All Chapters of 雪の精霊~命のきらめき~: Chapter 121 - Chapter 130

161 Chapters

第121話 心配かけてごめんね

 文化祭が終わればすぐに12月。 すぐに行われるのが、生徒会選挙。次年度の会長副会長を決めるための全校集会。 だけど今年度も生徒会長には他の候補者がおらず、信任投票すら省かれた満場一致の拍手で選任されてしまった。いや、いいんだけどね。 来年からはちゃんと投票して選んでね? でもこれで3年連続、高校生活の全てを生徒会長として過ごせることになった。生徒たちのためにやりたいことだらけのわたしにはありがたい。 講堂で受けた拍手の音を落胆の声に変えてしまわないよう、来年も登校が楽しみになる学園目指して頑張ろう。 今年は意外なことがひとつだけあった。 副会長の立候補が2名で、一歩も譲らないデッドヒートを繰り広げたのだ。 意外だったのはデッドヒートではなくて、立候補した人物。 今年度の副会長である文香と争ったのは、なんとひより。 わたしと同じく2年間の役員実績を誇る文香に対し、わたしの妹というネームバリューを活かして堂々と演説をしたひより。『生徒会長というのは激務です。そんな激務を日々こなしている日々こなしているゆきちゃんを癒し、支えてあげられるのはわたししかいません!』 そんな健気な事を言われたら……。うぅ、わたしはどちらを応援すればいいんだ……。ただ全校集会でゆきちゃん呼びはやめようね。 投開票はその場で行われる。 得票数はほぼ互角で最後まで勝敗が決しなかったけど、最終的に副会長の座についたのはひよりだった。おめでとう、ひより。1年間よろしく。 惜しくも落選してしまった文香には会計として活躍してもらい、書記には前年からスライドで穂香。 庶務にはひよりの友達で1年生の|東堂早紀《とうどうさき》ちゃんを指名した。 これで来年度の生徒会の布陣が決まった。 そして選挙が終わればすぐに期末テストの期間に入る。 家では、晴れて副会長となったひよりの赤点を回避するため、つきっきりで勉強を教えてあげる日々。さすがに副会長が赤点はマズ
last updateLast Updated : 2026-02-09
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第122話 クリスマスイブに妹と

 つきっきりで勉強を教えた甲斐があったのか、ひよりはどうにか赤点回避。 これで家族全員、心置きなく冬休みを迎えることができるというもの。本当によかったね、ひより。 そのご褒美ってわけじゃないけど、冬休みが始まればすぐに訪れるクリスマスイブに行う生配信へゲスト出演してほしいとお願いした。「またゆきちゃんと一緒にみんなの前で踊れるの? やったー!」 今までわたしのダンス練習にほぼ参加して、一生懸命追いつこうと努力してきたひより。 その努力は着実に成果をあげて、今では通しで踊れるレパートリーもかなり増えてきた。 この調子でいけば本当にわたしのチャンネルを受け継いでもらえる日が来るかもしれない。兄バカが過ぎるかな。 ひよりはひよりで独立して自分のチャンネルを創立してもいい。配信者という道を選ばなくても、独自の道をつかみ取ってくれればいい。 ひよりがどんな未来を選択するのかを考えるとなんだか嬉しくなってくる。可愛い妹の未来が明るいものでありますように。 クリスマスイブ特別生配信。「メリークリスマス! 雪の精霊YUKIが今日もみんなに歌声と幸せをお届けするよ!」 いつものキャッチフレーズと共に開始した配信はクリスマスということもあって同接も減るだろうなと見込んでいた。 だけど蓋をあけてビックリ。 つい先日チャンネル登録者数が500万人を突破したばかりだというのに、同時接続300万!? 半分以上の人が見に来てくれているなんて、そんなことがあっていいんだろうか。 クリスマスといえば家族で過ごす人も多いだろうけど、世間では「恋人の日」なんて呼ばれるくらいだから好きな人と過ごす割合も高いはず。 わたしのチャンネルに登録してくれている人は比較的若い人が多いから、なおさら今日の視聴者は減るだろうと見込んでいたんだけど。「たくさんの人が見に来てくれたおかげで同接が過去最高を更新したよ! ほんとありがとうね! みんな家族や恋人と過ごさなくて大丈夫?」 つい心配になって聞いてしまった。余計なお世話だったかな?
last updateLast Updated : 2026-02-09
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第123話 チャンネル大改造

