より姉の会社は電車を乗り継いで1時間ほどの場所にあった。毎日この距離を通勤しているって偉いなぁ。 「へぇ、自社ビルなんだ」 エントランスの上に大きく書かれた『Concrete Muse』の文字。コンクリートの女神? いや、具体的なインスピレーションといった感じか。 デザイナーさんにインスピレーションは大事だもんね。 到着したことをメールで送信すると、ほどなくして迎えに来てくれた。「よく来てくれたな! 今日はゆっくりしていってくれ」 上機嫌なより姉。わたしが来るのってそんなに嬉しいのかな。 そんなに喜んでくれたら悪い気はしない。今日は少しくらい派手な衣装でも着てあげようかな。「とりあえず上のスタジオに行くぞ」「スタジオ?」「いや、そこにしか更衣室がねーんだよ。あはは」 そういうものなんだろうか? こういうところに来たことがないのでわからない。 より姉についていくと、エレベーターに乗って3階に案内された。「ここだよ。衣装も全部ここにあるから」 打ちっぱなしのコンクリートで周囲を囲まれた、いかにもといった雰囲気のスタジオブース。 撮影ブースから少し離れたところにハンガーラックが設置されていて、色とりどりの衣装が整然と並んでいる。「まずはこれからだな」 端にあった衣装を掴み、手渡してきた。「まさかそれ全部着るの?」「わかんねー」「は? どういうこと?」 しまったという顔をするより姉。ん~?「いいからいいから! とりあえずそれに着替えてくれよ」 なんか怪しい。でも衣装を見る限り特に露出が激しいわけでもなく、むしろ可愛らしいくらいだ。「ちゃんと個室の更衣室があるからよ。こっちだ」 より姉の言うとおり、部屋の隅には服屋さんでも見かけるような個室が3つ並んでいる。右端の部屋のカーテンを引き、中をチェック。特に変わったところはない。「なにを見てるんだ?」「なんか怪
Last Updated : 2026-02-14 Read more