美優は、誠の両親に囲まれていた。手には素敵なプレゼントの箱をいくつか持って、ひとつずつ見せているところだ。茜は美優からもらったルビーのネックレスを触りながら、宝物みたいに胸に当てた。「あなたはほんとうに気が利くのね。お祝いでもなんでもないのに、わざわざ私たちのために贈り物を持ってきてくれるなんて」次の瞬間、彼女は急に声のトーンを変えた。「あの晴香とは大違いよ。彼女ったら、1年のうち数えるほどしか顔を見せないんだから。彼女の心は、とっくに誠から離れてるのよ。今ごろどこかで浮気でもしてるんじゃないかしら!」「お母さん!」誠は眉をひそめて茜の言葉をさえぎった。「晴香のことを悪く言うのはやめてくれ。前に彼女がお父さんに買ってくれた高級な健康食品や、あなたにプレゼントしてくれたブランドのコートのこと、もう忘れちゃったのか?」茜は不機嫌そうに顔をこわばらせると、ネックレスをさっと首にかけた。「あんな女の話はしないで!あの子がいくら貢いだところで、どうせあなたのお金でしょ?それに、あんな性悪がよこすものなんて、本物かどうかも怪しいもんよ!」誠は、晴香がくれたプレゼントは、すべて彼女が必死に節約して給料で買ったもので、自分のお金とは関係ないと、そう言いかけた。一方で、美優が今日持ってきたプレゼントは、一見高価に見えるけれど、実はすべて自分の家族カードで買ったものだった。スマホに届いたばかりの利用通知メールによると、わずか半日で6億円も使われている。それは、会社のひと月ぶんの利益に相当する額だ。でも、彼が言い終わる前に、茜がその言葉をさえぎった。「美優ちゃんがわざわざ家に来てくれたんだから、もう帰らなくていいわよ。二人で仲良くして、半年以内に結婚して、早く孫の顔を見せてちょうだい」誠は即座に断った。「お母さん、前から言ってるだろ。俺が結婚するのは晴香だけだ」「バカもん!」翔は勢いよくテーブルを叩き、誠に向かってどなった。「そんなに意地を張って、俺たち親のこと、どう思ってるんだ!この件は俺が決める。文句は言わせん!今すぐ晴香ときっぱり別れて、美優ちゃんと結婚するんだ!」誠がまだ抵抗するのを見て、茜はキッチンから果物ナイフを取り出すと、いきなり自分の首に突きつけた。「あなたは私の息子なんだから、言うことを聞いて!もし
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