 ひよりとのデュオ配信は思った通り好評で、再生数は順調に右肩上がり。 そりゃあれだけ息の合ったダンスを披露したんだから当然だよね! ひよりが絡むとどうしても甘くなってしまうけど、ひいき目抜きにしてもあの回は抜群の出来だったと思う。 ひよりも大満足だったようで、あれだけ緊張していたのも忘れて次の配信にも出たいと言って来たので快く承諾。 もうこのままひよりと2人のチャンネルにしてもいいな、なんて考えてしまう。 ひよりにはダンスに必要なセンスが全て備わっている。 リズム感が良くて音楽を体で捉える観察眼。軸がぶれないようにするための体幹。動きに緩急をつけるための瞬発力と持久力。体の細かい部分まで意識が行き届き、しっかりと表現できる再現力。そして何よりも基礎を大切にしていること。 ただ運動が得意なだけでは身につけることのできない力を持っている。 一緒に踊ったことでそれが確信に変わった。 ひよりならわたしのチャンネルを受け継ぐなり自分で立ち上げるなりして、わたしの楽曲をいつまでも生かしてくれるかもしれない。 今のうちにたくさん曲を作っておかないとね。  それから時間は過ぎて、今年も無事に新年を迎えることができた。 今年の|着衣始《きせはじ》めは|萌葱色《もえぎいろ》を基調にした扇模様。 みんなスタイルに大きな差がないので着回しができるとはいえ、やっぱり新調した着物をわたしが最初に着るのはどうかと思うんだけどなぁ。 最初に着るのはわたしがいいと口を揃えて言うから従ってるんだけど、たまには自分が着てみたいとか思わないのかな? そして例年のごとく神社前でたくさんの人に取り囲まれて身動きができないわたし。 あぁ、今年もお腹を空かせたまま初詣をすることになるのね。ハラヘッタ。 賽銭箱にお賽銭を入れ、二礼二拍手一礼。 手を合わせて神様にお願いをする。 今年の末、二学期が終わる前にわたしは全ての秘密をみんなに明かすつもりだ。 タイミングを逃して何も伝えられないままになってしま
last updateLast Updated : 2026-02-10
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第124話 大天使ひより様

 もう、ゆきちゃんたら。本当に天使なんかじゃないって。 だけど……。そんなこと言われたら嬉しくて照れちゃうよ。 今日のゆきちゃんはいつにも増して上機嫌だなぁ。 わたし達全員で協力することになったのがそんなに嬉しかったのかな。はしゃいでるゆきちゃん可愛い。 わたしのことも可愛い可愛いって……。リスナーさんにめっちゃ同調圧力かけてるし。 また天使様って言ってる。だから違うってば。 でもありがとうね。 だけどね、わたし達にとってはゆきちゃんこそ天使のように見えるんだよ。 いつも優しくて、カッコよくて。なんだってできるのにそれを自慢したりなんかしないでいつも自然体で。すっごく頼りになる自慢のお兄ちゃん。 ただそこにいるだけでわたし達を明るく照らしてくれて、たくさんの元気と愛情を注いでくれる。 まるで太陽のような存在。天使じゃなくて神様みたいになっちゃうけど。「わたしは天使様にお仕えするために生まれてきた雪の精霊だからね!」 雪の精霊……。昔からゆきちゃんは自分のことをそう言っているけど、最近はそれを聞くとなんだか不安な気持ちになっちゃうんだ。 だって精霊っていうとなんだか曖昧な存在で、儚くて……。それこそ雪の様にふっと溶けて消えてしまいそうで……。 ねぇ、ゆきちゃん。ずっとそばにいてくれるんだよね? いつまでもその素敵な笑顔でわたし達の心を明るく照らしてくれているよね?「ん? どうしたの、ひより?」 気が付いたらゆきちゃんの服の裾を掴んでしまっていた。ふわりと優しく微笑んでくれる。あぁ、綺麗だなぁ……。 そんな表情で見られたらドキドキして言葉が出てこなくなっちゃうよ。「どうしたの? また緊張してるのかな?」 もう緊張はしていないけど……。それ以上に鼓動は激しいかもしれない。
last updateLast Updated : 2026-02-10
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第125話 それぞれの人生

