立てるようになってからのリハビリは、想像していた以上に大変だった。 平行棒、杖、歩行器を用いて転倒防止に注意しながら、重心移動や筋力向上、正しい歩行様式を取り戻していくのは一朝一夕にできるようなものではなく、なかなか思うように動いてくれない体に苛立ちを覚えつつも地道に筋力を蓄えていく作業。 下手に頑張りすぎると逆効果になると分かってはいるけど、一日も早い復帰を願う気持ちはなかなか抑えられるものでなく、遅々として進まないリハビリプログラムにヤキモキしていた。「さすが若いだけあって回復が早いですね」 歩行訓練後のマッサージをしてくれながら、理学療法士の飯島さんがそう言ってくれる。「自分では回復が遅く感じてしまい、どうしても焦ってしまうんですけどね」 どうしても頭をもたげてしまう焦りの心。 愚痴をこぼしたところでどうにもならないとは分かっているけど、ずっと優しく指導をしてくれる飯島さんにはつい甘えてしまう。「早くおうちに帰りたいですもんね。でもね、わたしもあなたのファンだから言うけれど、待っている側からすれば焦って戻ってきて取り返しのつかない後遺症が残るくらいなら、何年でも待つから万全な状態で戻ってきてほしいと願うものですよ」 優しい手つきでふくらはぎを揉み解しながら、それ以上に優しい笑顔を見せてくれる飯島さん。 リハビリが始まった当初からわたしのファンを公言していて、担当が決まった時には飛び上がって喜んだそうだ。 そんな熱心なファンをしてくれている彼女の言葉だから信じたいけれど、どうしても不安な気持ちは拭えない。「飯島さんはそうかもしれませんけど……」 八つ当たりにも似た発言だけど、飯島さんは気分を害した気配すらなく、穏やかに話を続けた。「不安になるのも分かりますけどね。ファンを信じるのもアーティストとしての務めじゃありませんか?」 ただの弱気の吐露にも関わらず、温かい表情で返ってきたその言葉に、わたしの中の何かが動いた。 今まで明確に意識したことはなかったけれど、わたしもアーティストの端くれな
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