綾は、美樹と相談し一緒に住む家を決めた。 郊外にある別荘地の戸建て。 当初、近隣のマンションの一室を二人で借りようとしていたが、修ならすぐに見つけてしまう。 それに、綾は──山丘ハルミの別荘に憧れを抱き、いつか別荘を持てたらと思っていた。 だから母が遺してくれた遺産の一部で別荘を購入することにしたのだ。 美樹には先に新しい家に引っ越すよう頼んでいた。 「本当にいいのね?」 「うん、もうこれ以上、修さんに迷惑はかけられないわ」 「あ〜でも……」 どうも美樹が煮え切らない。 「もし、もしもよ、修さんに妊娠したことを話して、その上で産んで欲しいって言われたら?」 「それなら、『子どもを作ってはいけない』なんて契約書に書かないわよ」 「でも、あの時とはお互い気持ちが変わってるんじゃないのかなあ? 私はどう見ても二人は両思いに思えるんだけど……」 最後まで美樹は、綾を説得しようとする。 しかし、綾は──修さんには今でも好きな人が居る。私はずっと、あくまでその人の代わりだった。もう、代わりなんて苦しい。 ──だから、これからは自分でこの子を育てて行きたい。修さんの子を……。 そう言われると、美樹は引き下がるしかなかった。 綾は、修の会社も辞める覚悟だった。 なので美樹もついて行くことに……。 当面は、取り返した母の会社の役員として、在宅で念願だった子ども服などのデザインを手掛けようと思っている。もちろん美樹にも手伝ってもらいながら……。
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