 みんなの力を合わせて作り上げた、新年初の生配信。 神回を超えた伝説回として、口コミが口コミを呼んで拡散していき、チャンネル登録者数は指数関数的に増加していった。「すごいよみんな! クリスマスの時に比べて300万人も増えたよ!」 3年間活動してようやく500万人を超えたところだったというのに、たった1回の配信で800万人に急増。 みんなが持てる力を結集させて得た結果に、喜びを超えて身震いをしてしまう。 立ち上がって熱弁を振るうわたしに対し、ソファーでくつろぐ姉妹たちはいたって冷静なもの。「おー、すげーじゃねーか。さすがゆきだな」「ゆきちゃんの可愛らしさにようやく世間が気づいたんですね」「至極当然」「ゆきちゃんおめでとう~!」 いや、呑気か!「ちっがーう!」 思わず叫んでしまっていた。自分でも興奮してるのが分かるくらいすごいことなのに、どうしてこの人たちはこんなに冷静なんだ。「わたしひとりの力なんかじゃないよ! より姉の衣装、あか姉のカメラワーク、かの姉の編集、ひよりとのペアダンスが評判になって得られた結果なんだよ!」 熱く語るわたしとは対照的に、困惑気味の姉妹たち。もう、なんで分かんないかなぁ!「んなこと言われても、あたしらは裏方だしなぁ」 いやより姉、裏方だって大事なんだよ!「ゆきちゃんなら登録者1億人も夢じゃないでしょう?」 かの姉は数字の感覚がバグってる!「ゆき伝説、始まる」 変なナレーションはいらないから! なんでドヤ顔してんのあか姉。 ダメだ、伝わらないよこの人たち。「だーかーらー! わたしじゃないんだよ、みんななんだよ! ゆき伝説じゃなくて広沢伝説! わかった!?」「うわダッセ」「ネーミングセンス壊滅的」 そこ2人、うるさい!「まぁまぁゆきちゃん、興奮するのもわかるけどさ。わたし達みんな、ゆきちゃんならこれくらいの結果はすぐに残すだろうって確信して
last updateLast Updated : 2026-02-11
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第126話 王子様ムーブ

 卒業シーズンがやってきた。まずはより姉の番だ。 さすが服飾デザインの専門学校だけあって、卒業式には自分でデザインした衣装を着て参加するらしい。「より姉キレイ……」 試着するというのでより姉の部屋まで行って見せてもらったんだけど、思わずため息が漏れた。 赤一色で彩られたドレスは情熱的なより姉によく似合う。裾に広がるフリルも上品で、大人びた雰囲気を出している。ただ胸元はばっくり開いてるし、背中は丸出し。背中見せるの好きだなぁ。 まさかこれをわたしに着せようとか思わないよね?「いいだろ。きっとゆきにも似合うだろうと思って作ったんだぞ」 思ってた。「いやいや、露出が激しすぎるでしょ。恥ずかしいってば」「なんだ、あたしが恥ずかしい恰好してるっていうのか」 そういう意味じゃない。「わたしの性別覚えてるよね? 男がそんな露出してたらただの変態でしょうが」「そんな可愛い顔して何言ってんだ。可愛いは正義なんだよ! ゆきがこのドレスを着たら世の男どもの視線は釘付けだぞ!」 そんな熱弁されても。男どもの視線なんていらないから。「女でも十分に見惚れる!」 そういう問題でもない。「なんだよー。お姉ちゃんの卒業記念の逸品だぞ。着てくれよー」 駄々こねだしたよ。もう、仕方ないなぁ。「一度だけだよ? 何度も着るには恥ずかしすぎる」「さすがゆきー! なんだかんだでお願いは聞いてくれるもんな! そんなとこも愛してるぞ!」 また……。最近愛情表現がストレートすぎるよ。 そのたびに顔を赤くしてるわたしもどうなんだって話だけど。「すーぐ赤くなっちゃって。色恋は頑固に否定するくせして、そゆとこ初心だよな」 うっさい。ニヤニヤすんな。「わたしだってそこまで朴念仁じゃないよ。想いをぶつけられれば心が揺らぐことだってあるっての」「もっと揺らがせてやるさ」
last updateLast Updated : 2026-02-11
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第127話 茜の想い

