠をここに留まらせるのを邪魔している。「青空」がある限り、二人の幸せな生活は時限爆弾のようにいつでも危険に晒されることになる。それがあるため、一花も誠が迷っていることを理解できた。そして最後に、一花は誠に新しい身分を得て人生をゼロからスタートさせる提案をした。傭兵という身分が邪魔であるなら、新しい身分を作り出せばいい。それに、南関市には彼ら友人たちがいる。「青空」のメンバーが誠を探し出しても、彼らを傷つけられるとは限らない。一花はそれを前から誠に提案していた。その新しい身分も、一花が彼のためにどうにかすると考えていた。しかし、誠はその時それを断わり、今も考えを変えていない。一花はまた誠には考え直すように説得した。悪の勢力のことをそこまで心配する必要はない。彼らはもう友人同士なのだから、誰が誰を巻き込むだなんて他人行儀な考えを持つ必要などないのだ。誠がここから離れたとしても「青空」が一花たちにトラブルを起こさないとは言い切れな

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    誠は一瞬動きを止めたが、すぐに陸斗に言われたとおり、救急車と警察に電話をかけた。電話をかけ終えると、誠は素早く地面に倒れている三人を拘束した。「耐えられそうか?」誠は再び陸斗を見て尋ねた。陸斗は答えず、数歩だけずれた。「須藤さんは怪我とかしてないか?」誠は頷いた。彼はすぐに夏海の様子を確認していて、彼女はただ気を失っているだけで、呼吸も正常だった。「あんたは彼女の病院に付き添ってくれ、俺は先に帰る」陸斗は苦しそうな顔でそう言いながら、先にタクシーを拾って付近の病院で傷の手当てをしてもらおうと思った。誠は彼の体を支えた。「一緒に行かないのか?」「もう痛くて、待ってられん」陸斗は口に出したら容赦ないが、実は心は優しい人間だと誠はわかっていた。誠は通りに出て陸斗のためにタクシーを止めてやった。陸斗はタクシーに乗り込むと誠のほうを見た。「……俺が来たことは彼女には教えないでくれ」「だけど……」「俺がこうしたのは、調子に乗っていいと思わせるためじゃないからな」陸斗は誠の言葉を遮ってから、低い声で付け加えた。「彼女が俺が助けに来たことを知っても別にどうでもいいけど、俺は別に、誰かに借りを作らせる気はないんだ」彼がそう言い終わると、タクシーのドアが閉まった。車はあっという間にその場を去っていった。そこにはただ誠の大きな影が夜の闇に溶けていた。昨日の朝早く、誠が家を出ると、夏海のマンションの下に陸斗がいた。陸斗は一晩中そこにいたのだ。彼は誠と二人っきりで会うために車の中に一晩いた。誠は、陸斗から夏海から離れるよう警告されるものだとばかり思っていた。しかし、意外にも陸斗からここに残ってほしいと言われたのだ。「あいつ、あんたのことが好きなんだ。まさか、気付いてないわけじゃないよな?」陸斗はストレートにそう話し、誠が誤魔化すチャンスを与えなかった。誠も同じく正直に話した。「彼女に好かれて本当に嬉しいと思う。だけど、俺と彼女は一緒にはなれないんだ。安心しろ、俺は今後二度と彼女の前に現れないから」「好かれて嬉しいと思うだけで、彼女に対して少しも好きな気持ちを持っていないのか?」「それは重要じゃない」「俺にとっては重要なことなんだよ」陸斗は沈んだ声でそう言うと

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    それにどういうわけか、夏海はだんだん眩暈がしてきて、力が抜けて、完全に気を失ってしまいそうになった。彼女の口を押さえているタオルには薬が含まれているのだろう。「抵抗しないで、おとなしく寝てろ」夏海の父親は冷たくそう言い放った。彼は夏海に近寄り、ゆったりとタバコの火を壁に押しつけた。その距離は彼女の顔にあたりそうなほど近かった。夏海が最後に見た光景と意識はここで止まった。しかしこの時、誰かの悶える声が聞こえてきた。夏海の父親が叫び声をあげて地面に倒れた。彼が振り返ると、後ろの男がレンガを拾って自分に向かい殴ってきた。頭を触ってみると、血がべったりとついた。「クソ、またお前かよ!」夏海の父親はすぐにその相手が誰なのかわかった。あの時、彼を刑務所送りにした張本人ではないか!また来やがった!ここ数日、夏海の父親は巧妙な手口で夏海が毎日一人で帰宅していることを確認していた。今目の前にいるこの男は、どうしてまた執拗に現れるのだ!夏海の父親が殴られたのを見ると、二人の男も振り返った。夏海はすでに完全に意識を失って地面に倒れていた。陸斗の傷はまだ完治しておらず、さっき力を込めて夏海の父親を殴るのにかなり消耗していた。しかし、夏海が倒れている姿を見ると、陸斗は何も考えずにまたレンガを二人の男に向かって振り下ろした。しかし、一対二ではそもそも劣勢で、二人に殴られて陸斗は地面に倒れてしまった。二人はまったく陸斗のことなど眼中になく、夏海のほうへ振り返り、彼女を抱えていこうとした。しかし、陸斗がすぐに起き上がり、またさっきのレンガを拾って後ろから殴りかかり一人を倒した。仲間の叫び声を聞くと、もう一人の男が怒り、陸斗の胸ぐらを掴んで殴りかかろうとした。すぐ傍で殴られた仲間も腹を立てて、ナイフを取り出し陸斗めがけて襲いかかってきた。しかし、ナイフを振り下ろす前に、誰かに腕を掴まれてしまった。「ううう……」抵抗する間もなく、男の腕は折られてしまった。陸斗はこの時まだ必死に男に対抗していた。しかし、相手が仲間の叫び声を聞き、意識が他に向いた瞬間、陸斗はその隙をついて相手を地面に押し倒した。「鳥宮さん……」彼が視線を上げると、誠が目の前に現れた。誠の動きは素早く力も強いので、二人は完全に反撃するこ