 より姉の卒業式は圧巻だった。 卒業生が自分で作った衣装を身にまとい、ファッションショーのように歩く姿はすごいの一言。 その中でもより姉の姿はひときわ目立っていた。 本物のモデルも顔負けの美貌と、わたしより|少《・》|し《・》|だ《・》|け《・》高い164cmのスレンダーな体に赤のドレスが良く映えている。そんなより姉がまっすぐに前を見て堂々と歩く姿は衆目を集めていた。「なんだか輝いてみえるね~」 隣に立つひよりから、感嘆のため息が漏れる。 卒業式は休日に行われたので、家族全員が連れ立って見に来ていた。「小学生じゃねーんだから」 そう言って恥ずかしがっていたより姉だけど、表情はどこか嬉しそうだったのは言うまでもない。みんな家族のことが大好きだもんね。「すっごくキレイだよ。がんばってね」 わたしがそう声をかけたら真っ赤になってたけど。 だけど本当にキレイだ。卒業おめでとう、より姉。 * * * より姉、すごかった。 わたしもあんな風になれるかな。 今日はいよいよわたしの卒業式。 ゆきと一緒に通えた学生生活もこれでおしまい。寂しいに決まってる。 一年くらい留年すればよかった。ゆき怒るけど。「あか姉、卒業おめでとう!」 そう言って祝ってくれるけど、わたしにとっては何もめでたくない。もっとゆきと一緒にいたかった。 ゆきは進学しないと決めているし、同じ学校に通えるのもこれで最後。 嫌だ。卒業したくない。「もう、そんなに寂しそうな顔しないの。家ではいつだって会えるでしょ」 そういう問題じゃない。どこでもずっと一緒にいたいんだ。 授業中だってどれだけゆきに会うのを我慢していたか。本当なら休み時間のたび会いに行きたかった。さすがに迷惑になるからそれは自粛したけど。 一秒も離れていたくない。それくらいゆきのことが好き。 カメラの道を選んだのも、レンズ越しでもきらめくゆきの姿をいつまでも見ていたいから。 スマホだってゆきの写真でいっぱいだ。どこにいてもゆきのことを感じたいから。「寂しい」 そう言ってゆきの制服の裾を掴んだ。「どうしたの? 今日は随分と甘えん坊さんだね」 そう言って頭を撫でてくれる。やっぱり優しい。 こんな人、男でも女でもどこにもいない。優しくて、強くて、綺麗で。 何度か同級生に告白をされたことはあるけど、
last updateLast Updated : 2026-02-12
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第128話 与えてもらうものじゃない

 家に帰るなり部屋にこもってしまったあか姉の様子を見に来た。「不覚」 がっくりとうなだれたままのあか姉。「まぁまぁ。たまには感情が暴走しちゃうことだってあるよ」 なだめるわたし。「あんな姿を……人前で。消えたい」 人前で泣くのがそんなに恥ずかしかったのか。まぁ子供もびっくりなくらい大泣きしてたもんね。「そんな落ち込むようなことじゃないよ。泣きじゃくるあか姉、可愛かった」 ガバっとこちらに向き直るあか姉。目がキラキラしているのはなんでなんだろう。 さっきまでの落ち込みぶりはどこ行った。「可愛かった? かっこいいじゃなくって?」 いや、可愛かったけどね。距離が近い……。「うん、可愛かったからさ、ちょっと離れない?」「……」 なぜ黙る。めっちゃ見られてる! なんか見つめあっちゃってるんですけど。「ゆき」 潤んだ眼で見つめながら、訴えかけるようにわたしの名前を呼んできた。「なに?」 まだ少し寂しい気持ちが残ってるのかもしれない。努めて優しい声を出し、しっかりとあか姉の瞳を覗き込んだ。「あのね」「うん」「キスしたい」「ダメ」 気遣って損した。どさくさに紛れて何しようとしてんだ。「ケチ。ひよりには5回もした」「あれは救命措置!」 去年の話を持ち出すんじゃない。ってか数えてたのか……。「救命措置ならノーカンだ。ゆきのファーストキスはわたしが貰う」「いやあげないから」「わたしが貰う~!」 わたしの両腕を掴みながら、体を縦に揺すって駄々をこねるあか姉。くそ、可愛いじゃないか。 普段無表情で不愛想な人がやると、こんなことでも異様に可愛く見えるんだね。別にキスくらいならいいかな…
last updateLast Updated : 2026-02-12
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第129話 予定は早めに決めた方がいい