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    「私に預けてくれて結構ですよ」夏海は少し意外だった。陸斗はずっと夏海を直接呼び出すのが好きだったから、夏海もそれに慣れていたのだ。しかし、彼女は頷いて、書類を差し出した。するとすぐに、秘書がまたその書類を手に出てきた。陸斗のはっきりとした綺麗なサインが書かれてあった。「そうだ、社長のお身体はどうですか?大丈夫なんですか?」秘書は夏海にそう尋ねられると頷いた。「悪くないようです。ずっと会議で忙しくされています」忙しく仕事をしているというのなら、きっと体調は問題ないのだろう。夏海は安心し、それ以上は何も言わなかった。午後、夏海があるプロジェクトの会議を終わらせて会議室から出てきた時、ちょうど陸斗と出くわした。彼はビシッとスーツを着こなし、ネクタイもきっちりと締めていたが、顔色はあまり良くなさそうだった。あまり血の気がなく、目の下にはくっきりと黒いクマができていた。「社長」夏海のほうから挨拶をしたが、陸斗はただ会釈するだけだった。夏海のほうへ一目もくれることなく、横を通り過ぎていった。夏海は相手から距離感を感じ、気まずく思った。どうやら陸斗はまだ夏海に対して根に持っているようだ。しかし、これでもいいだろう。もう少し時間が経って、完全に彼が彼女のことを諦めれば、二人はまた普通の関係になるはずだ。今日は仕事が多く、夏海は遅くまで残業していた。夏海が帰る時、ちょうど陸斗のオフィスの前を通りかかった。彼もまだ会社で残業しているらしく、帰る気配はなかった。陸斗はまだ怪我が完全に治っていないのだから、早く帰って休むように声をかけるべきだろうか?夏海は暫く迷っていたが、やはり彼の邪魔をしないことにした。家に帰る途中、夏海はいつも通り少し買い物をしてから、あの路地を歩いていた。夜遅く、後ろからまた足音が聞こえてきた。今回は夏海も前回のように緊張することはなかった。ただ少し歩調を早めてさっさと帰ろうと思った。しかし、角を曲がったところで人影が突然現れた。恐ろしさを感じさせる大きな影が夏海の行く手を阻んでいいた。目の前と後ろにいる人物のターゲットははっきりしているようで、彼女に向かって近づいてきた。夏海がおかしいと気付いた時にはすでに逃げるチャンスを失っていた。彼女が大声で叫ぼうとした

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    実は一花のほうも夏海に聞きたいことがあった。陸斗が昨日彼女に連絡してきていた。しかしその時、一花は柊馬に付き添って病院にいた。それに、陸斗が連絡してきた件の進展もどうなっているかわからないので、一花も夏海をただ無駄に喜ばせるわけにはいかなかった。この時、一花は思い出して尋ねようとしたが、柊馬が話しかけてきて思考を止めた。「誰とおしゃべりしているんだ?」「夏海さんよ。彼女がね、あなたの写真とっても綺麗だって」柊馬はクスッと笑い、後ろから一花を抱きしめて、彼女の頬にキスをした。一花は彼の胸によりかかり、携帯をテーブルの上に置いた。「夏海さんがね、以前あなたと一緒にM国に行った医療チームの中にいた松本杏って女性のお医者さんが会社に私を訪ねてきたって言ってたの。ある治療法をあなたに試したいのだとか」柊馬は動きを止め、微かに眉をひそめた。「松本杏?」彼はその名前を何度も呼んだが、淡々としていて感情は一切なかった。「覚えてる?」「いや、覚えてないな」柊馬は一花を抱きしめる手を離し、この話にはまったく興味を示してない様子で、テーブルの上にあったお茶を一口飲んだ。一花はちらりと彼を見て、それ以上は何も尋ねなかった。柊馬は自分とあまり関係のない人間とは交流しないタイプだから、覚えていなくても無理はない。「だけど、あの時、確か女性の医者でなかなか腕の良い人がいた気がする。彼女はあなたの病気について今でも気にかけているみたい。どうも、話を聞いてみたらあまり知られた治療法じゃないみたいだけど、試す価値があるんじゃないかな?」一花は柊馬の病気を完治させたかった。昨日の午後、ここに到着して、同行者たちの手配を終わらせてから、彼女は柊馬と一緒に専門病院に付き添っていた。こちらの腫瘍治療の研究は世界トップクラスだ。しかし、柊馬の病状を分析した結果、医者たちもただ薬によって現状維持をする案しか出せなかった。病変のリスクが予想していたよりも低くできる程度だった。実際、国内での治療とそこまで大差なく、一花はかなり失望してしまった。柊馬はただ「うん」とだけ返事をし、明らかにあまり興味を持っていないようだった。しかし、一花は彼のこの反応から、彼が別に治療法に対して興味を持っていないわけではないことがわかった。彼は

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