 今日からいよいよ新学年。「ゆきちゃん、最後までよろしくね」「よろしくー」 結局、文香と穂香は中学から数えて5年間、ずっと同じクラス。 生徒会役員をずっと同じクラスに固めてよかったのかな。先生方は何を考えているんだろう。「驚いてるね」「そりゃそうでしょ。なんせクラスを分けたら生徒会解散の危機になるって脅したしね」 なんということを……。 金剛力士様恐るべし。「最後までゆき会長を支えていかないとだからね」「祀り上げるぞ」 ご本尊様はわたしだった。 観音様ですか? でも、気心の知れたこの2人がいるのはありがたい。頼りにしてるよ、阿仁王様、吽仁王様。「なんだかよからぬことを考えてない?」「全然」 新年度に入って初の生徒会役員会合。「ゆき会長! 今年も学園のためにわたし達を導いてくださいね!」 目をキラキラさせて話しかけてくるのは2年生の東堂さん。ひよりの親友。「今年もよろしくね、東堂さん。わたしが導くんじゃなく、力を合わせて学校を良くしていくんだよ?」「いやん、ゆき会長。東堂なんて他人行儀な呼び方じゃなく、サキって呼び捨てにしてください!」 両手を合わせて祈るようなポーズ。ここでもご本尊様扱い? なんだか癖の強そうな子だ。 薫先輩がそのまま若くなったような。「ちょっとサキちゃん! ゆきちゃんごめんね? ゆきちゃんのこと崇拝しすぎて頭沸いちゃってるんだ」 ひどい言い草だ。親友なんだよね?「そりゃ偉大なゆき会長を目の前にしたら沸きもするわよ。ゆき会長ファンクラブ、会員番号1番を受け継いだ身として当然のことだよね」 まだあったのかその珍妙なクラブ! しかも受け継いだって……。薫先輩の影がこんなところに。 いざという時、けっこう頼りになったから邪険にもできないんだよねぇ。
last updateLast Updated : 2026-02-13
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第130話 油断は禁物

 文化祭にやることは決まったけど、それまでに実施されるイベントは他にもある。 まずは体育祭。 結局2年連続で仮装リレーのおもちゃにされてしまったけど、今年はさすがにネタも尽きてくるだろう。いいとこナース服ってとこか。 まぁナース服くらいなら。スカートが短いのさえ我慢すればそんなに恥ずかしくもない。ってこの感覚がヤバいのかな。 開会式からつつがなく進行し、お昼ご飯は見物に来ていたより姉、かの姉、あか姉も含めて家族で食べた。「ゆきは今年も仮装リレーに出るんだろ? 今年はどんな服装になるのか聞いてねーのか?」 より姉がおにぎりを頬張りながら聞いてきた。「なんだか毎年わたしだけ教えてもらえないんだよね。見てからのお楽しみだって」 体育委員は男子ばかりなのだけど、去年までは上級生だったので悪ノリをしていたんだろう。 今年は同じクラスの男子も委員の中にいるし、そんなに無茶な恰好はさせないだろうと信じている。「あらあら。そんなことで大丈夫なんですか? 今年も期待していいのかしら。去年まで毎年可愛らしい服装でしたけど」 うーん、かの姉は何を期待しているのかな。「センスが試される」 何のセンス? あか姉も何やら期待してるよね?「さすがに3年連続で恥ずかしい恰好ばかりさせないでしょ! まがりなりにも生徒会長だし」 って思ってたんだけどね……。『さぁ次は我が校の名物会長のお出ましだ! 月に代わってお仕置きされたい! 魔法少女ゆきだぁー!』 くそー! やられた! なんだこの格好は! めっちゃ恥ずかしい! ステッキまでつけやがって! 男子高校生が……。父兄も見ている前で……魔法少女。 より姉は笑い転げてるし、かの姉は写真を撮りまくってる……。あか姉は……あぁ、あれは脳内アルバムに必死に保存してる顔だ。 スカートが短いのもあるけ
last updateLast Updated : 2026-02-13
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